社員に残業させることについて色々考えてみた


今日はプレミアムフライデーですね。残業ゼロを方針として掲げるアクシアですが、プレミアムフライデーには全く賛同できないため本日も気にせず定時まで仕事します。

アクシアは2012年から残業ゼロを継続中のIT企業です。以前はこの業界の他の多くの会社と同じように残業まみれの会社でしたが、方針を改め今では残業ゼロを徹底しております。その結果として様々な良い効果も生まれてきております。

残業まみれの会社が残業ゼロになって変わったこと

最近は働き方改革がブームとなってきており、どこの会社も残業時間削減をはじめとした各種働き方改革の施策を実施するようになりました。しかし人の価値観は様々なので、今でも残業削減に対して懐疑的な立場の方もたくさんいらっしゃるようですね。

私は別に残業ゼロが絶対的な正義だとは思いませんし、アクシアではわかりやすく残業ゼロという方針を掲げてはいますが、きちんとしたポリシーがあるのであれば、ある程度までであれば残業することがあっても別に構わないと思います。

アクシアは元々長時間労働が当たり前のブラック企業でしたし、私自身も昔は365日24時間働くことは素晴らしいと考えてそれが正義だと思っていた時期もあります。働くことが人生であり、働かないことは甘えであると。

そんな私も今では残業ゼロを方針として掲げており、180度方向転換したような感じになっておりますが、両極端のことをやってきた立場として残業について考えてきたことがありますので、

ロート製薬さんのこのプロモーションに乗っかって残業ポエムを書いてみたいと思います。w

残業ゼロは正義なのか?

アクシアは残業ゼロの方針を掲げていますが、残業ゼロが絶対的な正義なのかと言うと、全くそんな風には思っていません。30分までならOKとか、1時間までならOKとか、そういうのはわかりにくくなってぶれてしまうこともあるので、誰が見てもわかりやすくする意図もあって「残業ゼロ」を掲げています。

たまに「残業は絶対にゼロでないとダメですか?」という質問をいただくことがあるのですが、そんなことはありません。残業ゼロはアクシアの方針であって、絶対的な指針ではありません。慢性的な残業体質に陥ってしまうことには問題がありますが、本当に必要な残業であれば実施すれば良いと思います。

そうは言っても健康上の問題もありますし、人間が集中力をキープできる時間には限界があります。健康を損ねるほどの労働時間にすることは明らかに間違っていますし、効率を考えても集中力を維持できる範囲内でメリハリをつけて仕事をした方が高い成果も期待できます。

残業を無くしても売上が落ちない理由

残業を無くしても必ずしも売上は落ちませんし、むしろ売上が伸びることも期待できます。

なぜ365日24時間働けとか言ってしまうのか?

某経営者が365日24時間働けと言ってしまったり、また別の経営者は週110時間働くことを自分に課していたり、長時間労働を正義とする考え方は昔からあります。特に成功した経営者が長時間労働を推奨していると説得力もあります。

今でこそ電通社員の過労死事件で世間の空気がガラッと変わりましたが、ほんの一昔前までは今ほど長時間労働に対して問題視されることもなかったと思います。

私も以前は365日24時間働けという某経営者の言葉に対して「素晴らしい!」と思っていた時期もありました。これこそが成功する経営者の考え方なのだと。

一昔前ならともかく、今でもこのような考え方に固執している人はたまに見かけますね。自分や会社が成長するためには、長時間労働することは当たり前のことであり、必要なことだとこの種の人達は考えています。

なぜこういう発言をこの種の人達がするのかというと、それは自分の考えが正しいと信じているからですね。良い悪いは別としても、自分の信念やポリシーをしっかり持っている人達とも言えます。

自分が長時間労働によって成功してきているから、それが絶対に正しいと思う。他の人達も同じように長時間労働するべきだと心の中では考えている。だからそういう考えが言動の中ににじみ出てしまい、それが世間の人達からすると全く反省していないように映るのだと思われます。

誰もが長時間労働できるわけではない

長時間労働によって自分が成功してきたので、長時間労働は正義だと自分で心の中で思っておく分には問題ないのですが、それを人にも押し付けようとすると大きな問題となってきます。

世の中にはわずかな睡眠時間でも全く問題ない人が存在していて、そういう人達が長時間労働で成功して脚光を浴びると、やはり長時間労働は正義だと考えてしまいがちですが、世の中1日の睡眠時間が3時間で大丈夫な人達ばかりではありません。そういう人はレアケースです。

ほとんどの人はしっかりと睡眠時間を取らなければなりませんし、わずかな睡眠時間で大丈夫なレアな人達のケースを一般化して考えてしまうことは危険です。人によって差はあるとしても、ほとんどの普通の人は1日7時間~8時間程度の睡眠は必要でしょう。

この「誰もが長時間労働できるわけではない」という大前提を忘れてしまうと、自分が長時間労働できるのだからみんなも長時間労働できるはずだという危険な考え方に陥ってしまいます。

自分にできることが必ずしも他の人も当たり前にできるわけではないということは、強く肝に銘じておかなければならないことだと思います。

人によって価値観は全く違う

残業ゼロも一つの価値観ですし、長時間労働も一つの価値観かもしれません。忘れてはならないのは人によって価値観は様々だということです。

従業員を奴隷のようにこき使ってやろうという考え方の上司は論外としても、中には部下の成長を心から願って部下に仕事を与えて残業を命じている上司もいます。部下のことを心から考えることは良いことなのですが、これも人によって価値観が違うことを忘れてしまうと危険です。

以前とある会社の方とお会いした時に、その方が言っていたのが「うちは残業もあるけどやればやるほどしっかりと評価もされて収入にも反映される仕組みがきちんと整備されている。だから残業があったとしてもみんなやりがいを感じて仕事ができているし、従業員の満足度も高いし優良企業です」ということをおっしゃっていた方がいました。

おそらくこの方は心から自分の会社を良い会社だと感じていたと思いますし、実際に評価制度や賃金制度がしっかりと整備されていた会社なのかもしれません。

しかし実はこの方の会社の別の従業員の方から、私のところに相談をいただいたことがあって、その相談内容とは、「いくら業務効率化して残業を減らそうとしても別の仕事を上司から振られてしまうので、やればやるほど損した気分になってしまいます。どうすれば良いですか?」という内容でした。

「残業があっても報酬に反映されていればやりがいを感じられる」という価値観と、「残業をなくしてプライベートを充実させたい」という価値観の相違ですね。人それぞれ価値観は様々なので、報酬に反映されてさえいれば残業があってもやりがいを感じられるという考え方は必ずしも正義ではないということです。

自分の価値観を人に強制しないようにする

私自身ブラック企業時代から今まで、色んな「正しいと思うこと」をやってきたつもりです。でもその中で気づいた一つの大きなことは、自分にとって正しいと思うことが必ずしも人にとっても正しいわけではないということです。

私も最初は成長するためには長時間働くことは重要だと考えていましたが、この考え方を人に強制することはやめました。その後色々学んでいく中で、普通の人があまりにも長時間働きすぎることは逆効果だとわかり、長時間労働を人に強制することをやめるだけだはなく、自分自身も集中力が低下してしまうほど長時間働くことはやめました。

好きで長時間働くのがなぜ悪いのか

また会社の残業がゼロになってからも、成長するためにはプライベートな時間を勉強するべきだという考え方が私の中にあって、今でもそれは間違ってはいないと思ってはいますが、そういう自分の価値観を人に強制することはやめることにしました。

エンジニアは業務時間外でも勉強するべきなのか

業務時間中は会社と従業員で契約した時間なので、様々な業務指示を出しますが、人それぞれ価値観は様々であり、プライベートな時間をどのように過ごすかについても、人によって考え方や価値観は様々です。

そこで上司に干渉されるのは部下によっては非常に大きなストレスになるかもしれません。だから私は、業務時間外のことについては一切私からは部下に聞くことをやめました。部下の方から話してきた時だけ聞くようにしています。ですので部下がプライベートでどれくらい勉強しているのかとか、休日や業務後にどんな時間の使い方をしているのかとか、趣味は何であるかとか、そうことはあまり知りません。w

これも私の価値観を人に押し付けないようにするためにやっていることです。残業ゼロにするだけではなく、業務外のことについては極端と思われるほどに一切干渉しないようにしています。

社員に残業させるとは、社員の価値観を無視すること

これまで書いてきた通り、私は自分の価値観を社員に押し付けないように気をつけているわけですが、社員に残業させるということは、その社員の価値観を無視するということです。

定時後の時間をどのように使いたいかについては人によって様々です。やりたいことがある人、会いたい人がいる人、のんびりしたい人、スキルアップに取り組みたい人、それぞれいるはずですが、会社から残業を強制されるということは、そういった従業員の様々な価値観を全て無視して業務に従事させるということでもあります。

残業させることは非効率ですが、それによって経験を積んで成長できる部分もあるかもしれません。しかし成長する手段は別に仕事以外にも色々ありますし、残業という手段によってそれを従業員に強制してしまうと、残業したくないという従業員がいた時に必ず不満が蓄積されてしまいます。

こういったことを少なくしていくためには、人によって価値観は多様であるということを認め、自分の価値観を人に押し付けないようにするしかないと思います。

突発的で一時的な残業であれば許容範囲かもしれませんが、慢性的に残業を強制されるような環境では、従業員は自分の価値観を否定されているわけですから、不満は徐々に蓄積されていくでしょう。

残業ゼロにして、定時後の時間の使い方については完全に従業員の価値観に委ねるということは、こうした不満を最小にするという効果もあります。

ちなみに残業したいという価値観はどうするの?という疑問が出てくるかもしれませんが、残業すれば残業代も発生しますし、本来残業は会社に無断で勝手にやって良いものではありません。好き勝手に残業やりたいという要望は、従業員が自らの価値観を会社に押し売りするのと同じです。

時間に縛られずにどうしても自由に残業したいという人は、裁量労働制の会社で働くとか、フリーランスになるとか、責任が伴う代わりに大きな裁量を与えられる働き方を選択するべきでしょう。