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アクシアは2012年10月1日から残業ゼロになりました。つまりこの記事を書いている2022年9月30日からちょうど10年前が、会社として最後に残業した日ということになります。10年やってきて実際どうだったの?というところを、良いところも悪いところも赤裸々に書いてみたいと思います。

残業ゼロになった経緯

10年前に残業ゼロにしたのは、別に立派な理念があったわけでも卓越したマネジメント能力があったわけでもありません。当時のアクシアはブラックすぎて採用しても次々と人が辞めていくブラック企業。そんな中で「この人に辞められたら事業が継続できなくなる」という社員から退職の申し出がありました。その社員を引き留めるためには労働環境を改善するしかなく、ほとんど開き直った状態で仕方なく残業ゼロにしました。

残業ゼロにしたいから残業ゼロにしたのではなく、当時はそうするしかなかったから残業ゼロにしただけです。

残業ゼロにして変化したもの

それまで毎日終電、毎週休日出勤がデフォルトだった会社が急に残業ゼロになったことで様々なことが変化しました。どんなものがどんなふうにこの10年で変化してきたのかを見ていきます。もちろんこれらの変化の要因は多要素が複雑に絡み合ってますので、全てが残業ゼロが要因だとは言えませんが、事実として変化したものとして見ていただければと思います。

売上・利益率の変化

売上は当時と比べて2倍くらいになっています。利益率は少し増えたくらいです。

社員の給料

今のアクシアの社員は正社員でも週4日勤務だったり1日の労働時間が短かったり、それぞれのライフスタイルによって様々です。よって総額による単純比較は非常に難しいので時給換算して10年前と比較してみました。その結果今の方が15%くらい増えていました。日本は10年前からほとんど収入が増えていませんので、それと比較すると伸びていると言えるのかなと思います。

離職率

離職率は厳密には計測していないので数字では出せませんが、10年前は採用しても次から次へと人が辞めていく状況でした。ブラック企業だったので当たり前ですね。それに対して今は時々は人が辞めますが、めったに人が辞めない会社になりました。ここの部分は残業ゼロを含めて労働環境を改善した効果が顕著に出ていると思います。

採用

採用は10年前と比べて比較にならないほどやりやすくなりました。10年前は有料の求人媒体に高いお金を払って採用活動をしていましたが、今はそんなことしなくても会社のウェブサイトから日々応募者のお問い合わせをいただいています。

今は労働人口が減少して採用難と言われており、エンジニアの採用に関しては特に難易度が上がったと言われています。しかし弊社の場合はそうした影響を特に受けておらず、今でも採用の告知をSNS等で行えば100人、200人のエンジニアの応募がすぐにいただけますし、特に告知をしなくても日々ご応募いただけています。

特にこれといって大きな特徴のない弱小開発会社としてはこの状況は快挙と言えると思います。

業務効率

残業ゼロにしてから業務効率はさらに進みました。具体的には残業ゼロだけではなく、有給消化率も100%になりました。アクシアでは土日祝日と夏期休暇、年末年始休暇がありますので、有給と合わせると年間でかなりの休日数になります。

年間労働時間として見ると他社さん比較してもかなり少ないはずで、この中で成果を出していくために業務効率については今後も引き続き高めていく予定です。

顧客の質

顧客の質と言うと偉そうに聞こえてしまいますが、10年前と比べて明らかに顧客の質は良くなりました。具体的には理不尽なことを要求してくる顧客がほとんどいなくなりました。いなくなったというよりは、意図的にそういう顧客を切っていったと表現した方が正しいかもしれません。

残業ゼロでやっていくと決めたからには、理不尽なことを要求してくるふざけた顧客の相手をしている余裕は一切なくなったので、理不尽な顧客を相手していると残業ゼロなど維持できないのです。残業ゼロを維持するために理不尽な要求は全て断り、結果として優良な顧客が残って顧客の質が上がりました。

36協定

完全に残業ゼロになったので36協定がなくなりました。36協定は時間外の労働を行う場合に必要な協定になりますので、ほぼ全ての会社が36協定を締結しなければなりませんが、アクシアの場合は本当に完全に残業ゼロなので、36協定が必要なくなりました。

残業ゼロになってから最初の何年かは、万が一に備えて36協定を結んでいたのですが、今後もずっと残業ゼロでやっていく覚悟をするためにも、途中からは背水の陣で36協定は締結しないことにしました。

残業ゼロになって起きたネガティブなこと

残業ゼロになってから様々な変化がありましたが、良いことばかりというわけでもありませんでした。以下、どちらかというとネガティブと言えるエピソードについて書いていきます。

残業ゼロに適応できない社員

全員が残業ゼロにうまく適応できたわけではありません。中にはどうしても残業ゼロに適応できずに辞めていった社員もいました。ただ個人的に思うのは、残業ゼロに適応できなかったというよりは、今までの自分のやり方を変えられず、自分自身が変化していくことができなかったという結果なのかなと理解しています。

というのも、ほぼ新卒に近いような形で他社の働き方や残業ありの働き方を知らない社員は、何の苦労もなくアクシアの残業ゼロの働き方に適応できているんですよね。うまく適応できない人は今まで残業まみれの働き方に慣れてしまった人ばかりでした。

環境が変わったので自分の仕事のやり方も変えていかなければならないのに自分自身を変化させていくことができず、こういう人は最後は仕事がうまくいかない理由を必ず残業ができないことのせいにしてました。

求職者から残業ゼロを疑われる

今でこそアクシアは残業ゼロの会社として認知されてきたので、求職者から残業ゼロを疑われることもほとんどなくなりましたが、残業ゼロにしたばかりの頃はかなりの確率で求職者から疑われていました。

IT業界はほんの数年前まで残業まみれの過酷な業界でしたから、そんな中で「アクシアは残業ゼロです」と言っても「どうせ嘘だろ」と思われてしまうことが多かったです。嘘だと思って入社して入社してみたら本当に残業ゼロで驚かれたこと多数でした。

ハローワークから残業ゼロを疑われる

当時はハローワーク経由でも求人の募集をかけていて、その時にハローワークに書類を提出する必要があるのですが、その中に「残業時間」を記載する欄があります。そこに残業時間はゼロと記載したところ、ハローワークの担当の方から電話で呼び出されて怒られました。

「私はこの業界で30年も仕事してきてますけど、IT業界で残業ゼロなんてことはありえないです。米村さん、残業ゼロと残業代を払わないということは違うんですよ?嘘を書くのはやめてください。正直に書いてください」とかなりガチモードで怒られました。

2022年の今、残業ゼロと書いても信じられないということもないかもしれませんが、10年前は確かにIT業界は過酷な業界で、どこの会社も残業まみれが当たり前の世界でした。そんな中でいきなり残業ゼロのIT企業ですとか言われても信じてくださいという方が難しかった時代です。

何度も丁寧に会社の取り組みを担当の方にご説明して、最後には「このような素晴らしい取り組みをされている企業様に対して大変失礼なことを申して大変申し訳ありませんでした」と謝罪していただきました。

顧客へかけてきた迷惑

一度残業ゼロに切り替えてからは、鉄の意志で残業ゼロを貫いてきました。顧客からどんなに強く残業や徹夜での対応を求められてもお断りしてきました。この残業ゼロの方針で顧客にご迷惑をおかけしてきたことがあることも否めません。

ただし長く残業ゼロを続けていると、このことは必ずしもネガティブとは言い切れない部分もあるし、このことを迷惑と捉えるかどうかも考え方次第、時代によっても変わってくるのかなと今では思っています。

顧客の期待に応えることは確かに大切ですが、顧客の期待を絶対的な正義にしてしまって、それに応えるために自社の社員の生活を脅かすことが本当に正しいのか?という問題もついてきます。

考え方は色々あるのでこれはあくまでも米村個人の現時点での考え方ですが、社員の生活や幸せを侵害してまで顧客の期待に応えるのは本末転倒だと考えています。この辺りは古い時代の考え方を世の中全体でアップデートしていく必要もあるのかなと思っていますし、ここ数年のアップデートは目覚ましいものがあるとも感じています。

顧客から受けた嫌がらせ

アクシアが残業ゼロになってから、どうしても残業ゼロの方針が納得できない、気に食わないという顧客がかつていました。その顧客は何とかしてアクシアに残業させてやろうと、金曜日の夕方にタスクの依頼をしてきて「必ず月曜日の朝までにお願いします」というようなことをしてくるようになりました。そして月曜日にうちの社員を怒鳴りつけるようなことをする。

このレベルになると話し合いでは解決困難ですので、契約を打ち切りにして切り捨てました。考え方や価値観が根本的に合わないので致し方ないと思っています。

残業ゼロにしてわかったこと色々

残業ゼロを10年続けてきてわかったことを以下いくつか書いていきます。

人それぞれ色々なライフスタイルがある

今はもう当たり前すぎて何でこんなことも気づけなかったんだろうという内容ですが、残業ゼロを続けることで、人にはそれぞれ色々なライフスタイルがあるということに気づきました。

10年前の私は、仕事には責任が伴う、プライベートでもスキルアップのための努力を惜しまないことは当然のことだという凝り固まった考え方でした。この考え方が完全に間違っているわけではなく、この考え方がフィットする人もいるでしょう。

しかし人のライフスタイルは様々です。子育てで忙しい人、介護で忙しい人、恋人や友人との時間を大切にしたい人、趣味の時間が大切な人、そして仕事が大切な人。仕事を最優先とする考え方は、様々なライフスタイルの中のほんの一部の人に当てはまる考え方なのです。

残業ゼロになってからは、様々なライフスタイルの人がアクシアで働くようになりました。彼らを見て、恥ずかしながら結構最近になってからようやく「人それぞれ色々なライフスタイルがある」という当たり前のことに気付かされました。

残業ゼロだと成長が鈍化するか

長時間労働しないと成長できないという話は今も時々聞きますね。でも10年間残業ゼロの会社を見てきた感想としては、そんなことは全くないかなと。もちろん実業務の中から得られる経験は成長には欠かせないものです。しかし業務以外でも成長の機会なんていくらでもあるんですよね。

エンジニアだったらプライベートな時間を使って新しいスキルセットを習得することも大事なことです。業務とは直接的にすぐに結びつくわけではないスキルを習得することで、後々業務での幅を広げることもできます。

結局のところ成長するかどうかは本人のスタンスによるところも大きいので、残業ゼロでプライベートな時間を確保できてもあまりスキルアップに時間を使わない人ももちろんいます。でも既に述べたようにライフスタイルは人によって様々なのです。スキルアップにフルコミットしないことを悪とは言えないでしょう。

顧客からの短納期の依頼はどうすればよいか

結論:断ればOKw

我々は顧客の奴隷ではないのです。顧客とは対等でフェアな関係であることが健全です。絶対にその方が仕事のパフォーマンスも上がります。

顧客に言われるがまま、無理な条件で仕事を進めるのではなく、無理なものは無理だと断って対等に顧客と話をしましょう。怒られるのが嫌だからという理由で顧客の理不尽な要求を受け入れるのは卑怯ですよ。なぜならその負担を自社の社員に押し付けることになるわけですから。自分が顧客に怒られたくないから社員に負担をかけるのは卑怯そのものです。

人を増やしても長時間労働は解決しない

長時間労働を解決するために一番重要なのは意識改革です。どんなに業務効率化しても、どんなに人を増やしても、意識改革がされていないと結局は長時間労働は解決されません。なぜなら業務効率化したり人を増やしたりしても、その分仕事も増やしてしまうからです。

そうではなく、この時間以降は絶対に仕事をしない・させないというルール決めとその遵守が重要です。アクシアのようにいきなり残業ゼロでなくても構いませんが、長時間労働を解決したいのであればまずはルールを決めて、それを鉄の掟として守るようにしましょう。

ほとんどの顧客は残業ゼロに共感してくれる

最初は残業ゼロでやりますと言ったらほとんどの顧客に怒られるのではないか?と思っていましたが、そんなことありませんでした。ほとんどの顧客は残業ゼロの方針に共感してくれましたし、協力してくれました。もちろん中にはそんな方針は絶対に許容できないという顧客もいましたが、そういう顧客は少数派でした。きちんと会社の考えを説明すればほとんどの顧客は問題ありませんでした。

残業ゼロは結構ハード

時々残業ゼロの働き方のことをゆるい働き方だと言ってくる人がいますが、それは考え方次第でしょう。長い時間を耐久レースのように仕事するスタイルをハードだと言うのであれば、確かに残業ゼロはそれには当てはまらないかもしれません。

しかし残業ゼロは、定時までに予定していたタスクを終わらせていく必要がありますので(終わらない場合ももちろんある)、「ハードに働いて定時で帰る」というような表現の方が事実を正確に表現できていると思います。

残業ゼロで気をつけていること

残業ゼロを維持するために気をつけていることをいくつか書きます。

出退勤のルール

上述したようにアクシアでは36協定がありません。これは1分の残業も許されないということです。

これを実現するためには9時出勤の人は9時ぴったりに出社、18時退勤の人は18時ぴったりに退社する必要がありますが、そんなことは現実的には不可能です。

そこでアクシアでは、9時出勤の人は9:00~9:05に出社、18時退勤の人は17:55~18:00に退勤するというルールにしています。勤務時間以外にPCの起動も禁止です。

VPNの自動切断

アクシアでは営業時間以外はVPNが自動的に切断されるようになっています。よって営業時間外に社内のシステムにアクセスすることはできなくなります。

その他、残業ゼロ所感

その他、10年間やってきて思うことを書きます。

残業ゼロは慈善活動ではない

残業ゼロは慈善活動ではありません。会社にとって利益があると判断してやるべきです。残業ゼロのメリットについては既に述べてきたとおりです。

「社員のために」とか言って残業ゼロをやっても嘘くさいですし、社員や求職者にも響かないと思います。

経営者なら「社員のために」ではなく「会社のために」やるべきです。会社の利益になるから、その利益を社員にも還元できるのです。そこから目を背けるのは経営者ではないでしょう。

慈善活動やボランティア活動がやりたいのであれば会社以外でやるべきです。それで会社の利益が損なわれたら社員にも迷惑でしょう。

残業ゼロにして良かったか

残業ゼロにして良かったか?という問いに対しての答えは明確にYESです。良かったこと、悪かったこと色々ありますが、総合的に見た時には明確にメリットの方が大きく、残業ゼロにして良かったと胸を張って言えます。

一方で、全ての企業が残業ゼロにするべきか?のような問いであれば答えはNOです。アクシアでは採用や離職率の低下などの目的があって今でも残業ゼロを続けていますが、残業ゼロは手段であり目的ではありません。よってすべての会社が残業ゼロにするべきとは思いませんし、残業ゼロが正義だとも思っていないです。

以上、残業ゼロを10年間続けてきた経験をご紹介してきました。アクシアとしては今後も残業ゼロを継続していきたいと思います。


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