地方にオフィスを構えることをお勧めする理由


アクシアは創業以来ずっと東京で仕事をしてきましたが、2年ほど前に札幌に新しくオフィスを設立しました。なぜ札幌に進出したのか?ということは割と色んな方から聞かれますので、改めてその理由をブログにまとめてみようと思いました。

結論としては、業種にもよりますが企業が地方進出することはお勧めです。アクシアはなぜ札幌に進出したのか?その経緯をご説明します。

開発業務を東京で行う理由がなかった

アクシアで行っているシステムの受託開発という仕事は、考えてみれば東京で行わなければいけない理由もありません。最近では在宅勤務を導入する企業も増えてきているように、環境さえ整っていれば東京のオフィスで仕事する必要性はありません。

10年、20年前であれば、今ほど環境面での整備も進んでおらず、離れた場所で仕事をすることの難易度は高かったかもしれません。しかし今ではオンライン環境が整備されてコスト面でも大きな負担を負うことなく遠隔での仕事を実現できるようになりました。

そういう状況を見てみると、なぜ東京にオフィスを構える必要性があるのか?という疑問がわいてきます。その理由の筆頭にあげられるものとして、顧客が圧倒的に東京に多いということがあげられます。顧客といつでも簡単に会えるので営業は東京が圧倒的に有利です。アクシアは以前江戸川区の瑞江というところにオフィスがあったのですが、そこから東京の千代田区に移転しただけでも、顧客訪問にかかる時間削減の効果は計り知れないものでした。

よって営業機能は東京に残しておく必要がありますが、開発機能は東京である理由がありません。むしろ地価が高くオフィス賃料も日本の中で飛びぬけて高い東京でわざわざ高いコストを負担することがばかばかしいくらいです。

これがアクシアが地方進出を最初に考えた理由です。営業機能は東京に残し、開発機能は地方に移していく方針としました。よって今後アクシアでは東京オフィスを拡張する予定は今のところありません。最低限の営業機能を残して東京オフィスを縮小することはあるかもしれません。拡張するとすれば地方オフィスですね。札幌とか遠いところでなくても、東京に開発部隊を持つくらいなら埼玉、千葉、神奈川の方がマシです。

遠隔で仕事ができる他業種を参考にした

では東京以外の地域に進出しようとした時に最初は途方にくれたのですが、システム開発と同様に東京でなくても遠隔で問題なく仕事することができている他業種を参考にしてみることにしました。私が参考にしたのはコールセンター業界です。

コールセンターの仕事はシステム開発の仕事と同様、電話ができて情報共有できる環境さえ整備されていれば離れた場所でも問題なく仕事できます。コールセンターは行政が補助金を出して誘致しているケースも多いのですが、それでもコールセンターがたくさん進出している地域を調査すれば、その地方はそれなりに労働人口がいるはずで、採用活動も行いやすいのではないかと考えました。

そこで調査したのがコールセンターの求人数です。最も多かったのが東京。これはもうほとんどの仕事が東京に一番集中しているのでそうなるとして、他に多かった地域は札幌、福岡、仙台、沖縄など。これらの地域がアクシアの地方進出の候補地となりました。

IT系の人材が多い地域を調査

候補地がいくつかあがってきたところで次に調査したのが、その中でIT系の人材が多い地域はどこなのかということです。いくら労働人口が多くて求人応募者がたくさん確保できたとしても、IT系の人材が少なければ未経験応募者が中心となります。それよりはどうせやるならIT系の人材が多い地域で採用した方が良いだろうという考えです。

調査したのはまずは現地のIT系の求人数です。現地にIT企業が多い方が当然IT系の人材も多いだろうという考えです。もう一つ調査したのが現地でIT系の学部を持つ大学やIT系の専門学校の数です。その方が業務経験はなくともある程度プログラミング経験を持つ人が多いだろうという考えです。

そこで最有力候補として残ったのが札幌でした。札幌にはIT企業の求人もそれなりに多く、北海道大学にはIT系の学部もありますし、その他にもIT系の専門学校も結構たくさんありました。

逆にこの時点で候補地として外したのが沖縄です。コールセンターの求人数はそれなりに多かったのですが、沖縄はIT企業もIT系の学校も少なかったからです。現地の求人会社の人からも直接話を聞いて、やはり沖縄はIT系の人材は少ないという確証を得たので候補地から外しました。

IT企業の競合を調査

次に最有力候補となっている札幌を中心に、現地の競合となるIT企業の情報を調査しました。調査方法としてはまずは求人情報です。求人情報を見ると色んなことが見えてくるからです。

そして札幌のIT企業の求人情報を調査して見えてきたことは、札幌のシステム開発会社のほとんどは客先常駐のSESなのではないか?ということです。

私がそのように考えた根拠は2つです。1つは掲載されている求人情報がどれもSESの特徴が色濃く出ていたこと。(参考:人売りIT派遣企業(SES・客先常駐)の見分け方

もう1つは、プログラマーのアルバイト求人が極端に少なかったこと。これはどういうことかと言いますと、自社開発を行っている会社であれば、労務管理をいかようにでもできますので、フルタイム以外の採用も検討してある程度はアルバイトの求人も出てくることが普通なのです。

しかしSESだと基本的にフルタイム(残業あり)の条件となるため、アルバイト採用は普通やりません。よってプログラマーのアルバイト求人数が極端に少なかった事実を、私は札幌にSES企業が多いからではないかと考えました。

それからは現地のIT企業の公式ウェブサイト、社長ブログ等の情報を集めて徹底的に読み込みました。その内容からはSESの生々しい現状が見て取れました。これでますます札幌にはSESが多いという考えが確信に近づきました。

札幌で採用活動スタート

札幌にはエンジニアがいて、競合はほとんどSES企業ばかりという調査結果を踏まえて、札幌に進出すれば採用に成功することができるとかなりの確信を持つことができました。

東京で活動してきた中でも、子育て中の主婦の方で育児がひと段落してきたのでエンジニアに復帰したいけど、元いたSESには戻れないという人の話をたくさん聞いてきており、そういう方達がアクシアにたくさん応募してきてくれていて、採用もしました。

なぜ子育て中の主婦の方がSESだとエンジニアとして復帰できないかというと、残業があると困るからです。残業が多いのはもちろん論外として、突発的にどうしてもやらなければいけない残業が時々でも発生するようでは困るのです。それだと子供の学校行事や食事の面倒を見ることにも支障が出る場合がありますからね。

SESだと客先常駐となるので基本的に管理は現場の顧客の労務管理に委ねられます。よって一部では残業が少ない現場もあったとしても、他の現場に配属となると事情が全く変わるため、残業のコントロールを自社で行うことができないのです。

実際札幌で採用活動を始めてみて、思っていた通りの結果になりました。色々な方からご応募いただいてきていますが、エンジニアとしてのキャリアが10年もありながら、SESで復帰することはできないからという理由で、労働時間をコントロールできる飲食店でアルバイトをしていた人などが、自社開発で残業ゼロの会社であればまたエンジニアとして働けるかもしれないと思ってたくさんの人が応募してきてくれました。

東京もSES企業多いですけど、地方はもっと多いという印象です。自社開発の企業を探すことは極めて困難なので、自社開発できる企業が札幌に進出すればかなり採用面では有利になります。

札幌は人件費が安い

札幌に限らずですが、東京と比べると地方は人件費が安いです。これを理由に地方進出を考える企業も多いでしょう。しかし今の時代人件費削減に目を向けることはナンセンスだと言わざるを得ません。

今は人材不足の時代です。人件費を削減することよりも、優秀な人材を確保することの方が優先度ははるかに高いです。最近は少しずつ水準が上がってきているとはいえ、それでも札幌の人件費の水準は東京よりもはるかに低いままです。

しかしこれはチャンスなんですよね。人件費を下げるチャンスではないですよ。札幌で採用する時に東京と同じ給与水準で採用すれば、採用活動において一気にアドバンテージができるわけです。他の企業の給与水準が低いままなので。

アクシアは東京では給与水準は同業他社と比べて低くもありませんが逆に高くもありません。平均的な給与水準といったところです。しかし東京では普通の給与水準ですがこれと同じ水準で札幌で採用すると、札幌の中では給与水準においても高いラインを確保できるようになります。

アクシアが札幌に進出したのは約2年ほど前になりますが、札幌進出の理由が人件費削減ではなくて優秀な人材を採用することが大きな目的だったので、アクシアでは東京と同じ給与基準で採用を行っています。

IT技術の発展により今後ますます遠隔で仕事する形態は増えると思います。東京で仕事する優位性が低くなれば、東京と地方の給与格差は今よりは小さくなることが予想されます。札幌には残念なことに自社開発で普通に仕事できる開発会社がほとんどないに等しい状態ですから、今後どんどん地方進出が進むことを期待しています。ご興味のある自社開発企業さんがあれば、サポート(有料w)もできると思いますのでお気軽にお問合せいただければと思います。

在宅勤務がどんどん進んでいるが・・・

ここまで地方進出の話をしてきましたが、最近では在宅勤務の方もどんどん進んでいますよね。アクシアでも在宅勤務の人が何人かいます。

アクシアでも在宅勤務を進めてきて、私自身、もう全部在宅勤務にしてしまった方が良いのでは?とも考えました。でもこれは在宅勤務希望の人にしか耳を傾けていない方寄った考え方だったと今では考えています。

在宅勤務が悪いとかではないので、進められるところはどんどん在宅勤務を進めれば良いと思います。でも在宅勤務を希望しない人もたくさんいるという事実も知らなければなりませんね。

私が以前、アクシアも在宅勤務どんどん進めて札幌オフィスはなくそうかなという話を社内のSlackで話したところ、もしそうなったら有志でお金出し合って新しいオフィスを社員達が自分達で借りてそこで仕事しますという話になりました。

家だと集中しにくいとかそういう人ももちろんいるのですが、人によって事情はそれぞれなので、家では仕事することが困難な事情の人もたくさんいるということです。

在宅勤務は今後ますます進んでいくとは思いますが、オフィスという存在がなくなるわけではありません。在宅勤務が進めば全体で見た時に今よりもオフィスへの需要は下がりますが、ゼロになるわけではなく、オフィスで仕事したい(する必要がある)人達からのニーズがなくなることはありません。

完全在宅勤務と振り切ってしまうことも一つの戦略としてはありだと思います。しかし企業が採用目的で地方進出するやり方は今後も有効な手段となるでしょう。

まとめ

地方に進出して、遠隔でも問題なく仕事できる環境を整備して、東京と同じ水準で給与設定する。これだけで優秀な人材を採用できる確率は格段に高まります。

遠隔でも今はIT技術が発達してしかもコストもものすごく安くなりました。アクシアでは東京と札幌を大型のモニターでお互いを常時映し出すようにしており、ネットワークは在宅の人も含めてVPNでつないでいるので、他所から社内のシステムにアクセスすることはできません。SlackやSkypeのようなツールを使うことでコミュニケーションも問題ありません。必要な人には在宅の人にも電話機を支給し内線電話もつながります。顧客から電話がかかってきても在宅の人に内線で転送することもできます。遠隔であることのデメリットはほとんど何もありません。

アクシアが札幌進出してほぼ2年ほどですが、札幌オフィスのその間の離職率は0%。まあ0%という数字はたまたまであって、0%であることが必ずしも健全だとも思っていないので、今後それぞれの理由で転職していく人も出てくることでしょう。

東京の企業が地方にどんどん進出していくことで、競争が生まれるので地方の労働条件もどんどん改善されていくはずです。企業にとっても働く人にとっても、地方進出はメリットが大きいので、東京で仕事する理由が特にない業務を抱えている企業には、ぜひとも地方進出をお勧めしたいと思います。