普段からこのブログを読んでいただいている方はアクシアが残業ゼロのシステム開発会社であることはもうご存知だと思います。残業ゼロにしたことで会社には様々な良い変化が起きました。
このように労働環境を改善することは会社経営的に見ても望ましい効果が多く期待できるのですが、本日はもっと経営者にとっての生々しい話、経営者としての心情的な話を書いてみたいと思います。会社が劣悪な労働環境になってしまっていることによる様々な弊害に日々頭を悩ましている経営者の方々の少しでも参考になれば幸いです。
劣悪な労働環境のもとで働く労働者の方達にとっては、自分の会社の経営者が何を考えているのかわからず納得の行かない点も多いと思いますが、ブラック企業経営者は毎日こんな気持ちなんだという視点で読んでいただければ幸いです。
ブラック企業経営者は労務問題に毎日怯えている
従業員の側からするとブラック企業経営者は根っからの悪人で労働者からいかに搾取するかということだけ考えているように見えているかもしれません。従業員に対して深夜残業や休日出勤を命令してくる強い人間に見えているかもしれません。しかし実際はそうとも限りません。
私の場合にはブラック企業時代に表向きは強気な姿勢でいましたが、内心は労務問題に毎日ビクビクしながら怯えて過ごしていました。
いつ従業員達が長時間労働にツッコミを入れてくるだろうか、いつ従業員が倒れてしまわないだろうか、いつ従業員達が辞めてしまうだろうか、いつ従業員達が問題を起こすだろうかと、毎日毎日精神をすり減らしながら過ごしていたというのが実際のところです。
経営者は「ヒト」の問題に日々頭を悩ませるものです。この「ヒト」に関する問題、悩み、辛さというものは、実際に会社経営をやってみた人にしかわからないものがあるかもしれません。
おそらく労働者側の想像のはるか上をいくくらいに経営者にとって「ヒト」に関する問題の悩みは大きいですから、ブラック企業で勤務する従業員の人が会社に対して「労働環境を改善してください。改善してくれないのであればこちらも今後のことを考えたいと思います。」等と申し出てみることは相当なプレッシャーになるはずです。
私も当時、絶対に辞められては困る従業員から辞めると言われたことが残業ゼロになったきっかけとなりましたから、経営者の恐怖心を刺激してみることはもしかすると企業の労働環境改善につながる可能性がありますから、試してみる価値は十分にあると思います。
劣悪な労働環境だと労働者がまともな思考をすることは難しい
ブラック企業時代には、従業員がまともに仕事をしてくれないことに対してものすごいストレスを感じていたものです。
毎日遅刻してくることは当たり前、仕事に集中せずにまともに進捗が上がらない、仕事の品質が低く戻り作業ばかりに追われてしまう、遅れが生じる時でも直前になるまで報告をあげてこない、挙げ句の果てには悪いことを悪いと言っただけなのに、開き直ってふてくされたり、会社の批判をしてきたりすることが日常茶飯事でした。
これは当時は気づくことができなかったのですが、劣悪な労働環境のもとで働いていると、従業員はまともな思考ができなくなってしまうのです。モラルなど崩壊しています。もしかしたらこのあたり参考になるかもです。↓
生理的欲求も安全欲求も満たされていない状態で何を言っても無駄なんです。ブラックな環境で正論を言ったところで「お前が言うなふざけんなしね」というのが労働者としての心情でしょう。
当時の私はこのことを理解できずに、「どうして何もわかってくれないんだ」と悩み、「会社が良くならないのは従業員のせいだ」と決めつけストレスを感じていました。
まともな労働環境を作れない経営者にあれこれ言う権利はない
今だからこそ言えることですが、ブラック企業時代の私には付ける薬もないくらいに無能を極めた経営者だったと思います。「会社が良くならないのは従業員のせいだ」などと思ってしまっている時点で経営者としては完全に終わっていたわけです。まあ普通に考えてヤバイ経営者ですよね。
ブラックな労働環境しか従業員に提供できていない時点で、経営者には従業員に対してあれこれ物事を言う権利などないに等しかったのです。なぜなら、正論をかざしたところで劣悪な労働環境下にいる従業員は「お前が言うなふざけんなしね」としか思わないからです。何を言っても無駄なのです。
何を言ったところで全部長時間労働のせいにされてしまいます。労働環境が悪いせいにされてしまいます。
毎日遅刻してくるな → だって長時間残業だから
仕事に集中して進捗上げろ → だって長時間労働だから
品質上げて戻り作業少なくしろ → だって長時間労働だから
遅れる場合は早めに報告しろ → だって長時間労働だから
開き直るのやめろ → だって長時間残業だから
もう言えば言うほど、
お前が言うなふざけんなしね
となってしまいますね。
何も残業ゼロにしろとまでは言いません。極上の労働環境を提供しろとも言いません。ただ、普通のまともな労働環境を労働者に提供できないのであれば、経営者があれこれ主張する権利はないと思った方が良いでしょう。
ブラック企業の経営者の方は従業員に対して文句を言わずに、また労働環境の問題から目を背けることなく真正面から向き合って解決するべきだと思います。
労働環境を改善したら「ヒト」の問題で頭を悩ますことが驚くほどなくなった
劣悪な労働環境しか従業員に提供できていなかったブラック企業時代には、毎日毎日「ヒト」の問題で悩まされてきました。労務関連で何か問題が起きないかと毎日ビクビクしながら生きていました。「ヒト」の問題に悩み続けるのが経営者というものだと思っていました。
しかし残業ゼロにして労働環境を改善してからというもの、「ヒト」の問題で頭を悩ますことはなくなりました。もちろん問題が起きることは時にはあるのですが、ビクビクするようなことはなく、堂々と問題に向き合うことができます。
問題が起きてもビクビク怯えることがなくなった理由は、労働環境が後ろめたくなくなったからですね。ブラックな労働環境というものは経営者にとっては後ろめたいものなのです。後ろめたいから何か問題が起きた時に堂々と問題に向き合うこともできなくなります。
残業ゼロになって経営者として個人的に一番楽になったのは、この「ヒト」に関する問題で悩まなくて良くなったということですね。冒頭の方でも述べましたが、経営者にとっては「ヒト」の問題は本当に大きな悩みの種なのです。一番向き合いたくない問題なのです。この悩みがゼロになったことで大きなストレスを取り除くことができました。
労働環境を改善したら言いたいことを自由に言えるようになった
残業ゼロになって労働環境が改善されたことによって、従業員に対してだけではなく、対外的にも思ったことを自由に発言しやすくなりました。先日こんな記事を書きました。↓
ダメな社員を切りやすくする仕組みをそろそろ真剣に考えないといけないのではないか
こういうことは批判されやすいので経営者としては中々書きにくいところもありまして、こんな内容のブログをもしブラック企業時代にしていたらどんな目にあっていたか、想像するだけで恐ろしいですね。w
ブラック企業だったら袋叩きにされて終わりになるような切り込んだ内容であったとしても、残業ゼロの会社だからこそ発言しやすいという自覚はあります。他にもこのブログで色々好き勝手に主張させてもらっていますが、私のブログは今だから書けるのであってブラック企業時代だったらとても書けないような内容をたくさん公開しています。
ブラック企業だったら「お前が言うな」で片付けられてしまうようなデリケートな問題であっても、賛成意見、反対意見も含めて割りと皆さん真面目にレスポンスしていただけます。まあ相変わらずクソリプもたくさんいただきますが。w
残業ゼロにして会社の労働環境を良くしたら自由に発言しやすくなったということは大きな変化でした。思ったことを自由に発言したことによって批判を受けることはありますが、別に全ての人に受け入れられるような聖人君子になろうなどと思ってませんから問題ありません。批判を受けることは必ずしも悪いことではありませんから、自由に意見を主張できるということは残業ゼロの大きな収穫の一つです。
従業員と対等な関係になりたければまずはまともな労働環境を作れ
既に述べてきたようにまともな労働環境がなければ従業員には何を言っても無駄です。従業員がおかしなことをしていても、それをおかしいと言うことすらできない関係です。言いたいことも言えない関係など、とても対等な関係とは言えませんね。
今は従業員がおかしなことをしていれば、それはおかしいと言える関係になりました。労働環境が改善されたことによって初めて従業員と対等な関係になれたのです。
言いたいことを言い合える関係というのは良いものだと思いますよ。その一つの例をあげてみたいと思いますが、先日私が書いたブログがSNS上で多くの反響があり、賛否両論がありました。クソリプもたくさんありました。
アクシアの従業員の中には私のブログを読んでる人も読んでいない人もいると思いますが、ブラック企業だったらこんなテーマについて経営者と堂々と話にくいと思いますが、うちの会社の人達は割りと普通にこの記事に対しての感想を言ってくれてます。
- 耳が痛いですけど確かにその通りですね
- 子育てで時間取れないけど電車の中だけは情報収集するようにしてます
- 楽しいから家でもサーバー構築して色々試してます
- プライベートで公開してるウェブサービスのために色々勉強してます
- 私はプライベートでは勉強しませんよーw
これ全部、会社トップである私に対して従業員から寄せられた声です。普通なら経営者に対しては言いにくい内容もありますか?もし言いにくいのであればそれは経営者と従業員が対等な関係ではないからではないですか?
Twitterでは経営者がこんなことを言ってはいけないとか、こんなこと言うのはサービス残業強制してるようなものだとか、散々なことを言われましたけど、別に私がプライベートな時間での勉強を強制しないことはうちの会社の従業員であれば理解してますし、何かを言ったから評価が下がるとかそういうことももちろん一切ありません。このブログで勉強を強制されたと思考してしまうような脳みそ沸騰した人間はうちの会社にはいませんね。
思ったことを自由に言える、主張したいことを自由に主張できる。それを従業員に対しても言うことができる。これでこそ経営者と労働者の対等な関係と言えるのではないでしょうか。
従業員と対等な関係になりたければまずはまともな労働環境を従業員に提供するという経営者としての義務を果たさないと難しいです。従業員と対等な関係になりたければまずはまともな労働環境を作りましょう。
まとめ
残業ゼロにして労働環境が改善されて楽になるのは従業員だけではない。経営者も楽になる!ぜひブラック企業の経営者の人達に教えてあげてください。