ほんの一昔前までは残業することは当たり前で、残業できないやつはダメなやつだという雰囲気さえありました。就職活動で面接に行くと「徹夜できますか?」「体力ありますか?」という質問をされることも当たり前でした。少し前までは残業は「良いこと」という空気が世の中にありました。

それが電通の事件をきっかけに一気に世の中の流れが変わり、今は多くの会社で働き方改革に取り組み、残業が多い会社は肩身の狭い思いをする世の中になりました。今のこのご時世で面接の時に「徹夜できますか?」「体力ありますか?」なんて聞いたら炎上案件となりますね。w

しかしまだまだ長時間労働に対する意識は不十分なように感じます。以下の記事などを読むと残業の少ないドイツとの如何ともしがたい意識の差を感じます。

長時間労働で「管理職に罰金刑」ドイツの実際

長時間労働を「悪いこと」程度に捉えている日本と、長時間労働を「犯罪」と捉えているドイツとの差を考えてみました。

ドイツでは長時間労働は犯罪となる

ドイツの場合では長時間労働が是正されないと、経営者が最長で1年間の禁固刑になるそうです。ドイツでは長時間労働は経営者が犯罪者になってしまうリスクのある重大なできごととして捉えられているようですね。

一方で日本でも長時間労働に対する意識は徐々に高まってきているとはいえ、「長時間労働=犯罪」という意識まではないように思います。せいぜい「長時間労働=悪いこと」どまりだと思われます。

それどころかいまだに日本では残業することが美徳として扱われることさえありますよね。

日本で「残業=美徳」のように扱う老害の方達はドイツに行ったら犯罪者として扱われることになります。長時間働かないと経済が回らないなどと時代遅れな眠たいことを言っている経団連のおじいさん達はドイツなら全員犯罪者です。

長時間労働が犯罪なんていくらなんでも大げさだよと思う人もいるかもしれませんが、そんなことはないですよ。下記の表はここから引用させてもらいました。

過労死の残業時間別労災支給決定件数と割合

過労死の残業時間別労災支給決定件数と割合

経済のために残業はしょうがないよと言っている経団連の爺さん達の言うとおりにすると、これだけの人達が少なくとも亡くなることがわかっているわけです。人が死ぬことがわかっているのにこれだけの残業をさせようと言うのは「犯罪」として扱うことに少しも大げさなところはないと思います。

逆に「働かせ過ぎれば死ぬかもしれない」とわかっているのに長時間労働させることを犯罪として扱わない方が違和感があるのではないでしょうか。日本は人が死んでいるのに長時間労働をあまりにも軽く扱いすぎです。

管理職を直接罰することで当事者意識を持たせる

ドイツでは会社に罰金を払わせるだけではなく、管理職に自腹で罰金を払わせるようです。その金額は最大で180万円程になるようです。

電通事件では会社に対して50万円の罰金が課せられましたが、その金額が小さすぎると問題になりました。現状だとそういう法律になっているので裁判所がそういう判決を出すのは仕方がないですが、ではこの金額が億単位であればそれで良かったのかというと、電通ほどの会社であれば億単位の罰金であってもそれほどのダメージにはなりません。

企業に対する罰金だけでは十分な抑止力になりにくい場合も多くなりますので、ドイツのように会社ではなく管理職個人に罰金を負担させるようにすることには意味があります。

管理職個人に180万円の罰金が課せられるということであれば、企業に対してだけ罰金を課すよりも大きな抑止力となることは間違いないでしょう。

弊社でも2012年までは毎日終電まで仕事をしているような超絶ブラック企業だったわけですが、その頃の私の経験からすると、ニュースで過労死の事件等を見ても中々自分ごととして捉えることができませんでした。全く別の世界の出来事のように他社のニュースを見ていました。

日々の企業活動の現場にいる人達に自分ごととして当事者意識を持ってもらうようにするためには、会社だけではなく管理職個人に対する罰則は非常に有効な手段となるのではないかと思います。

残業が少ないと生産性だけではなく生産量も増加する

残業の少ないドイツと日本を比較すると以下のようになるそうです。

  ドイツ 日本
平均労働時間 1371時間 1719時間
1人当たりGDP 486万 451万

ちなみに労働生産性はドイツが日本を46%上回っているそうですが、残業が多く睡眠不足で疲弊した状態で仕事をしているよりも、毎日しっかり休んで仕事をしているドイツの方が生産性が高くなることは当たり前です。

それよりも注目するべきなのは1人当たりのGDPもドイツの方が上回っている事実です。残業が少ない方が生産性だけではなく、生産量も上回っています。

これについてはアクシアでも同じ現象を経験してきました。アクシアでは2012年の9月まで残業まみれの状態で仕事していたのですが、残業がゼロになった2012年10月の生産量と比較した時に、労働時間の長かった2012年9月よりも残業ゼロになった2012年10月の方が27%も生産量が増加しました。

このあたりの話はいくら言っても中々信じてもらえない部分なのですが、詳しくは下記のブログなども読んでいただければと思います。

残業を無くしても売上が落ちない理由

アクシアのような小さな会社の事例だけ言うと「それは特殊な事例だ」などと言い訳して残業削減に取り組まない会社は山ほどありますが、ドイツと日本の国際比較でも残業が少ない方が生産性だけではなく生産量も伸びることが証明されています。

このような客観的事例を見てもまだ残業しないと売上が落ちるとか言っている人は、控えめに言って頭が悪いですよね。残業やりまくっても何一つ良いことはないので売上を増加させるためにもさっさと残業削減に取り組むべきです。

残業規制はシンプルなルールにするべき

ドイツでは1日10時間を超えて働いてはいけないという法律になっているそうです。非常にシンプルでわかりやすく、誰にでも理解できますよね。それに対して日本で現在検討されているルールがこちら。

  • 原則は月45時間、年360時間までを上限とする
  • 繁忙期は単月で100時間未満とする
  • 2~6ヶ月の期間で月平均80時間以内とする
  • 年間計720時間以内とする
  • 45時間を超えられる月は6ヶ月までとする
  • 守らなかった場合には罰則がある

非常に複雑でわかりにくいですね。ひょっとして抜け穴を作るためにわざとわかりにくくしているのでしょうか。こんなもの誰が正しく理解できるのでしょうか。少なくとも現場で働く人たち全員が正確に理解することは不可能です。

どんな分野であってもルールはできるだけシンプルであるべきです。シンプルにしないと実運用で耐えられなくなってしまうからです。こんな意味の分からない複雑な決まりにするのではなくて、ドイツのように誰にでも理解できるシンプルなルールにするべきです。

ちなみに私がぜひとも導入してもらいたいと思っているルールはこちら。

働き方改革で勤務間インターバルが大事だと思う理由

「次の労働までに11時間休ませなければならない」というシンプルなルールです。残業の上限規制などよりもこちらの方がはるかに大事だと思っています。

なぜ、こんな短い労働時間でも仕事や経済が回っているのですか?

「なぜ、こんな短い労働時間でも仕事や経済が回っているのですか?」という問いに対して、上記のドイツの記事の中では次のように書かれていました。

ドイツ人は午後5時まで頑張って働き、日本人は午後5時から頑張って残業する

ああ・・・まるで毎日終電まで仕事をしているプログラマーを見ているようです。w 毎日遅くまで仕事をしている人にとっては夕方までは慣らし運転みたいなものです。本気出すのは夕方以降からです。朝から本気出すと最後まで持たないからです。

なんで短い労働時間でも仕事や経済が回るのか?ではなく、短い労働時間だからこそ仕事や経済が回るのだと思います。残業をせずに睡眠時間を十分に確保し、常にフルパフォーマンスで働ける環境を作ることで短い時間の中で多くの成果を出すことができるようになります。

残業しないと仕事の成果を十分に出せないという考え方は、もはや時代遅れで通用しなくなってきているのではないでしょうか。