システム開発会社(請負契約)にありがちな問題点


IT業界と言っても色々な種類の会社がありますが、私は常日頃からSESという仕事のやり方を痛烈に批判しています。私がSESを強く批判する理由は、偽装請負という違法行為の温床となっており、日本のIT業界にとって癌でしかないと考えているからです。

SESに関しての過去記事はこちら

SESはその構造自体が偽装請負の温床になりやすく、ブラック企業であふれかえる構造になっています。言わば構造上の問題をはらんでいます。ではSES以外のIT企業であれば全部ホワイトかというと、当然そんなことはありません。どんな業界にも悪い会社は存在します。

私はSESを撲滅するために別会社で自社開発限定のエンジニア人材紹介サービスも去年始めましたが、自社開発なら何も問題がないなどと言うつもりは毛頭ありません。エンジニアの方には自社開発の企業をおすすめしますが、応募先の企業に問題はないか、自分に合った企業であるかを慎重に吟味する必要は当然あります。

人材紹介事業も行うようになって、今までよりも数多くの企業を見る機会が増えました。本日はSESではなく、自社で開発を行っている普通のシステム開発会社によくある問題点について述べてみたいと思います。就職先や発注先としてシステム開発会社を選ぶ際の参考としていただければと思います。

本日のブログのテーマはシステム開発会社(請負契約)としてありますが、少し用語を置き換えてもらうと、他の業界にも当てはまる内容だと思います。

問題点1:開発力がない

競争に勝ち抜いて顧客に満足してもらうために、企業には商品力が必要です。システム開発会社の場合は多くの場合、商品力とは開発力のことです。

ちなみに「開発力=技術力」ではありません。もちろん技術力は開発力の源泉ですから、技術力は高い方が良いに決まっています。しかし高い技術力を備えたエンジニアがそろっているからと言って、必ずしも開発力があるとも限りません。

個人で見ると高い技術力を持ったエンジニアが多く在籍しているのに、いつも炎上してプロジェクトに失敗しているような会社も実際にはあります。システム開発のプロジェクトをうまく進めるためには、技術力以外にも顧客折衝能力やマネジメントなど他にも重要な要素がたくさんあるからです。

私はシステム開発の発注先は下請けに出さない開発会社をおすすめしていますが、中には開発フェーズは全て外部に丸投げしているために、自社には開発力がほとんど蓄積されていないような会社もあります。

システム開発会社としては、その会社の商品力とも言える開発力が備わっていないことは、かなり深刻な事態だと考えられます。

問題点2:営業力がない

受託開発を行っているシステム開発会社の中には、営業力が乏しいために利益率の低い仕事しか受注することができず、常に火を吹いているような企業もあります。

適当に色んな会社に電話かけておけば仕事を受注できるSESとは違い、持ち帰りのシステム開発の仕事を安定して受注するためには高い営業力が必要になります。人と案件の情報を右から左に流すだけのSESと違って、営業の難易度が格段に高くなるのです。

営業力が乏しいために、クラウドソーシングのようなサービスを使って仕事を探そうとする企業もあります。クラウドソーシングサービスは熾烈な価格競争になってしまうので、独立して事業を行うのであればおすすめできるサービスではありません。

なぜ価格競争になってしまうかと言うと、クラウドソーシングにはフリーランスが多数競合として存在しているからです。分類すると「フリーランス」になると言っても、内職に近い形でお小遣い稼ぎ感覚で採算度外視で仕事をしているようなツワモノも中にはいるので、そこと勝負すると非常に辛くなってしまいます。

優良な顧客が一応存在しているけど、取引先が全部社長のコネみたいな会社も中長期的に見るとかなり危険です。社長のコネには限りがありますし、新規の顧客開拓ができない状態のまま、今の取引先から契約を切られると一気に窮地に立たされます。

問題点3:採用力がない

持ち帰りのシステム受託開発を行っている会社の中には、採用力がない会社が少なくありません。

理由の1つとしては、自社開発をやっているというだけでSESに対して大きなアドバンテージになるので、正直結構適当にやっていても応募者がそこそこ集まってしまうということもあるように感じています。

また別の理由としては、システム開発の経営者には開発一筋でやってきたような人が多いので、技術以外のことには疎い人が少なからずいるというのもあります。

かといって人事専門の人を採用の窓口にすれば必ずしもうまくいくわけではないという点もエンジニア採用の難しい点です。人事の人は逆に技術のことがわからないので、基本的には業務経歴から書類選考を通過させるかどうかを判断します。そこで業務経験は浅いけど、プライベートでスキルアップして高い技術力を持った人を平気で落としたりすることはよくあります。

GitHubやブログを見ればどう考えても優秀な人材なのに「うちは業務経験○年以上ない人は採用しない決まりだから」と言って門前払いするようなもったいないことをしている会社もあります。技術を何も知らない人事が言うならまだしも、会社トップの社長がそんなバカなことを言うケースもあるので救いようがありません。

問題点4:法律知識がない

この法律知識がないという点が経営者としては一番致命的です。法律は複雑で難解なので全てを把握することは当然できませんが、最低限の知識は持っておく必要があります。

また万が一自らの知識不足で必要な法律を知らなかったとしても、法律を知って問題があることを認識したら直ちに是正する姿勢は最低限必要です。これがない経営者は法律に対する知識がないのではなく、モラルがないということになります。

法律を無視した自分勝手な理論で残業代を払わないような悪徳な会社もあります。裁量労働制の悪用、名ばかり管理職、年俸制だからと残業代を払わないなどは全部該当します。従業員の自主性を尊重するとか意味不明なことを言って、従業員の労働時間を一切管理してないような会社もありました。

こういう法律を遵守するモラルのない企業は、偽装請負という違法行為から目を背けるSES企業となんら変わりありません。違法企業では自社開発でも全く意味がありません。偽装請負を繰り返すSES企業と同じで、これではただのブラック企業です。

まとめ

  1. 開発力(商品力)がない
  2. 営業力がない
  3. 採用力がない
  4. 法律知識がない

これらはどんな業種でも当てはまることです。SESはダメだから自社開発を目指すのは良いですが、自社開発であれば全ての企業が問題ないなどということは決してありませんので、しっかりと情報収集して自分の目で見て企業の良し悪しを判断していただければと思います。