10年前に導入した業務システム、”今はなんとか動いているけど”という状況に、日々不安を感じていませんか?処理速度の低下やセキュリティのリスクが見え隠れし、「このままではいけない」と感じているものの、具体的な解決策が見つからずに困っている方も多いのではないでしょうか。
また、社内リソースや予算が限られている中でシステム刷新するとなると、初期コストや運用コストがどれくらいかかるのか気になるという声もよく耳にします。
この記事では、そんなお悩みを抱える中小企業の情報システム担当者の皆様に向けて、システム老朽化に伴うリスクを最小限に抑えながら、現実的に取れる選択肢と進め方を分かりやすくご紹介します。
限られた予算とリソースでも取り組める具体的な方法を知り、今抱えている不安を解消する一歩を踏み出しましょう。
システム老朽化のリスクとは?
「システム老朽化」とは、導入してから長い年月が経ち、古くなって使い勝手が悪くなったり、新しい技術や業務のニーズに対応できなくなった状態のことを指します。
例えば、以下のような兆候が見られる場合は、システムが老朽化している可能性があります。
- サポートが終了しているハードウェアやソフトウェアを使用している。
- トラブルが頻発し、業務に支障をきたすことが増えている。
- システムが新しく増えた業務に対応できず、手作業が増加している。
リスクの具体例
システム老朽化が進むと、以下のようなリスクが企業に影響を及ぼします。
- 処理速度の低下による業務遅延
古いシステムは、データ量の増加や新しい業務のやり方に対応できず、動きが遅くなることがあります。これにより、顧客対応が遅れたり、生産や出荷に支障が出ることも。結果的に、取引先の信頼を失ったり、競争力が低下するリスクがあります。 - サポート終了によるセキュリティリスク
サポートが終了したOSやアプリケーションを使い続けることで、最新のセキュリティパッチ(セキュリティが甘い部分や問題部分を修正するプログラム)を適用できず、情報漏えいやサイバー攻撃のリスクが高まります。 - トラブル発生時の高額な保守費用
古いシステムの故障対応には、古いプログラミング言語やサポート終了した機器の知識が必要です。しかし、対応できる技術者が減少しているため、費用が高騰し、特に緊急時には予想外のコストが発生することがあります。 - 改修が困難になる
古いプログラミング言語を使い続けながら長年カスタマイズを重ねている場合、技術者数が少ないのに加えてシステムの構造が複雑化しているため、対応の難易度が跳ね上がってしまうことにより改修が難しくなります。
その結果、不具合を抱えたまま使い続けるか、システムを一から作り直す必要が生じ、将来的に大きなコストが発生するリスクがあります。
なぜ今、対策が必要なのか?
システム老朽化を放置すると、以下のような損失が発生する可能性があります。
- 業務が1日停止すれば売上が数百万円単位で失われる。
- システム障害の対応により、従業員の残業時間が月数時間〜数十時間増加する。
さらに、現在のビジネス環境では、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進が重要視されています。これは、ITを活用して業務効率化や競争力の向上を目指す取り組みです。しかし、老朽化したシステムを使い続けると、こうした流れに対応できず、結果的に競争力を失うリスクがあります。
この記事を通じてこれらのリスクを回避し、効率的にシステム老朽化を解消する方法を一緒に考えていきましょう。
老朽化システム対策の選択肢
システム老朽化の対策には、現状や予算、将来のビジネス展開に応じた複数の選択肢があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、自社に最適な方法を選ぶことが重要です。
代表的なものとして、以下のような選択肢があります。
- システムの作り直し
- システムの部分的な刷新
- 保守運用の外部委託(保守移管)
選択肢1:システムの作り直し
古いシステムを一から作り直し、AWSなどのクラウド環境を活用して最新のシステムに全面移行する方法です。これにより、システム全体を新しい技術で再構築し、老朽化の問題を根本から解決できます。
システムを一から作り直すことを業界用語で「システムリプレイス」と言います。
メリット
- セキュリティ強化:最新のセキュリティ基準に準拠した環境でデータを保護できます。
- 業務効率化:最新技術を活用し、処理速度や操作性が大幅に向上します。
- 柔軟な拡張性:ビジネスの成長に応じてシステムをスムーズに拡張できます。
デメリット
- 初期コストが高い:設計から導入までに多額の予算が必要です。
- 社内運用体制の変更が必要:新しいシステムに慣れるため、社員への教育や運用体制の見直しが必要です。
こんな場合におすすめ
- 現在のシステムが業務に大きな制約を与えている場合。
- 中長期的な視点で、ビジネス拡大や効率化を目指している場合。
選択肢2:システムの部分的な刷新
現在のシステムを全て入れ替えるのではなく、一部を刷新して新しい技術に対応させる方法です。例えば、特定の機能をクラウド化するなど、段階的に老朽化の課題を解決していきます。
業界用語では「(部分的な)モダナイゼーション」「(部分的な)リプレイス」などと呼ばれます。
※アクシアでは部分的な刷新のことをリプレイスと呼ぶことが多いです。
例えば、windows7にインストールしていたソフトウェアがあるとします。これをwindows10とかwindows11にアップデートしたあとも使い続けたいとなると、元々windows7用に作られたソフトのソフトウェアなので、そのままだと動きません。
windows10やwindows11で動くように少しだけ直してあげるというイメージです。一から作り直すよりも、期間もコストも大幅に抑えることができます。
アクシアの実績では、今まで使っていたシステムを基本的にはそのまま使える状態で、システムの中身(AWSなどのクラウドサーバーのサーバーOSやミドルウェアなど)を最新の状態にアップデートして使える状態にする刷新が多い傾向にあります。
関連記事:サーバーOS移行の重要性〜安心・安全にビジネスを進めるために〜
メリット
- コスト効率:作り直しよりも初期投資が抑えられます。
- 現行システムを活用:既存のシステムを最大限に活用しながら、必要な部分だけを改善します。
デメリット
- 技術的な制約:古いシステムが複雑すぎる場合、部分的な改善が困難になることがあります。
- 中途半端な解決のリスク:根本的なアーキテクチャが変わらないため、後々大きな改修が必要になる可能性があります。
こんな場合におすすめ
- 全面的な刷新は難しいが、一部機能の改善で業務効率を高めたい場合。
- クラウド環境への段階的な移行を検討している場合。
選択肢3:保守運用の外部委託(保守移管)
老朽化したシステムを引き続き使用しつつ、保守や運用を外部の専門会社に委託する方法です。保守移管とも呼ばれます。
メリット
- 社内負担の軽減:トラブル対応や日常的な保守作業を外部に任せることで、社内リソースを解放できます。
- 短期間での対応が可能:作り直しや部分的な刷新と比べて、短期間で導入できるのが特徴です。
デメリット
- 根本的な解決にはならない:システム自体の老朽化は進行するため、いずれ刷新が必要になります。
- ベンダー依存のリスク:外部委託先に問題が発生すると、柔軟な対応が難しくなる場合があります。
- 費用の高騰の可能性:古いプログラミング言語に対応できる技術者が減少しているため、費用が高騰する傾向にあります。
こんな場合におすすめ
- リソースや予算が限られており、現状維持が最優先の場合。
- システムの更新計画を立てるまでの暫定的な対応として。
選択肢を検討するためのガイドライン
- システム全体が古くなり、業務効率や安全性に影響が出ているなら「作り直し」を検討してもよいかもしれません。
- システム全体や業務全体には問題がないが、一部機能に課題がある場合は段階的に「部分的な刷新」を行うのがおすすめです。
- リソース不足でシステムの更新がすぐに難しい場合は「保守運用の外部委託」が現実的な選択肢です。
アクシアの老朽化システム対応
弊社で行っている老朽化システムの対応と、老朽化を防ぐための対策について紹介します。
顧客負担を最小限に!アクシア流・老朽化システム刷新のアプローチ
アクシアでは老朽化システムの相談がきた際、極力顧客の負担を減らすために、作り直す意味があるかをまず考えます。部分的な刷新によってシステムの中身を最新化することによって解決できるのであれば、そちらをおすすめするようにしています。
また、システムの状況を確認し、どのような問題があるか、そもそも老朽化しているのかなどを調査します。具体的にはセキュリティに問題のある箇所がないか、システムの中身(サーバーOSやミドルウェア等)が古いものか、サポートが終了しているかどうかなどを確認します。
部分刷新のデメリットを解消!アクシアの老朽化対策の取り組み
部分的な刷新を行う場合のデメリットの一つに、システム自体の老朽化は進行するためいずれ刷新が必要になり、根本的な解決にはならないことが挙げられます。アクシアではこのデメリットを解消すべく、今後の老朽化対策として保守でこまめなアップグレードを実施しています。
それに加えて、下記サイトを見てシステムのサーバーOSやミドルウェアのサポート終了時期を定期的に確認し、サポート終了の1年半前にはお知らせと刷新のご提案をしています。こちらも保守の対象範囲です。
※製品のサポート期間が終了することをIT業界では「EOL(End of Life)」と呼び、上記は各ツールのEOLが調べられるサイトです。
このように、部分刷新した後の老朽化問題を放置しないように保守で対策することで、システムを安心・安全に使い続けられるように取り組んでいます。
アクシアでの成功事例紹介
アクシアでシステム老朽化の対策を行った事例を3つご紹介します。これらの事例を参考に、次の一歩を踏み出すきっかけにしていただければ幸いです!
事例1:作り直し+時代に合わせた部分刷新による段階的な改善
背景と課題
不動産業会社の事例。2010年ごろ、不動産関連の情報管理をMicrosoft Office Accessで構築したデスクトップアプリで運用していたが、システム老朽化によりWindowsのバージョンアップに対応できなくなってしまった。
古いシステムをそのまま利用するためには約100人の社員のPCすべてに1つ数万円の新しいソフトをインストールする必要があり、ソフトの更新コストが膨大。
解決策
Webシステムを新規構築し、社員が個別インストールする手間と費用を大幅削減。
その後、サポート終了予定のサーバーOSやミドルウェアの刷新を2018年ごろと2024年に行った。
成果
- 全社員で共有可能な効率的なシステムを構築し、維持費を大幅に削減
- 必要に応じた部分刷新による、システムの中身の最新化とセキュリティ強化
- 使い慣れたシステムを活用し続けつつ定期的にシステムの中身は最新の状態を保っている
事例2:保守移管+部分的な刷新(オンプレミスサーバーのクラウド移行)
背景と課題
IT・通信関連事業会社の事例。オフィス内に8台のオンプレミスサーバーがあり、10年近く運用しておりいつ壊れてもおかしくない状態だった。重ねて、オフィスの解約と社内IT部門が1人もいなくなってしまうためクラウドサーバーへの移行と保守の移管先を検討していた。
解決策
アクシアに保守移管後、AWSクラウドへの移行を実施し、システムをクラウドに適応する形で更新。
成果
- サーバー管理の効率化とコスト削減を達成
- 保守移管を行い、問題発生時の対応体制を構築
- クラウドサーバー移行による、システムの中身の最新化とセキュリティ強化
事例3:保守移管+部分的な刷新(クラウドサーバーの移行)
背景と課題
自動車教習所の関連事業会社の事例。長年かけてさまざまな会社にウェブサイト構築を発注していった結果、1つのサーバーの中に6個のウェブサイトが入って運用されている状態になっている。
老朽化を解消したく対応できる会社を探していたが、それぞれアーキテクチャが違うためサイトをアップデートして運用を続けるのは難しく、どこへ行っても新しく作り直すしかないと断られていた。
解決策
アクシアに保守移管後、最新のAWSクラウドへの移行を実施し、ウェブサイトは作り直さずサーバーの中身を最新の状態にアップデート。
成果
- 作り直しで提示されていた費用の1/5でアップデートを実現し、老朽化問題を解決
- 保守移管を行い、問題発生時の対応体制を構築
- 最新のAWSサーバーへの移行による、システムの中身の最新化とセキュリティ強化
他にも多数の老朽化システムを対応した実績があり、ノウハウが蓄積されています。他社で何度も断られていて困っていたというお客様も多くいらっしゃいます。今あなたが悩まれている老朽化システムも、アクシアなら解決できるかもしれません。お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。
対策実施の具体的なステップ
ここではシステム老朽化の具体的な対策を紹介します。システム老朽化に対応するためには、計画的なプロセスが必要です。限られたリソースと予算の中で効率的に進めるために、以下の4つのステップを参考にしてください。
ステップ1:現状分析
まずは老朽化の原因やリスクを明確にするために、現状分析を行いましょう。診断ツールや外部専門家による無料診断サービスを活用することで、システムの現状を効率的に把握できます。
やること
- システムの稼働年数、障害頻度、保守状況をリストアップ。
- セキュリティや処理速度の現状を簡易評価する。
- 自社のIT資産と課題点を「見える化」する。
ステップ2:優先順位を決める
現状を洗い出したら、対応の優先順位をつけましょう。すべてを一気に対策するのではなく、費用対効果の高い部分から着手することでコストを分散できます。
このあたりはITに詳しい人がいないと難しい、わからない部分もあるかと思います。優先順位をつけるのはパートナーとなるベンダーが決まってからでも大丈夫です。
やること
- 必須機能と不要機能を洗い出し、業務影響が大きい部分を特定する。
- セキュリティや速度改善など「すぐに効果が出る」部分を優先する。
- 全面的なリプレイスが必要か、部分的な刷新や保守運用で対応できるかを判断する。
ステップ3:ベンダー選定と見積もり取得
パートナーとなるシステム開発会社を選びましょう。最適な外部ベンダーを選ぶことで、計画的に対策を進められます。ベンダー選定時には、過去の実績や得意分野、導入後のサポート体制を確認すると安心です。
やること
- 候補となる開発パートナーにシステムの現状と課題を伝える。
- 「保守移管」「作り直し」「部分刷新」「AWS移行」など、各選択肢の見積もりを比較検討する。
- 導入後のサポート体制やコスト管理について確認する。
ステップ4:実施と運用
対策を進めながら、運用後の効果を測定し、必要に応じて調整していきます。
やること
- 最小限の範囲で新システムを稼働し、業務影響を確認する。
- 残業時間の削減率や運用コストの変化を定期的にチェックする。
- 段階的にAWS導入を拡大し、最終的なクラウド基盤へ移行する。
ポイント
「ダウンタイムを最小化する導入プロセスを設計することが重要です。例えば、業務が少ない時間帯に移行作業を計画することで、業務への影響を最小限に抑えられます。」
この4つのステップを順番に進めることで、無理のない形で老朽化対策を実現できます。限られた予算やリソースでも、適切な計画を立てることで、大きなリスクを避けることが可能です。
まとめ:一歩踏み出すために
システムの老朽化は、放置すれば業務効率の低下やセキュリティリスクの増大を招き、結果的に企業全体の競争力に影響を与えます。しかし、適切な対策を講じることで、これらのリスクを最小限に抑えつつ、システムを将来にわたって活用できる状態にすることが可能です。
この記事でご紹介したように、以下のポイントを押さえて進めることで、リソースや予算が限られた中小企業でも現実的な対策が取れます。
- 現状を正確に把握し、リスクを可視化する。
- 費用対効果を考慮し、優先順位をつけて対策を進める。
- 最適なパートナーを選び、計画的に実行する。
これらを実施することで、老朽化リスクを解消し、業務効率やセキュリティを向上させる道筋が見えてくるはずです。まずは無料のセキュリティ診断などを活用して、自社のシステムの状態を把握しましょう。
もしシステムの老朽化についてお悩みがありましたら、些細なことでも構いませんので私たちにご連絡ください。
これらのアクションを通じて、老朽化リスクの解消と新しいシステムへの移行を成功に導くサポートをさせていただきます。次の一歩を一緒に踏み出しましょう!