成長するために長時間働くべきか


成長するために長時間働くべきだという主張は時々目にすることがあります。これに関して、成長するために長時間働くことは、一つの方法として私はありだと思います。

アクシアは残業ゼロの企業なので、長時間働くべきではないという答えを期待していた方もいるかもしれませんが、成長のための一つの選択肢としては当然ありうる方法だと考えます。

ただし単純に「成長するために長時間働くべきだ」と言ってしまうと、あまりにも誤解を招きやすいテーマであり、物事はそんなに単純ではありません。

本日は「成長するために長時間働くべきか」というテーマに対する、私の見解をまとめてみました。

長く働くことで成長できることはある

仕事によってビジネスマンとして自分が成長することは当然あります。仕事では様々な経験があり、仕事の中から学ぶことは山ほどあるので当然の話です。

仕事から学びがあり、仕事をすることで成長するのであれば、長時間働けばよりいっそう成長することができるという考え方もあって当然です。より長く働けば、より多くの経験を得られる可能性が高まるからです。

よって長く働くことで成長の可能性が高まるという考え方そのものについては、それだけで否定されるような理由はありません。

長く働くだけで成長できるわけではない

長時間働くことによって成長できる可能性が高まるからといって、単純に長く働くだけで効率的に成長できるというわけではありません。

もし労働時間と成長速度が単純に比例するのであれば、社員をぼろ雑巾のようにこき使って長時間労働させるブラック企業は、人材育成のための最適な場ということになりますが、もちろんそんなことはありません。

重要なことは経験の長さだけではなく、そこでどれだけ良い経験を得られるのかも重要です。言ってみれば経験の密度です。経験の「密度 ✖ 長さ」が重要です。

教えることが下手な先生の授業を長時間受けても思っているほど効果が上がらないことと同じです。

ブラック企業で人が成長せずにこき使われるだけになってしまうのは、そこで良い経験を積むことができずに、単純に労働時間だけが長くなってしまうからでしょう。

良い経験は成長を促進する

良い経験を積むことによって、さらに成長のチャンスが広まり、成長のスピードは加速します。

良い経験を積むとその分その人は成長します。そうすると、成長した分だけ次からより重要な仕事を任せやすくなります。そして次はまたさらに重要な仕事を任されるようになり、成長のスパイラルのようになります。

これは会社で仕事を任せているとよくわかります。成長する人はどんどん重要な仕事を任される機会が多くなっていくので、結果として成長のスピードが上がるのです。

これをドラクエで例えると、ずっと弱いままスライム級に経験値の低い敵をコツコツと倒し続けるのか、多少無理してでも最初にレベルアップをしてより高い経験値をもらえるモンスターを倒すのかの違いと同じです。

良い経験は業務だけとは限らない

仕事で長時間働くことによって、そこで良い経験を積むことができれば成長できることは事実ですが、良い経験とは何も業務だけに限った話ではありません。

エンジニアであれば、業務外で自分の興味のあるスキルの勉強をして、自分で何かを作ってみるような経験は非常に良い経験となります。

エンジニアは業務時間外でも勉強するべきなのか

長時間働くこと(業務)はもちろん経験を積むための選択肢の一つとなりますが、だからといって長時間働くだけが成長の手段ではないということです。

業務時間外で自ら積極的に動くことができれば、成長するための手段なんて他にもいくらでもあります。

よって「長時間働くことで成長できる」という主張は選択肢の一つとして当然ありえますが、「長時間働かないと成長できない」は誤りです。

睡眠時間を削るべきではない

いくら長く働くことでより良い経験を積める可能性が高まるからといって、無制限に働く時間を長くすればより成長できるかというと、そんなわけありませんね。

睡眠不足による生産性の低下は想像よりもずっと深刻である

睡眠不足はバカになります。睡眠時間をしっかり取って、睡眠不足だけは避けなければなりません。

成長するために徹夜で頑張るみたいなことを言っている人がいたら考え直しましょう。睡眠不足で人間はバカになりますが、そういうこと言う人は既にバカになり始めているからそういうことを言うのかもしれません。

これは業務時間外で勉強する場合でも同じです。いくら勉強した方が成長できるからといって、睡眠時間を削るようなことをすべきではありません。そんなことをしてもバカになるだけです。

どんなに働いても、どんなに勉強しても、あるいはどんなに遊んでも構わないとは思いますが、睡眠時間だけはしっかり確保しましょう。バカになりますよ。

仕事が人生の全てとは限らない

私自身は仕事は好きです。経営者ですし、仕事とプライベートの境目なく仕事のことを考えています。今は睡眠時間だけはしっかり確保しますが、昔は睡眠時間を削るほど仕事してました。

でも経営者として経験を積んでやっとわかってきたことがあります。それは、人それぞれ価値観は違うということです。

当たり前すぎることですね。でもこの当たり前すぎることが以前の私はわかっていなかったのです。

仕事は頑張るべきだ。仕事で自分を成長させるべきだ。仕事のためにたくさん勉強すべきだ。仕事することで社会に貢献すべきだ。だからみんな仕事頑張るべきだ。

こう考える経営者は少なくないと思います。そしてこう考えている経営者は自分が正しいと思っています。だから平気で従業員に残業を強制させて、従業員のプライベートな時間を平気で奪います。

だって仕事だから。それが正しいと信じて疑っていません。

仕事が人生の全てではないと理解したのは、会社経営を始めてだいぶ経ってからのことです。この「人の価値観は多様である」という事実に気付かない人が会社経営をしてしまうと、かつてのアクシアのようにその会社はブラックに陥る可能性が高いと思います。

自分で仕事を頑張ることも、スキルアップを頑張ることももちろん悪いことではありません。むしろ素晴らしいことです。

でもそれを人に強制してはいけないし、強制することなどできないということです。権限を持った立場にいる人ならなおさら気をつけねばなりません。

「成長するために長時間働くべき」という考え方は、決して間違っているわけではありませんが、その考えを人に強制し始めると途端に怪しくなってきます。

一つの考え方として主張しても構いませんが、人に強制するものではありません。

企業戦略として考えた時の長時間労働の意味

「成長するために長時間働くべき」という考え方は人に強制するものではないということを書いてきました。企業として考えた時に、長時間労働の強制は離職率に影響するでしょう。

一方で一つのやり方として、長時間労働が苦にならない、成長するために長時間労働したいという人達ばかりを採用して長時間労働を行うという考え方もあると思います。こうしたやり方を実際にとってきた企業もたくさんあると思います。

こうした戦略は今までは良かったかもしれませんが、これからの時代にはマッチしなくなると私は考えています。理由は、労働人口の減少による人材不足です。

今の人材不足は一時的な好景気による人手不足ではなく、人口減少による永続的な人材不足です。これからもっと人材不足は深刻になります。

人材不足が深刻になると、これまでのようにフルタイム残業バリバリの人達を中心に働いてもらえば良いということがなくなります。

育児・出産や介護、その他諸々の事情でフルタイム残業バリバリでは働けない人も問題なく働ける環境を作らないと、労働力を十分に確保できなくなります。これが働き方改革を行う理由です。

今はフルタイム残業バリバリで働ける人でも、育児、出産、介護等の必要性が出てきた時には、その会社で働き続けることができなくなってしまいます。

よって「成長するために長時間働くべき」という考えのもと、それに賛同する従業員だけを集めたとしても、短期的にはそれで問題なくとも、長期的に見れば人材の流出は避けられなくなるのではないかと考えています。

まとめ

  • 長く働くことで成長できることはある
  • 長く働くだけで成長できるわけではない
  • 良い経験は成長を促進する
  • 良い経験は業務だけとは限らない
  • 睡眠時間を削るべきではない
  • 仕事が人生の全てとは限らない

長時間労働で成長することは当然あるけど、成長するための手段は他にもあります。単に長く働けば良いということではありません。重要なことは良い経験を積むことです。

ただし全ての人が成長を望んでいるわけではなく、そうした考え方を強制することはできません。強制すると軋轢が生まれます。その辺は自己責任ですね。

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