私は2006年に今のアクシアという会社を起業しました。その時まだ26歳。来月で設立から丸13年となります。私の頃も起業を考える人は多かったですが、最近もそういう人は多いですね。
私も経営者としてまだまだ若輩者なので人に偉そうなことを言える立場ではありませんが、私の失敗経験を中心に、あの時あんなふうにしておけば良かったなと思うことを、これから起業を考えている人のために書いてみたいと思います。
思いつきでメモ書きレベルの内容ですが失礼します。
若い時に起業することはリスクか?
26歳というと起業する年齢としては若い方なので、リスクではなかったのかということを今まで何度も聞かれましたが、若くして起業することはリスクではないと私は思います。
若いと何もかもが経験不足なので、それをリスクと言っているのだと思いますが、起業すると本当に色んなことを嫌でも経験するようになりますので、経験不足を補うだけの学びは十分にあります。
経験不足だと失敗のリスクは高くなりますが、若い時に起業して失敗したとしても、その時はまたサラリーマンに戻れば良いだけです。若ければ再就職もしやすいですが、年齢が高くなればなるほど再就職の難易度は高くなるので、簡単にサラリーマンに戻るというわけにもいかなくなってきます。
だから私は、どうせ起業するなら若ければ若い方が良いと思います。失敗するなら早い方が良い。その方が失敗したとしても再挑戦もしやすくなります。
若い時に起業して失敗しても、失うものは企業資金くらいのものです。たいしたことありません。これをリスクだと思うようなら起業という選択肢は絶対におすすめできないのでやめた方が良いです。
法律の知識は絶対に学んでおいた方が良い
私が起業当時を振り返って大きく後悔していることの一つが、法律知識を十分に身に着けていなかったことです。
どんな業種で起業するとしても労基法の基本的な内容については熟知しておかなければなりません。これを怠ると知らないうちに雇用する従業員の権利を侵害することにもなりかねません。従業員やその家族の人生にも関わる大きな問題です。
また私の場合は、偽装請負に関連する知識が不足していたことは痛恨の極みでした。偽装請負について知識があってそれが違法行為だと知っていれば、絶対にSESで起業するなんて選択肢は取らなかったでしょう。
偽装請負を知っててそれに目を背けてSESを続けるクソみたいな経営者も残念ながら世の中にはあふれていますが、そんなのはもちろん論外です。
弁護士のように法律の専門知識を身につける必要はありません。しかし人に迷惑かけないようにするためにも、自分が関わることになる最低限の法律知識は学んでおくべきです。
営業力は絶対に必要
会社という形ではなくても、最近ではフリーランスを選択する人も増えています。しかしそういう人達が「仕事ってどうやって取ったらいいんですか?」というようなことを言っているのを聞くと、そういう人達には絶対に起業をおすすめできません。
広告でも口コミでも紹介でも何でも良いのですが、仕事を取る見込みの立っていない人は起業してはいけません。自分が苦しむことになりますし、そこで働く従業員にも迷惑をかけます。
SES経営者の多くはまともな営業力がありません。偽装請負という違法行為を行いながらピンはねビジネスのためにパートナー企業とネットワークを形成することは営業とは言いません。あんなのねずみ講かマルチ商法とやっていることは何も変わりません。自分と同類を探してネットワークを作って搾取構造を構築することは営業ではありません。
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人は自分と同じとは限らない
人は必ずしも自分と同じとは限らないという当たり前のことを忘れて経営してしまうと絶対に問題が起きます。
特に起業したての経営者は要注意です。起業したての頃の経営者はやる気に満ち溢れていますが、その温度感を社員にも求めてしまうと社員は辛くなってしまうかもしれません。
仕事が好きなことは良いことですが、世の中全ての人が仕事第一ではありません。家族や趣味を優先する人も当然います。どちらが良い悪いという話ではなく、お互いの価値観の違いを尊重しなければうまくいくわけがありません。
仕事を唯一絶対の価値観とする経営者の元で働く従業員は非常に辛いと思います。24時間365日働けという価値観は、仕事が唯一絶対の価値観の人にとっては正しいかも知れませんが、全ての人に適用できる価値観ではありません。
私も昔は「エンジニアたるもの常に勉強しなければならない」という価値観を従業員に押し付けていました。当時この価値観を押し付けられた従業員は辛かったと思うので申し訳なく思っています。
今も私の価値観としてエンジニアは勉強した方が良いとは思っていますが、その価値観を従業員に押し付けたりはしないので、従業員に勉強しなさいとも言いませんし、従業員が勉強しているかどうかの確認もしません。
自分が長時間労働が苦にならないからみんなもできるはずだという考え方も非常に危険です。人によって心身の強度は違いますし、プライベートの事情も人それぞれだからです。
人は自分とは違うかも知れない、自分と違う価値観だったとしても、価値観の多様性を認めるという考え方をするように変えてから、会社経営も随分うまくいくようになりました。自分の意見が通らないとすぐに怒るような人は要注意です。
迷ったら正しいことをやる
正直今でも判断に迷うようなことは会社経営をしていればいくらでもあります。そういう時は「正しいことをやる」ということを自分のルールとしています。これはアクシアが残業ゼロになってしばらくしてから決めたルールです。
別に聖人君子になろうという話ではありません。色んなことを経験してきて、結局迷った時には正しいことをやるようにした方が最終的にうまくいくことが多いと思うようになったからそうしているだけです。
例えばですが、会社経営というものは日々売上や利益の数字とにらめっこの世界です。そうすると売上的においしい話が転がり込んできたりすると、経営者としては心を奪われてしまいそうになるんですね。だから売上のために顧客の理不尽な要求を飲んでしまったりするわけです。そこで働く従業員を犠牲にして。
でも売上という麻薬に心を奪われそうになってしまっても、そこで一瞬立ち止まって考えてみるわけです。これって本当に正しいことなの?ということを。働いてくれている従業員を犠牲にしてまで得る売上に本当に意味があるの?ということを。
サービス残業やらせるような会社の心理も全く同じでしょう。会社経営はいかに売上を増やしていかに経費を少なくするかというゲームです。毎日毎日そのことばかりを考えていると、どう考えても正しくないことだったとしてもそれがわからなくなってしまう時もあるのです。人間ですから。
私も人間ですから、迷うことなんていくらでもあります。迷ってどうすれば良いかわからなくなることもあります。でも迷ったらとにかく「正しいことをやる」です。これさえ守ればそうそう判断を間違ったりすることはありません。決して簡単ではありませんが。w
今起業することはおすすめか?
今起業することがおすすめかどうかについては、本人次第としか言えないのですが、一つ言えることとしましては、私が起業した2006年当初と比べると、今の方が起業する環境としては不利かもしれません。
理由は人口減少による人手不足です。人手不足のため、2006年と比較すると尋常ではないくらいに採用の難易度が高くなっています。この部分は経営の難易度が高くなっていると考えなければなりません。
逆に言えばサラリーマンの環境は有利になっているということでもあります。どこの会社も人手不足なので転職や年収アップの難易度は低くなってきています。
ブラック企業に対する世の中からのどんどん視線も厳しくなってきています。こんな時代だからこそますます「正しいことをやる」ということを徹底して会社経営しないと、すぐに叩かれてしまいます。経営者には中々シビアな世の中です。w
まとめ
私としては起業はおすすめではあるのですが、昨今の状況を考えるとサラリーマンも悪くはないというか、むしろどんどん状況は良くなっていると思います。各種状況を鑑みて、自分に合った働き方を選択されれば良いかと思います。
会社経営はたいへんやりがいある仕事で私は楽しんでやってますが、大変なこともたくさんあるのは事実ですからね。色々批判もされますし文句も言われます。脅迫もされます。嫌なことなんて山程ありました。
私などは従業員の方達からこの会社で働くことができて良かったと、感謝の言葉を言ってもらえるようになったのはここ数年でようやくの話ですからね。それまでは感謝なんてされませんでしたし、言われるのは文句や批判ばかりでした。自業自得ですが経営者は孤独なんです。
辛いこともたくさんありますから、最初は高い志を抱いて起業した経営者でも、いつしか志を忘れてしまう人もいくらでもいます。この物語の経営者のように。↓
これから起業を目指す方は、「何のために起業したのか」を決して忘れないでほしいと願います。それを忘れてしまうと、気付いたら上記の物語のしがない経営者のようになってしまうかもしれません。w