私は新卒の頃からこれまでずっとシステム開発の仕事を行ってきましたが、この度新しくエンジニアの人材紹介の事業を始めることにしました。ただしアクシアの事業ではなく、7月1日より株式会社アトムズという会社の取締役として私が就任しておりまして、人材紹介の事業はアトムズで行います。
そこで簡単ではありますが、エンジニアの人材紹介事業スタートのお知らせとご挨拶も兼ねて、この事業を始めるに至った経緯をこのブログでご説明したいと思います。
事業を始める背景
このブログをご覧いただいている方、またはIT業界でエンジニアとして働いている多くの方には周知の事実ですが、現在のIT業界では多重下請構造と客先常駐がセットになったSESという形態がエンジニアの働き方として一般的なものとなっています。
ただしこのSESという形態については様々な問題があり、そこで働くエンジニアの多くが不満を抱えた状態となっています。日本のIT業界の発展のためにも、またそこで働くエンジニアのおかれている状況改善のためにも、SESという形態については改めるべきだというのが私の主張です。
SESには多くの問題がありますが、中でも特徴的なものがSESが慢性的な偽装請負の温床となっていることです。SESの実態は派遣事業ですが、正しく派遣契約が締結されるのではなく、請負契約や準委任契約で契約が行われます。
偽装請負が蔓延している状況の中では、まともな労務管理が行われることは難しく、どうしても長時間労働に陥りやすくなります。またSESの契約形態や多重下請構造、客先常駐という状況がセットになることで、構造的に生産性を下げてしまうような形となってしまっています。
このような環境の中ではエンジニアがダメになりますし、日本のIT業界もダメになります。エンジニアの環境を改善し日本のIT業界を良くしていくためには、このSESという悪しき習慣を改めなければなりません。
そのためにはどうすれば良いか。なぜエンジニアはSESに不満を抱えながらも自社で開発を行える会社に転職しないのか?それを考えた時にぶつかる大きな壁が、
自社で開発できる会社に転職したくても見つけることができない
という大きな問題です。システム開発を事業として名乗っている会社の多くはSESを行っている企業です。自社で普通に自分の席があってそこで同僚と一緒に開発を行う。そういう普通の働き方ができる会社を探すことが現状だと本当に難しいんです。
アクシアは完全自社開発のシステム開発会社ですが、エンジニアがアクシアのような完全自社開発の会社を見つけ出すことはとても難しく、だからといってアクシアで採用できるエンジニアの数にも当然ですが限りがあります。
この「エンジニアが自社開発できる会社を見つけることができない」という問題を解決しようとして、この度スタートさせることになったものが、エンジニアの人材紹介事業です。
自社開発限定のエンジニア人材紹介サービス
我々が行おうとしている人材紹介事業は、自社開発が行える企業限定のエンジニア人材紹介サービスです。
人材紹介事業自体は別に珍しいものではなく、世の中には多くの人材紹介会社が存在しますが、自社開発限定というところが他の人材紹介会社と大きく異なるところです。エンジニアが自社開発できる会社に転職できるようにするためにこの事業を行います。
エンジニアが自社開発を行える会社を見つけることができないという問題を解決することがこの事業の目的です。
ここで言う「自社開発」とは、自社で開発できるという意味です。自社サービスを事業として行っている会社ももちろん含みますが、SESではない自社での受託開発を行っている開発会社や、一般企業の社内エンジニアも含みます。
事業の一部でもSESを行っている会社は一切紹介しません。一部でもSESをやっている会社では、入社した時には自社開発だったとしても、少し時間が経つとSESに出されてしまったというエンジニアの声を多数いただいたからです。
紹介する求人企業がSESを行っていないことを担保するために、求人企業にはSESでエンジニアを外に出さないことを誓約していただくことはもちろんですが、私が中心となってSES企業が紛れ込まないように求人企業の審査を行います。
以前にはこのようなブログも書いておりますが、あらゆる観点からSES企業が紛れ込まないように厳しく審査します。
また他にもスーツ着用が義務ではない企業を中心に企業を探したり、ある程度のスペックの開発環境をエンジニアに与えてもらえるよう求人企業にお願いしたり、エンジニアとして働きやすい環境を提供できる企業をご紹介できるように考えております。
人材紹介事業を始めるまでの経緯
以前からIT業界のSES問題については大きな問題だと認識してましたが、1年以上ブログやSNSで情報発信していく中で、世の中のエンジニアの方達の声をたくさん聞くようになり、ますますSES問題を何とかしなければならないという気持ちが強くなりました。
この問題の根底には、SES企業が多すぎるために、エンジニアが普通に自社で仕事ができる会社を探そうと思っても、中々そういう会社を見つけることができないという問題があります。この問題を解決するために、自社開発できる会社とエンジニアをつなぐサービスを作りたいと考えるようになったことが最初のきっかけです。
最初はアクシアでそういうサービスを作ろうと思い、単純に自社開発の会社限定の求人サイトを作ろうと考えました。その過程で色々な方に相談してアドバイスをいただく中で、アクシアがそのようなサービスを展開するためには次のような大きな課題があることが明らかになりました。
- アクシアは開発会社であり、求人関連の事業については全くの素人
- 自社開発できる会社を一定数見つけてくることはアクシアも困難
アクシア単独で事業を進めていくこともできたかもしれませんが、アクシアは求人関連事業については素人同然なので、求人サイトを作ることは問題なくできても、業界事情を把握してきめ細かいサービスを提供することで、サービスを利用していただく求人企業やエンジニアに満足してもらえる事業にできるかどうかという不安がありました。
また多くのエンジニアが自社開発できる会社を見つけることが困難だという問題はアクシアも例外ではありません。エンジニアが転職を考える場合には自分が転職する会社を一つ見つけてくれば良いですが、求人事業として進めていくためには一社だけ自社開発できる会社を見つければ良いのではなく、継続的に一定数の求人企業を見つける必要があります。
これらの課題を解決するために色々検討した結果、この事業をアクシアで行うのではなく、私が株式会社アトムズに参画してこの事業を進めていくことが最適であると判断してこのような形を取ることにしました。
この事業を進めていくメンバー
この自社開発限定のエンジニア人材紹介サービスについては、株式会社アトムズの事業として進めていきますが、この事業を推進することになる主要メンバーをご紹介します。
仁村大祐(株式会社アトムズ代表取締役)
まずは株式会社アトムズの代表取締役の仁村ですが、経歴としては東京都庁でキャリアをスタートさせ、その後はコンサルティング会社で経営コンサルティング、M&A、上場支援、バックオフィス支援業務などに携わってきました。
2013年に、会計・税務と経営支援を一体化させたサービスを行う会社として株式会社アトムズを創業し、代表取締役に就任。中堅・中小企業の経営にまつわる課題をワンストップで解決することを主眼として、日々多くのクライアントと接しています。
私が彼に最初にこの事業の相談した理由は2つあります。
- アトムズが有料職業紹介の免許を持っていたこと
- 自社開発できる会社を見つけてくれることを期待したこと
仁村には幅広い人脈があり、アクシア単体では解決難易度が高かった「自社開発できる会社を見つける」という課題を解決できるのではないかという期待がありました。彼自身は人脈という言葉を嫌いますが、本当に多くの経営者から慕われ、信頼されています。
そしてIT業界が抱えているSESの問題、それを解決するために始めたいと考えているサービスの概要を説明し、「自社開発できる会社を探したい」と相談したところ、「そういう会社だったらいくらでも見つけてこれるよ」という、想像の遥か上をいく心強い回答が返ってきました。
そして本当にそういう会社をどんどん見つけてきてくれます。これには驚きましたね。私達が見つけることができないだけで世の中には自社開発できる会社がたくさんあるのだとわかりました。
実際に仁村が紹介してくれたクライアント候補の会社に足を運び会ってくることもしました。売上・利益の成長著しいベンチャー企業で自社サービスを展開中。でも今はエンジニアがいなくて開発は全て外注。内製にしたいがエンジニアを見つけることができない。私服勤務。
仁村は豊富な人脈からこういう会社をいくらでも見つけてくることができます。私には絶対に見つけてくることができない企業です。これで「自社開発できる会社を見つけられない」という課題を解決することができました。
神田義輝(株式会社アトムズ取締役)
私と同時に7月1日に株式会社アトムズの取締役に就任しました。
彼はこれまでずっと人材関連の仕事に従事してきており、株式会社リクルートエージェントでは、キャリアアドバイザーとして、ホワイトカラーの全業界・全職種の転職希望者を担当し、転職支援を行ってきました。2007年には転職支援人数全国NO.1となり、MVPを受賞しています。
その後は日本プロサッカーリーグで、Jリーグ選手へのキャリア教育プログラムの開発・運用、セカンドキャリアのサポートや、ジュニアユースの選手に対してのキャリアデザイン支援などに携わってきました。
彼が取り組んできた仕事でJリーグ関連の仕事はわかりにくいかもしれませんが、プロサッカー選手という東大合格よりも競争率の高い難関を突破してきた、言ってみればエリートであるプロ選手達も現役でいられる期間は非常に短く、引退後の人生設計に苦労する人も少なくないのが実情だそうです。
そうした彼らのキャリアを、現役のプロ選手でいる時間は長い人生の中の一部分であると位置づけ、もっと長いスパンで見ることによってアスリートのキャリアを支援するということが、彼の行ってきている仕事です。
私が彼に相談した理由は、彼のキャリアからも明らかな通り、人材関連の事業に明るかったからです。アクシアという会社はシステム開発会社であり、人材関連事業については全くの素人です。エンジニア人材紹介サービスを始めるためには、この分野の「専門家」が必要でした。
彼の加入によって、アクシアが人材関連事業に明るくないという問題を解決することができました。
米村歩(株式会社アトムズ取締役、株式会社アクシア代表取締役)
SESが嫌いな残業ゼロのシステム開発会社社長です。
今後の展開について
「自社開発限定のエンジニア人材紹介サービス」を始めるにあたって、
- アトムズの事業として始める
- アクシアの事業として始める
- 新会社を作って始める
の3案がありました。私が解決したいことはSES問題であって、この事業をどこの会社で行うかについては特にこだわりがありませんでした。アトムズで始めることにしたのはアトムズが既に有料職業紹介の免許を持っていたからです。この免許の取得は簡単ですが、アトムズでせっかく免許を持っているならアトムズで始めるのが一番早いという判断です。
3人で事業の検討をしまして、現時点では求人サイトという形ではなく、人材紹介という形で事業を進めていくことにしました。今後事業を進める中で、求人サイトも必要だと判断すればそれもやるかもしれませんが、今のところは特にその予定はありません。
最初は試験も兼ねて小規模でスタートさせていく予定ですが、ご紹介できる自社開発の会社はたくさんあります。今すぐの転職ということでなくとも、自社開発できる会社にご興味を持たれて、とりあえず話だけでも聞いてみたいという方は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。お問い合わせいただいた方にはその後の流れについてご案内させていただきます。
またエンジニアを採用した企業の方もお気軽にお問い合わせください。もちろんSESをやっていないことが絶対条件です。あと私服勤務OKで、超ハイスペックでなくても良いのでエンジニアのことを考えた開発環境を提供していただける企業様でお願いします。
スタートは「自社開発限定のエンジニア人材紹介サービス」として事業を始めますが、今後他にもSES問題を解決するためのサービスを色々考えて展開していきたいと考えています。SES問題を解決するために提携を検討可能な企業様も、もしあればご連絡ください。
仁村、神田の協力によって、私一人、あるいはアクシアだけでは実現が難しかったクオリティーのサービスにしていける土台は作ることができたと思います。SES問題を解決するためにより良いサービスを作っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。