採用活動をしていると、下記のようなセリフを言ってくる人はよくいます。
やる気だけは誰にも負けません!
やる気に満ち溢れた社員というものは、経営者からすると魅力的に見えるものです。全従業員がやる気に満ち溢れた状態で仕事をしてくれたらどんなに良いものかと妄想します。
しかしこの「やる気」というものが中々やっかいなのです。私は過去に社員のやる気に頼った経営をやろうとして失敗したことがあります。それについて詳しくは下記のブログで。
やる気はあった方が良いに決まっているけど、これに頼ろうとして私は今まで失敗を繰り返してきましたので、普段の仕事において社員のやる気に頼るやり方をしないのはもちろんのこと、採用においても求職者が主張するやる気は「ふーん」と聞くだけで無視します。
以下、仕事においてやる気に頼るべきではないと私が思う理由について具体的に述べていきます。
やる気は数値化できない
やる気は数値化することができません。だから口ではいくらやる気がありますと言っていても、それが本当かどうかは本人にしかわかりません。いや、本人にもわからないかもしれません。
もし採用する時の基準で「やる気」を重視し、面接で本人が自己申告したやる気を評価するのであれば、選考はどれだけ雄弁に自分のやる気を語れるかが勝負ということになってしまいます。
こんな曖昧でふわっとした「やる気」を選考の判断基準にしてしまえば、採用した後にこんなはずじゃなかったということになりかねません。そうして今日も「あいつは面接の時はやる気を語っていたのに全然まともに仕事してくれない」という悲劇が繰り返されます。
人によってやる気の評価基準が違う
やる気は数値化できませんので、人によって評価基準が違います。全然やる気がないのに自分のことをやる気があると評価する人もいますし、その逆でそこそこやる気のある人でも自分ではそれほどやる気が無いと思っている人もいます。なぜならその評価基準が自己評価だからです。
そして大変興味深いことに、能力の高い人ほど自分のことをより厳しく評価する傾向があります。逆に能力の低い人ほど(以下省略)
能力の高い人ほど自分のことを厳しく評価する傾向は、自分の仕事の成果を自己評価する時にも顕著に現れます。能力の高い人の自己評価は、多くの場合会社側からの評価よりも低いことが多いです。逆に能力の低い人の自己評価は(以下省略)
よって面接の時に雄弁にやる気を語る人に対して私は警戒してしまうのですが、言いたかったことは、人によってやる気に対する評価の基準が全然違うのだから、本人が自己主張している「やる気」など全く客観性に乏しく、信用してはならないということです。参考程度に聞いておくくらいにとどめなければなりません。少なくとも仕事の場では。
実際の開発費用・期間をまとめた資料を無料で差し上げます。資料請求はこちら>>
人間は嘘をつく生き物
人間は当たり前のように嘘をつく生き物です。時には嘘を言っているつもりはなくても結果的に嘘になってしまうことだってあるでしょう。
私も過去に何度も騙されてきました。「やる気だけは誰にも負けません!」という求職者の魅力的な言葉にかつては私自身何度も騙されてきました。
いや、その時我々を騙した求職者のせいにするつもりはありません。こんな簡単な嘘を見抜けず信じてしまった我々が無能だったのです。騙された当時は怒りの感情も湧いてきたものですが、今となっては大変よい勉強をさせていただいたと思っております。心から感謝しております。(嘘)
このような経験も踏まえまして、採用の選考時に実績を見ることの大切さを学んだ次第であります。実績は客観的であり、嘘をつくことが困難だからです。たとえ実績で嘘をついていたとしても、少し突っ込んだ質問をするだけで嘘を見抜くことができます。
多くの企業が採用選考において実績を重視する理由はここにあるのでしょう。そういう意味で履歴書や職務経歴書というものは軽視できません。口ではいくらでも嘘がつけますし何とでも言えますが、経歴(実績)は如実に真実を語ることが多いものです。
成果に直結するのはやる気ではなく行動
自分の経験的にやる気はあった方が良いとは思っているのですが、客観性に乏しく、人によって評価の基準も異なる、この曖昧な「やる気」というものの正体を掴むことは中々難しいですね。
そこで考えたのですが、以下の3つの指標があると考えます。
- やる気
- 行動
- 成果
この3つの指標は密接に絡み合います。やる気があれば行動に移すし、行動する人は成果を残しやすくなります。
ところが不思議な事に、「やる気だけは誰にも負けません!」という人が全く行動していないことがあります。なぜでしょうね?不思議でなりません。
そして「やる気」は数値化できないし、客観的に見ることができません。嘘もつけます。それなのに「やる気」を見ようとしてしまうと失敗するわけです。本当は、
やる気 → 行動 → 成果
なのに、間の「行動」をすっ飛ばして、
やる気 → 成果
であると勘違いしてしまうと、本人の自己申告のやる気を信じて騙されてしまうわけですね。見るべきは曖昧で見えにくい「やる気」ではなくて、客観的に見てわかりやすい「行動」にすれば良いわけです。
極論、やる気なんかなくたって行動さえしてくれればOKです。
とにかく、行動!行動!行動!
やる気などという得体の知れないものをアピールしている暇があるなら、とにかく行動です。
未経験エンジニアの人がエンジニアになりたいと思ったのであれば、とにかく行動です。やるべきことは「やる気だけは誰にも負けません!」と意味不明な叫び声を上げることではなくて、その得体の知れないやる気を行動に移すことです。
本当にやる気のある人ならすぐに行動に移します。今の時代誰でも好きなだけプログラミングを学ぶことはできます。今すぐにプログラミング習得に向けてスタートしましょう。行動です。
以前エンジニアになりたい人向けに、下記のブログ記事を書きました。
同じ未経験でも、上記記事の内容を愚直に実行して行動してきた人と、バカみたいに「やる気だけは誰にも負けません!」と叫んでいるだけの人と、企業はどちらを採用すると思いますか?
ここまで言っても伝わらなければおそらく理解し合えることは不可能だと思いますので、私からは以上ですw