システム開発にも種類があるのをご存知でしょうか。この記事ではシステム開発の種類と歴史について、それぞれの種類の特徴、システム開発で最適な種類を選ぶポイントを紹介します。この記事がお役に立ちましたら幸いです。
システム開発の種類と歴史について
システム開発の種類の代表的なものは、汎用機で使用するシステムを開発する「汎用系」、業務系アプリケーションを開発する「オープン系」、Webブラウザを介して利用するWebアプリケーションを開発する「Web系」の3種類があります。
コンピュータシステムの歴史を時系列でみると以下の流れになります。
汎用系 → オープン系 → Web系
PCが発達する前は汎用系が主流でした。汎用機という高性能な大型コンピュータが各会社に置いてあり、今の時代のようにどこからでもアクセスできるわけではないのが当たり前でした。
その後PCが安価で購入できるようになり、オープン系のシステムの時代が到来します。(Windows95以降)
当時は自社でサーバーを用意しており、またサーバーを作るのが大変な時代でした。エンドユーザーのPCにシステムをインストールして動かすのが普通でした。
2000年前後からインターネットが急速に普及し、Web上で動作するWebシステム化が進みました。AWSを代表とするクラウド構築サービスが出てきたことにより、サーバーを作ることが技術的にもコスト的にも容易になりました。また、自社でサーバーを用意しなくて済むようになりました。
銀行や証券関係では汎用機の運用は移行が簡単ではない背景から、近年まで根強く残っています。2002年にあった、みずほ銀行の大規模障害は大手銀行の汎用機の仕様が異なり、システム統合の難易度が非常に高かったことが大きな原因の一つとして語られています。
2000年代は銀行・証券系のシステムでは日中にWebシステムでオンライン受付を行い、夜間に汎用機で繰り越し、振替処理を行う開発スタイルが取られるようになってきました。2010年代以降は大手銀行でも基幹システムにAWSやオープンソースソフトウェアの導入が始まり、Web化が進みました。
この時系列とは比較的独立して、「組込系」というものが存在します。自販機や信号機や自動改札機、レジなどに使われるシステムです。以前は組み込み系で実現されていたシステムも、タブレットやラズベリーパイなどのデバイスの発達でWebシステム化しているものも多くあります。
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汎用系システムの特徴
汎用系システムは、古くから金融機関、証券会社、行政のシステムで活躍してきました。COBOLやFORTRANといった汎用機向けのプログラム言語にて作成されたプログラムによって計算処理を行います。日中に受け付けた振り込みデータなどのトランザクションデータを、夜間に一括処理する流れとなることが多いです。
日本では1970〜1990年代に全盛期をむかえ、対応できる技術者の高齢化により慢性的な技術者不足に陥っています。技術者不足に加え、オープン化、Web化の流れを受けて汎用系のシステムは減少傾向にあります。
汎用機のメーカー(富士通、日立、IBMなど)ごとに仕様が異なり、開発は汎用機のベンダー(販売業者)が受注を独占して進行するケースがほとんどとなります。このことをベンダー依存と呼びます。
オープン系システムの特徴
オープン系システムは、PCで動作するシステムを指します。在庫管理や販売管理、会計ソフトなどで採用される事例が多いです。仕様が公開されているため、ベンダー依存が起こりません。VB、VC++、C#などのプログラム言語が使用されることが多いです。
動作環境で前提となっているOSであれば、PCにアプリケーションをインストールするだけで動きます。しかし、各利用PCにインストールが必要になり、インストールをしないと利用できなかったり、アプリケーションに修正があった場合、インストールし直さなければならなかったりする点がデメリットといえます。
インターネット通信機能を利用しないスマートフォンアプリ(メモアプリ、カメラアプリなど)も定義上はオープン系のソフトといえるでしょう。
Web系システムの特徴
Webブラウザから使うことのできるシステムです。WebブラウザはたいていPC、スマートフォンともに標準でインストールされているため、基本的に利用ユーザーが利用端末に新たにソフトをインストールする必要はありません。
WebサービスやWeb業務システム、インターネット通信機能を利用するスマートフォンアプリまで、幅広く採用されています。Webサービスの場合はECサイト、情報ポータルサイト、ニュースサイト、マッチングサイト、SNSなど多岐にわたります。
Web業務システムの場合は在庫管理、販売管理、会計ソフトなど多岐にわたります。Webシステムではあるが、セキュリティーの観点からアクセス制限を設けたり、LANやVPN内に設けることがあります。
インターネット通信機能を利用するスマートフォンアプリには、SNSのアプリやゲームアプリも含まれます。
市場の需要と利便性の良さから、近年の開発のほとんどはWeb系システムが占めています。
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Web系システムのメリット
ゼロからシステム開発をするとなると、Web系システムを選択することが多くなるかと思います。Web系システムを選ぶメリットを注文者(お客様)、使う人(エンドユーザー)、作る人(開発者)それぞれの観点から解説します。
システム開発注文者(お客様)のメリット
お客様がWeb系システムを選ぶメリットとして、データの保持をクラウド上でできるため、データ紛失の心配がないことが挙げられます。例えばAmazonの注文履歴などはクラウド上にあるため、紛失の心配がないうえにPCからでもスマートフォンからでもデバイスに依存することなく確認することができます。
また、WebブラウザはたいていPC、スマートフォンともに標準でインストールされているため、エンドユーザーの使用環境を考えなくていいところも大きな利点です。これにより、サポートを気にする負担が減ったり、多くのエンドユーザーを獲得できるというメリットがあります。
システムを使う人(エンドユーザー)のメリット
エンドユーザーのメリットは、なんといってもデバイスに依存しないところです。Webブラウザ上でシステムを使えるため、システムを使用するための環境を用意せずに済みます。また、使うデバイスとデータを気にしなくてよいため、アカウントのログインをしていればPC、タブレット、スマートフォンなど、どのデバイスからでもアクセスすることができます。
システム開発を作る側(開発者)のメリット
開発者のメリットとしては、拡張性があり機能追加や不具合修正などの変更が比較的簡単に行えることが挙げられます。
汎用系、オープン系と比べると技術が日々更新されており、知見も多く溜まっており、システムを作るのが容易になっています。これにより、お客様に早くシステムを提供できるようになったり、サポートを迅速に行うことができます。
システム開発で最適な種類を選ぶポイント
近年ではWeb系システムが主流となっており、多くの場合はWeb系システムにメリットがあります。ここでは、Web系システムを選択しない理由を記載します。
- 使用するユーザーが1人の場合
- バージョンアップを行わない場合
スマートフォンアプリはインターネット通信機能を利用する場合、Webシステムといえますが、スマートフォンにインストールするアプリを単体で見たとき、AppleやGoogleへの変更申請手続きやユーザー側でのアップデートをしてもらうことが前提となるため、バージョンアップがWebシステムに比べて煩雑となります。
また、スマートフォンアプリでは、iOSとAndroid向けにそれぞれ開発が必要で、開発コストがかさみます。この問題を解決するために、両OSで共通して開発できる手法や、スマートフォンに搭載されているブラウザの機能を活用して、ブラウザベースのアプリを開発するなどさまざまなアプローチが近年出てきています。
システム開発の種類について・まとめ
システム開発の種類には、システムの用途に合わせてさまざまな種類が存在します。近年のシステム開発のほとんどは、Webブラウザを介して利用するWeb系システムが採用されています。また、コンピューターシステムの歴史と、その時代で使用されているシステム開発の種類の背景を知るきっかけになったことと思います。
この記事によって、システム開発成功のお手伝いができましたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。