アクシアは現在オフィスを持っていません。コロナ禍の状況が今後どのようになっていくのか読めなかったこともあり、2020年4月1日から全従業員を在宅勤務に切り替えました。それまで東京と札幌にオフィスがありましたがそれは解約し、現在は登記用のバーチャルオフィスがあるだけとなっています。

完全在宅勤務にしてから約8ヶ月が経過しましたが、その間に変化したことを今回の記事にまとめてみます。

旧東京オフィスエントランス

変わったこと1:業務効率

完全在宅勤務にしてから業務効率が格段に上がりました。アクシアでは在宅勤務の取り組み自体は2011年からスタートしました。東日本大震災でほとんどの社員が出社できない状況に陥り、同様の事態が発生した際のリスクヘッジとして在宅勤務を始めようとしたことがきっかけです。

以上のように在宅勤務は以前から実施していましたが、コロナまでは希望者のみ(全体の3分の1程度)が在宅勤務でした。これを全員完全在宅勤務に切り替えました。それほど変わらないようにも思うかもしれませんが、一部在宅勤務と完全在宅勤務では業務効率に天地ほどの差がありました。

完全在宅勤務になって業務効率の面で大きく変化したことは、紙と印鑑を徹底して排除するようになったことです。それまでは普段は在宅勤務で仕事していても、時々必要に応じて出社して紙を印刷したり印鑑を押したりしていれば特に問題ありませんでした。

ところが完全在宅勤務に切り替わりオフィスがなくなると、これまで当たり前のように行っていた印刷や押印に膨大なコストが発生していることに気づきました。

オフィスの廃止に伴い、プリンターも処分しました。今はどうしても印刷が必要な時にはコンビニに行って印刷しなければなりません。スキャンを取るのもコンビニです。それまで当たり前のように紙で送付していた請求書や、当たり前のように紙で作成していた契約書がとてつもない負担となるようになりました。

また従業員の間で紙や印鑑やり取りが発生する場合、郵送手配が必要となり、手続きに数日を要するようになりました。

それ以外にも紙で作成された請求書や見積書などの会社文書は、その種類によってそれぞれ保存しておかなければならない年数が法律で決まっています。オフィスがあると当たり前にオフィスに保管していた書類の保管場所も、オフィス廃止に伴い重く負担としてのしかかってくるようになりました。

コロナ禍の中で2020年3月にオフィス廃止を決定し、オフィスがなくなることで想定される上記リスクに早急に対処しました。請求書は社内の顧客管理システムから請求処理を実施すると顧客にメールで送付されるようにシステムを改修しました。契約書関連は電子契約のシステムを導入して紙から電子に全て切り替えました。オフィスに保管されていた膨大な紙の書類は、種類ごとに定められている保管期間が過ぎているものについては全て処分し最小ボリュームになるようにしました。今まで紙で受け取っていた請求書等の書類も、取引先にお願いして電子に切り替えられるものは全て電子に切り替えました。

今までオフィスがあった時には「当たり前にできてしまっていたこと」がオフィスがなくなったことでできなくなりました。ただそれらは単に今まで気づくことのできなかった非効率な業務であり、オフィス廃止で非効率が表面化しただけのことです。結果的にあらゆる場面で業務効率化が促進され、オフィス廃止前よりもスムーズに業務が進むようになりました。

変わったこと2:経費

オフィスがなくなったことで削減された経費には下記のようなものがあります。

  • オフィス賃料
  • オフィス水道光熱費
  • オフィスインターネット料金
  • 社員通勤交通費

特にオフィス賃料は東京と札幌のオフィスを解約したことによって膨大な経費削減となりました。今もバーチャルオフィスの料金は発生していますが、月にほんの数千円です。w

逆に追加で発生するようになった経費としては、在宅勤務になったことによって従業員に追加の負担となった水道光熱費に相当する金額を、それぞれの雇用契約の勤務時間に応じて一律給与アップという形を取りました。ただしオフィス廃止後に入社となる従業員に関しては、これらの費用も込みの給与額ということで了承いただいて入社いただくこととしています。

幸いなことにこのコロナ禍においても、アクシアは大幅な増収増益となる見込みでありがたい限りなのですが、今後いつ我々の業界にも景気の波が押し寄せてくるかわかりませんので、そうしたことに備える意味においても、早い段階で固定費を大きく削減できたことは非常に良かったと考えています。

変わったこと3:採用

今までは一応希望者については在宅勤務を認めていたとはいえ、東京または札幌のオフィスに勤務していただくことを前提とした採用を行っていました。当然のことながら応募者の居住地も東京近辺か札幌近辺に限定されていました。

これがオフィス廃止後初めてとなる採用を行った時には状況が一変しました。完全在宅勤務ということで、北海道から沖縄まで日本全国からご応募いただくようになりました。これによって今までだったら採用できなかった人、地理的な理由でご応募すらいただけなかった人からも、たくさんのご応募をいただけるようになりました。

日本全国から応募がくることは予め予想していましたし、オフィスがなくなったので選考のやり方も刷新しました。面接は全てZoomで行い、最終面接だけ応募者の方の居住地近くまでこちらから伺うスタイルに変えました。

最終面接もZoomで終わらせるかについては社内でもよく検討しましたが、ご入社いただいてこれから一緒に働いていく仲間となる方については、最初の一度だけは直接お会いしておきたいという私自身の強い希望により、応募者の方が居住している場所が日本のどこであっても、最後は直接会いに行く方針としました。

また今回は面接まで進んだ方で該当する方はいませんでしたが、離島に住んでいらっしゃる方については会社と従業員双方にリスクがありますので、もし選考に残られた場合にはご入社いただくかどうかを慎重にご検討いただく必要があると考えていました。

完全在宅勤務のため、今まで東京と札幌の二箇所でまとめて行っていた年1回の健康診断ですが、これは各自の自宅付近にある健保組合提携病院で行っていただくこととなります。提携病院の場所を調べたところ、離島以外であれば全国に健康診断を行える病院があることは確認できましたが、離島だと船に乗って健康診断のために数日を要する可能性もあります。

またパソコンその他の業務に必要な機器は全て会社支給としています。離島でなければ必要なものをネットで購入して翌日くらいには配送できますが、離島の場合には配送までに何日もかかってしまうことが想定されます。急遽必要となったものがすぐに入手できない場合、最悪業務を行えなくなってしまう可能性があります。

もし離島在住の方からご応募があった際にどうするかは今後の課題となっております。

変わったこと4:コミュニケーション

業務上のコミュニケーションにについては、元々オフィスが東京と札幌に別れており、在宅勤務の人が3分の1程度いて、普通にコミュニケーション取れていたため、全員が在宅勤務になった後も業務上のコミュニケーションに支障が出ているようなことはありません。SlackやZoomを使って適切にコミュニケーション取れています。

これはコロナの影響であって在宅勤務は関係ないと思いますが、取引先とのコミュニケーションも多くはZoomに切り替わりました。コロナ禍前には直接訪問して打ち合わせしていた顧客も、今では基本的にZoomミーティングとなっています。それによって特に大きな支障は発生していません。

オフィスがあると自然発生する「雑談」については、元々Slackで雑談用のチャンネルを設けており、そこで東京オフィスの人、札幌オフィスの人、在宅勤務の人との間で日々雑談が発生していました。もちろん雑談によく参加する人、しない人はいますが、それはオフィス内でも同じだと思います。

私が現在少しだけ気にしているのは、業務には直接的に関係のない悩みで、さらにSlackのようなオープンな場では気軽に話しにくいような、ちょっと気軽に誰かに話聞いてもらいたいみたいなコミュニケーションが、もしかしたらオフィス廃止によってこのような会話も消滅しているかもしれないということです。

オフィスがあったら隣にいた誰かに気軽に相談できていたこと、業務後に同僚と飲みに行った時に気軽に相談できていたようなことが、誰にも話せずにストレスになってしまっているようなケースがもしかしたらあるのではないか?ということです。そういう具体的な事例が発生しているということではなく、今の会社の環境だとこのようなコミュニケーションが発生する場面が無いのではないか?という懸念です。

これについては今後メンター制度のようなものを導入することで、こうしたコミュニケーションの場を提供できるのではないかと検討中の状況です。

変わったこと5:時間

オフィスがなくなったことで通勤時間がなくなりました。通勤時間がなくなったので、各自1日の間で使える時間が増えました。仮に通勤時間を往復1時間とした場合、1日で使える自由時間が単純に1時間増えることになります。1日は24時間で誰でも平等ですが、使える時間が毎日1時間増えることは大きいでしょう。通勤時間1時間削減できたから業務時間1時間伸ばしてやるみたいな会社は今すぐ消えてください。

オフィスへの通勤時間だけではありません。休憩時間も自宅にいるので、オフィス勤務だったら行えないようなことも在宅勤務だったら行うことができます。家事や平日配達の受け取りなんかはわかりやすい例です。

ただし通勤時間がなくなったことによる注意事項もあります。通勤時間は満員電車が辛いといった負の側面ももちろんありますが、良くも悪くも毎日運動することを強制してましたので、健康にプラスになっていた面も間違いなくあります。

今までオフィス勤務だった人が在宅勤務に切り替えると、3日で体力の衰えを自覚できるようになります。通勤時間が削減されてその分自由に時間を使えるようになることは良いことですが、通勤で行っていた運動を他の場面で補わければなりません。ジムに行くなり散歩するなり、各自の自己管理が必要です。

オフィスを持つ意味

自分の会社でオフィスをなくしてみて改めて思ったことは「オフィスを持つ意味って何だったんだろう?」ということです。

別にオフィスは無意味だと言うつもりは毛頭ありません。しかし自分たちがオフィスを持つことに十分な意味を見出せていたのかというと、疑問に感じざるを得ないというのが正直な心境です。

下記はアクシアが札幌オフィスを設立した背景を書いた記事です。オフィス廃止とまでは振り切れなかったとしても、本当に賃料の高い都心にオフィスを構えなければならないのかくらいは、色々と費用対効果を考えて検討するべきだと思うんですよね。

今までの会社はオフィスを構えることが当たり前でした。起業するほとんどの人はオフィスを借りることを考えます。なぜオフィスを借りるのか?を考えることもなく、当たり前に他の会社もみんな借りているからという理由で、慣習として企業がオフィスを構えてきた背景は間違いなくあると思います。

オフィスの費用は決して安くありません。その費用をかけるからには、その投資に見合ったリターンを計算しなければ本来いけないはずなのですが、そこまで計算している企業は実はほとんど存在しないのではないでしょうか。そこまで深く考えず「どの企業も借りてるからうちも借りる」という企業がほとんどだと思います。

今まで当たり前だったオフィスを、あって当たり前のものではなく「なぜオフィスを借りるのか?」をそれぞれの企業がこれからはしっかりと考えていくべきではないでしょうか?現時点でのそれに対するアクシアの結論は「オフィス廃止」でした。

現時点での結論ですので、今後またオフィスを必要とする確固たる理由が出てきた時には、アクシアでもまたオフィスを構える時も来るかもしれませんが、今は「オフィスを構えない」という新しいやり方で、アクシアは突き進んでいきたいと思います。