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「残業ゼロ」を73ヶ月間続けた記録

目次
  1. なぜ残業をゼロにしたのか
  2. 残業をゼロにするために何をしたのか
  3. 残業ゼロの記録
  4. 残業ゼロにして最初の1週間
  5. 残業ゼロにして2週間目
  6. 残業ゼロにして1ヵ月
  7. 残業ゼロにして3ヵ月
  8. 残業ゼロにして6ヵ月
  9. 残業ゼロにして12ヵ月
  10. 残業ゼロにして24ヵ月
  11. 残業ゼロにして36ヵ月
  12. 残業ゼロにして54ヵ月
  13. 残業ゼロにして69ヵ月
  14. 残業ゼロにして73ヵ月
  15. 残業ゼロになって今思うこと

アクシアでは2012年の9月で残業をやめました。2012年の10月からはずっと残業ゼロです。もともと残業まみれの超絶ブラック企業でしたので、残業をやっていた頃となくしてからは、全く別の会社に生まれ変わりました。

先日こんなブログを読みました。

「残業しないで定時帰り」を23ヶ月間続けた記録【人生を取り戻す】

私のように経営者として会社の残業をゼロにしたのではなく、従業員の立場としてご自分の残業をなくした方がその経験を書かれた記事で、大変興味深い内容でした。残業のある会社で「残業はやらない」と決意し、それを実行することはとても大変なことだったと思います。

上記は従業員の立場として残業をやめた記録を綴ったブログ記事ですが、このブログ記事に倣って、経営者の立場として会社の残業をゼロにした記録を本日の記事に書いてみたいと思います。

なぜ残業をゼロにしたのか

なぜ残業まみれだった会社の残業を突然ゼロにしたのか。正直申し上げて別に経営者としての先見の明があったわけでも立派なビジョンがあったわけでもございません。

残業をなくした理由は、そうしないと辞めてもらったら困る社員が辞めてしまう状況だったからです。つまり追い込まれて仕方なく残業をゼロにしただけです。

後からきれいな理由をつけて何とでも言うことは可能なので、「これからの時代は採用戦略なども考えると残業をゼロにして労働環境を改善するべきだと考えた。弊社はそれを他社より数年早く実行に移しただけだ。」などと言っても良いのですが、現実はそんな格好いいものではありませんでした。

残業ゼロにしないと会社が崩壊しかねない状況だったので仕方なく残業ゼロにした、というのが本当の理由です。その結果として良いことばかりが次々と起きているだけです。決して経営者として優れていたわけではありません。w

残業をゼロにするために何をしたのか

残業をゼロにするために何をしたのかというと、「とにかく定時で帰らせる」これが基本です。もう少し格好よく言い換えると、経営者としての覚悟です。

上記で引用させてもらっているブログの筆者の方も、「とにかく早く帰る」ことが唯一無二のルールだとおっしゃっています。

なんだかんだ言っても覚悟が一番大事なんです。残業を実際になくした実績を持つ経験者の多くはこれに同意するでしょう。理論も大事ですが、理論よりも覚悟です。覚悟がないとどんな理論があっても骨抜きになります。

理論も大事だけど覚悟が一番大事だよということに関しては、下記の記事を読んでいただくとわかりやすいかなと思います。

業務効率化すれば残業が減るというのはウソ

アクシアも残業ゼロになる前から数年にわたって業務効率化には取り組んできました。そして業務効率化に成功もしました。でも残業はなくなりませんでした。私から言わせれば業務効率化をやれば残業が減るとか言っている人は残業削減の現場を知らないただの評論家です。

大事なことなのでもう一度言います。一番大事なのは覚悟です。根性論とか言われようともこれが真実です。経営者に覚悟がなければ組織の残業はゼロになりません。

残業ゼロの記録

残業ゼロにして最初の1週間

2012年9月30日。全従業員の前で私はこのように宣言します。

「明日から残業を禁止にします」

その時の従業員の表情は、失笑というか、何言ってんのこいつ?みたいな顔をしていたことを覚えております。今こんなに残業まみれなのに、何を意味不明なことこいつは言ってんの?という感じだったのでしょう。

全員が疑いの目で見ており、全員が「どうせ嘘だろ」と思っていたと思います。

残業ゼロにして2週間目

残業ゼロなんてどうせ嘘だろという従業員の気持ちとは裏腹に、毎日強制的に定時で帰らせる日々が続きました。

今まで毎日終電まで仕事していたのに、急に毎日定時までしか仕事ができなくなったわけですから下記のようなことが発生しました。

  • 仕事が終わらない
  • 納期に間に合わない
  • お客さんに怒られる

ここで心が折れてもおかしくなかったでしょう。でも一度覚悟を決めた私の心は折れませんでした。(開き直っていたとも言います)

仕事が終わらなくても、納期に間に合わなくても、お客さんに怒られても、とにかく定時で帰らせました。残業まみれの会社が急に残業ゼロにするためにはこれくらいの荒療治が必要だったのです。

残業ゼロにして1ヵ月

残業禁止なんてどうせ嘘でしょと疑いの気持ちを抱いていた従業員に少しずつ心境の変化が生まれてきました。

「残業禁止とか言ってたけど、これもしかして本当なんじゃね?」

本当に残業させてもらえないと少しずつ理解し始めた従業員達は、残業しなくても仕事が終わるように工夫して動き始めるように変化が現れました。

残業まみれだった頃は何かあってもすべて「残業でカバー」という必殺技を発動させていたわけですが、この必殺技を一切使えなくなってしまったので、残業しなくても良いように考えて動かざるを得なくなりました。

また残業ゼロになってから1ヵ月経過した時には驚くべき変化も現れていました。なんと残業まみれだった2012年9月の売上(生産量)と比較して、残業ゼロとなった2012年10月の生産量が27%も伸びていたのです。

なぜ残業をゼロにしただけでこれほど生産性が向上したのかについては下記の記事もご覧ください。

残業を無くしても売上が落ちない理由

残業ゼロにして3ヵ月

残業ゼロも軌道に乗ってきてみんな新しいやり方に少しずつですが慣れてきています。それまで残業前提だった思考が、残業しないことを前提とした考え方に切り替わり、仕事の進め方も大きく変化しました。

ところがこの頃はまだ残業ゼロの習慣が定着していない時期です。油断してるとすぐに残業を考えてしまう人がいます。

「納期が近いので特別に残業させてほしい」

こういうもっともらしい理由を言って残業しようとする人がまだこの頃は結構いました。ここで特別に残業を認めてしまう人もいるかもしれませんが、甘いです。

納期が近いからとか言われても、私は一切の残業を認めませんでした。

納期が近いからと言って、「特別な残業」を例外として認めてしまえば、その例外が組織のルールとなってしまうからです。それでは何か特別な理由があれば残業しても良いという意識が組織の中に植え付けられてしまいます。

納期が近いから残業しなければならないとかいう屁理屈は、納期に間に合うように適切に段取りしてこなかった言い訳に過ぎません。改めるべきは「特別な残業」を例外として実施することではなく、「特別な残業」をしなくても良いように仕事の進め方、段取りを改めることです。

残業ゼロにして6ヵ月

残業ゼロにしてから半年経過したくらいになると、何も言わなくてもみんな勝手に定時で帰るようになりました。

人間の習慣を改めるためには半年くらいはかかるようです。それまでの半年は放っておくと残業しようとする従業員との闘いでした。

残業ゼロの習慣が身に付くまでの間は、油断してると定時が近付いてるのに仕事を終えようとしない従業員が現れます。

私は毎日定時が近付いてくるとオフィスの中を見回り、まだ仕事を終えようとしてない従業員を見つけるとその従業員の席の後ろに黙って立つようにしていました。特に何も言いません。パソコンの電源を切るまで無言でその従業員の席の後ろで腕を組んで仁王立ちしてました。w

この無言の仁王立ちが効果てきめんで、みんな30秒以内にはパソコンの電源を落としてくれていました。w

残業ゼロにしてから半年経過したころには、私が一々オフィスを見回って無言の仁王立ちをしなくても、みんな勝手に定時までには仕事を終えて退社してくれるようになりました。

残業する習慣が、残業ゼロの習慣に変わったということです。

残業ゼロにして12ヵ月

トータルで見ると残業ゼロにして良いことばかり起きていたのですが、その間には一時的にネガティブな出来事も起きました。

  • 残業ゼロになじめない社員がやめていった
  • 残業ゼロに共感して入社した社員でも残業ゼロになじめない人もいた
  • 残業ゼロの方針に納得できずに離れていった顧客もいた

残業ゼロって楽なイメージを持たれることも多いのですが、残業ゼロは定時になったら帰るというよりは、定時までに仕事を終わらせる働き方です。定められた時間内で結果を出さなければならない厳しい環境でもあるわけです。そういう働き方がどうしてもなじめない人も実際にいました。

また多くの顧客は残業ゼロの方針に共感してくれたのですが、一部ではやはりこの方針に反発した顧客もいました。具体的には時間外での対応を強要しようとする顧客ですね。でも私が絶対に折れずに時間外での対応は徹底して拒否していたので、それに納得できない顧客は離れていきました。

残業ゼロにして24ヵ月

残業ゼロにした結果、離れていった従業員や顧客が発生するなど、一時的に見ると良くないことも起きました。しかしトータルで見るとやはり良い結果となりました。

求人応募には以前よりもはるかに人が集まるようになりましたし、優秀な人もどんどん集まってくるようになりました。

またアクシアの残業ゼロの方針に納得して共感してくれる顧客が結果的に増えました。残業ゼロを維持することを考えて、理不尽なことを言う顧客(乞客)を切り捨てるようになっていたことも要因としてあります。

残業禁止にしたら顧客を選ばざるをえなくなった話

結果的に決められた時間内で高い成果を出せる社員、理不尽な要求をしてこない優良顧客が残るようになりました。

残業ゼロにして36ヵ月

残業まみれだった頃には顧客の理不尽な要求など当たり前で、それを当然のごとくアクシアでも受けてしまっていました。

残業禁止にしてからも時々顧客の理不尽な要求が発生すると、それを拒否するために闘わなければいけないことがしばらく続きました。

しかしずっと残業ゼロを続けてきた結果、優良な顧客が残るようになり、今までだったらあり得なかったような変化が顧客側にも現れました。

「アクシアさんは残業ゼロだから、この対応明日以降にお願いね」

以前だったら「この対応絶対に今日中にお願いします」とか言われることが多かったのに、顧客の方がアクシアの仕事の進め方に理解を示してくれて、無理のない要求の仕方をしてくれるようになってきました。

もちろん今でも無理な要求が発生することがゼロではなく、そういう時はしっかりコミュニケーションを取って納得してもらうようにするわけですが、以前と比べると顧客側が理解を示してくれることが格段に増えました。

残業ゼロにして54ヵ月

2016年3月にはホワイト企業アワードで大賞受賞させてもらいました。

以前は残業まみれで毎日終電、毎週休日出勤が当たり前だったブラック企業が、第三者機関に審査してもらって客観的にホワイト企業だと認定されるまでになりました。

残業ゼロにして69ヵ月

その後もアクシアで働きたいという人からの求人応募がどんどん増え続け、特にどこかの求人媒体に求人を掲載しているわけではないのに、毎日毎日応募がくるようになりました。

あまりにも応募数が多いため、まず2017年9月にプログラミング未経験者からの応募を打ち切りました。それ以降経験者のみを募集するようになりました。

それでも応募は増え続け、アクシアでは十分すぎるくらいに優秀なエンジニアを採用できたので、2018年6月には経験者も含めて求人の応募もいったん完全ストップすることになりました。

アクシアが採用を完全にストップするに至るまでの経緯

労働人口が減少して人手不足の時代に突入し、各社採用に四苦八苦している中で、これだけ多くの方からご応募いただけることは大変ありがたいことです。

今も採用はストップ中でウェブサイトにもそのようい掲載しているのですが、どうしてもアクシアで働きたいと応募のご連絡を週に何度かはいただきます。(大変申し訳ありませんがご連絡いただいても採用してないので対応できません)

残業ゼロにして73ヵ月

アクシア社内では残業ゼロが当たり前になりすぎて、もはや誰も残業ゼロであることをほとんど話題にすら出さなくなりました。以前のように、何かあると残業をしようとする人ももちろんいません。

少し前までは、「残業無しの会社で働けて良かったです」とか言う人もいましたが、今はもはや残業ゼロで働くことが当たり前なのでそんな話も出ません。「一度でいいから残業というものをやってみたいものですね」とか生意気なことを言う人もいましたが、今は残業ゼロで働くことが大前提で当たり前になっているのでそんなこと言う人もいません。

今は新しい人が入社してきた時にも、一々私が色々説明しなくても、残業ゼロ前提の仕事の進め方を周りの従業員達が新しく入ってきた人に説明して指導してくれるようになりました。

残業ゼロの習慣が、残業ゼロの企業文化にまで昇華されたと感じています。

残業ゼロになって今思うこと

残業まみれのブラック企業だったアクシアが、残業ゼロになり、残業ゼロの習慣ができて、今では残業ゼロを企業文化にまですることができたと思います。

アクシアでは残業ゼロがもはや当たり前になっていますが、世の中的にはまだまだ残業が残っているのが現状であり、残業ゼロであることでアクシアのことをほめてくれる人達がたくさんいます。

残業ゼロなんてもはや当たり前であり、これでほめられるようなことが本来おかしいのだから、もう一々残業ゼロについて情報発信しなくても良いかなと思ったこともあるのですが、今はまだアクシアの情報が世の中の役に立つようなので、もうしばらくは残業ゼロについても情報発信を続けたいと思います。

残業ゼロが、アクシアの習慣となり、アクシアの企業文化となったように、今度は少しずつでも世の中の人達の習慣となり、さらにそれが文化となるまでに発展させていくことができれば良いなという、密かな私の願いを最後に綴らせていただきまして、本日のブログの締めとさせていただきます。

長文にお付き合いいただきましてありがとうございました。

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