睡眠不足によって集中力が低下し、仕事の生産性が低下することは当然のことであり、これに関して誰も反論する人はいないでしょう。仕事で生産性を高めていくためには十分な睡眠をとることが大変重要です。
しかし多くの人は、残業が続き睡眠不足に陥ることによる体へのダメージをあまく見積もっているのではないかと思います。生産性を高めるためには睡眠は重要だという認識はありながらも、正直私自身も睡眠に関して以前はかなりあまく見ていました。
睡眠時間が短くなりながらも仕事中眠気を感じないので自分は睡眠不足ではないと思っている人はいないだろうか。何日かしっかりと睡眠をとったのにそれでも眠気がなくならないと実感している人はいないだろうか。
厚生労働省のウェブサイトにある健康づくりのための睡眠指針2014という資料の中から、何点か重要なポイントを抜粋しながら睡眠と生産性の関係を考えてみました。
起床後12~13時間が集中力を保てる限界
これについては最近はよく言われるようになってきていますが、人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後12~13時間が限界という記載があります。朝の7時に起きる人であれば、19時か、おそくとも20時までが集中力をキープできる限界だということです。
さらにそれ以降になると、酒酔い運転と同じ程度の作業効率まで低下すると書いてあります。深夜まで残業して仕事をしていたとしても、それは酔っ払いが集中力を欠いた状態で仕事をしているのと同じ状態だということですね。これでは生産性が低下しないわけがありません。
通勤時間なども考慮した上でさらに人間が集中力を保てる範囲内で仕事を行おうとした場合には、残業せずに定時まで集中して仕事を行うやり方は非常に合理的で理にかなっていると考えることができます。
睡眠不足が連日続くとさらに生産性は低下する
1日だけ睡眠が不足した場合と比較して、睡眠不足が連日続いてしまった場合には作業効率はさらに低下していくことが示されています。
だからといって1日だけなら夜更かしして睡眠不足になっても構わないというわけではありませんが、毎日残業続きで連日のように睡眠不足に陥ってしまうと、そのダメージは日に日に蓄積されていくということですね。
睡眠不足によるダメージは日に日に体に蓄積されていき、生産性はどんどん低下していきますから、毎日残業続きで睡眠不足が続いている人は十分な睡眠をとっている健康な人と比べて、作業能率の差が相当大きく開いてしまうと考えることができます。
長時間残業が慢性化してしまって生産性が著しく低下している企業と、毎日十分な睡眠を確保できている健康的な生活を送れる企業とでは、同じ仕事をしたとしてもその成果には大きな開きが出てしまうということです。
作業効率が落ちているのに眠気を感じない
これはかなり衝撃的ですね。連日睡眠不足で作業能率が低下していたとしても、本人はそれほど眠気を感じることもなく、生産性の低下を自覚できない場合が多いようです。
明らかな睡眠不足で「眠い」と感じて自分の生産性が低下していることを自覚できるレベルの睡眠不足が深刻であることは言うまでもありませんが、問題は本当は睡眠不足で生産性が低下しているにもかかわらず「自分は大丈夫」と思っている人も存在するということですね。
毎日深夜まで残業が続いて睡眠時間が足りていない人は、それに慣れてしまっていて日中仕事している時にそれほど強い眠気を感じていないかもしれませんが、それは自覚できていないだけであって確実に睡眠不足であり生産性は低下しているということです。
「そんなに眠くないから自分は大丈夫」というのは単なる錯覚だということを認識し、十分な睡眠時間を確保することが重要ですね。
知らないうちに作業効率が低下する
睡眠不足の恐ろしいところは、自分で自覚していなくとも、知らず知らずのうちに作業能率が落ちてしまっていることもあるということです。
睡眠不足のために集中力が低下して生産性が落ちていることを自覚することができていれば、まだ自分で対策を打つことも可能です。しかし知らないうちに気づいたら作業能率が落ちているという恐ろしいことが起きてしまうと、自覚がないため対策が必要だという認識にすらならないかもしれません。
多分毎日のように残業している会社の人達は、自分達の生産性が既に低下していることに気づいていないのだと思います。十分な生産性を発揮できていると錯覚していると思います。
でも実際にはそうではなくて「知らないうちに」生産性は低下していますので、慢性的な残業に陥っていて十分な睡眠時間を確保できていない場合には、早急に対策することが望まれます。
睡眠不足が6~7日続くと3日十分寝ても効率は戻らない
これもかなり衝撃的な内容ですね。1週間くらい睡眠不足の状態が続いてしまうと、その後3日間十分な睡眠時間を確保したとしても、それだけでは元の作業能率に戻すことはできないということです。
平日は毎日深夜まで残業の続いた人が、週末に十分な睡眠をとったとしても、それだけでは作業能率が十分に回復しないと考えることができます。週末にしっかり寝れば翌週にはまた元気に仕事できるというのは幻想だということですね。
いつも作業能率が高い状態で仕事を行うためには、週末にしっかりと睡眠を取るだけでは不十分であり、日頃から十分な睡眠を確保しておくことが必要だということです。
それにしても3日間も十分な睡眠を確保しても回復できないという事実には驚きですね。私も多少睡眠不足が続いたとしても、2、3日しっかり寝れば体は元気になって元の集中力を発揮できる状態に戻れると何となく思っていました。
でもそんな考えは幻想であり、継続して睡眠不足のダメージが体に蓄積されてしまうと、そのダメージを完全に抜くにはもっと時間が必要だということですね。
週末寝すぎると週明けの眠気につながる
平日に毎日残業して睡眠不足で疲れがたまってしまい、その疲れを取るために週末に死んだように眠ってしまう人は結構いるのではないでしょうか。そして週末たくさん寝たはずなのに、月曜日に仕事に行くとやっぱりまだ眠い・・・。そしてまた毎日残業で睡眠不足の無限ループ。
週末にたくさん寝たはずなのに月曜日になってもまだ眠いとなると、いくら寝ても眠気が取れない、疲れが取れないという感覚になってきますよね。これは実体験として感じている人は結構多いのではないでしょうか。
週末寝すぎてしまうとかえって月曜日や火曜日に眠気や疲労につながるのであれば、週末の寝過ぎに注意しなければいけないということになります。週末寝過ぎないようにするためには平日に適度に睡眠をとることが必要となります。
結局のところ毎日高い生産性をキープできるようにしたいのであれば、毎日しっかり睡眠を取ることが必要だということですね。「寝だめ」みたいな裏技は根本的な解決にはならないということです。
まとめ
高い集中力を維持し、高い生産性を発揮しようと思うなら、十分な睡眠が必要だということは誰もが何となく認識していることではありますが、改めて睡眠について考えてみると、睡眠不足は自分が想像していた以上に深刻なマイナス効果を生み出すものでした。
- 起床後12~13時間が集中力を保てる限界
- 睡眠不足が連日続くとさらに生産性は低下する
- 作業効率が落ちているのに眠気を感じない
- 知らないうちに作業効率が低下する
- 睡眠不足が6~7日続くと3日十分寝ても効率は戻らない
- 週末寝すぎると週明けの眠気につながる
結局のところ「毎日しっかり寝る」という当たり前のことが何よりも大切だということです。