侍エンジニア塾というプログラミングスクールが炎上しております。事の発端は下記のツイートが始まりです。
うーん…。
侍エンジニア塾さんのこの表示方法って、法律的にアウトなんじゃないんでしょうか…?
常に一週間後の表示😰プログラミングスクール等も少し興味あって見ていたのですが><
なんだか色々ともやもやしてます…。 pic.twitter.com/5YW7oQlwjc— みや@ひよっこプログラマ🐥 (@mi_yamya) October 12, 2018
どういうことかと簡単に言いますと、通常10万円としている入塾金が無料になるキャンペーンとして「○○日までに無料体験レッスンを受けた方のみ」と記載していたのですが、その部分のHTMLの記述が下記のようになっていました。
<script type=”text/javascript”>addDate(today(),’D’, 7);</script>までに無料体験レッスンを受けた方のみ
プログラムよくわからない方のために解説しますと、要するにいつこのウェブサイトのページを閲覧しても、閲覧しているその日から7日後の日付が表示されるように作りこまれていたということです。
私が見た時は10月12日でしたので、「10月19日まで」と表記されていました。でも何年も前からずっと同じように7日後が表示されるようになっていたようです。w
まあ、明らかに景品表示法に抵触する内容ですね。
これをきっかけとして次々と炎上していき、今も炎上中なわけですが、どんな点で炎上していったのかをいくつかピックアップして見てみます。
返金に関する問題
Twitter等で見ていると、侍エンジニア塾に申し込むと中々返金に応じてもらえないことをうかがわせる内容が出てきます。わかりやすいのがこちらのページ。↓
https://www.justanswer.jp/law/bfag7-.html
約2か月前に投稿された内容のようですが簡単に言ってしまうと、解約したいのに解約しようとすると払った金額100%の解約金が発生するので、返金に応じてもらえなくて困っているという内容のものです。
ここのページで回答している行政書士の方によると、100%というのは不当要求に当たるので消費生活センターに相談を勧められています。
他にも、元・中の人の井上慎也さんによる意味深な発言。
まぁ侍エンジニア塾の入塾金無料キャンペーンのやつは明らかな証拠があるというのがもうアレだけど、正直それよりヤバイのは返金保証の方なんだよなぁ…。
— inoue.shinya@ITエンジニアコミュニティTechCommit (@ino_dev) October 13, 2018
炎上後、解約しようとして電話したところ「解約できない契約」と言われてしまった人のツイート。
https://twitter.com/rokugatutouka/status/1051811261388709888
消費者センターに相談したら返金してもらえたという人のツイート。
https://twitter.com/free_juju_world/status/1052366356182487041
その後、謝罪内容が掲載されたが・・・
その後数日が経過してから、侍エンジニア塾を運営する株式会社侍さんのウェブサイトに謝罪のお知らせが掲載されました。その内容がこちら。↓
https://corp.sejuku.net/news-181016/
しかしこれまた内容が中々香ばしい内容となっています。景品表示法違反のキャンペーン期間虚偽表示については、プログラムで常に7日後の日付が表示されるように実装されているものであって、利用者の購買意欲を不当にあおって判断誤りを招いてしまう可能性があることは明らかです。
常に7日後の日付が表示されるプログラムまで実装しておきながら、その表記を「誤表記」と表現してしまっていることでさらに批判が集まり、炎上が加速しました。数年間もそういう表記になっていたわけですし、少なくとも「誤表記」はまずいですよね。
社員みんなで「ウェーイwww」している記事をアップしてしまう
インターネット上で大いに炎上しているその最中に、非常に衝撃的でチャレンジングな記事がアップされました。
【コンセプトが毎回変わる!?】TRUNK HOTELでおしゃれに社員総会してきました
社員さん達の非常に楽しそうな写真が多数掲載されている社員総会の記事のようです。
別に会社で「ウェーイwww」しても良いと思うし、どんな記事をアップしても会社の自由なのでこれに関しては個人的に不満はありません。ただ中々チャレンジングだなと。w
わざわざ盛大に炎上している時にこんな記事をアップしなくても良いと思うし、返金問題などで真剣に悩まれている方がこれを見たらブチ切れられても仕方がないかなと。。
わたくし個人の意見としましては、記事の中にあります、
失敗から学ぶ文化を侍では大切にしています
この言葉が嘘ではないことを切に願いたいと思います。今回の失敗で何も学ばなかったらもうコントになっちゃいますよ。
侍エンジニア塾で働いていた中の人だった方の記事
「ウェーイwww」の記事が出てさらに火に油を注いでしまったわけですが、ここで元々侍エンジニアで働いていらっしゃったという、井上慎也さんがブログをアップされました。
さすがに中の人だった人の書いた記事ですので、中々生々しい記載も見受けられますね。この井上慎也さんの記事によってさらに火の中に薪がくべられました。
しかしそれよりも私が色々心を痛めてしまったのが、井上さんが元々侍エンジニア塾で働いてきたということもあり、文章の所々から侍エンジニア塾に対する「熱い想い」が感じられるところですね。何とか良い方向に転換してほしいという気持ちが伝わってきます。
過去に一緒に働いていた人をこれ以上がっかりさせないためにも、反省すべきところは真摯に反省し、ぜひ良い方向に向かってほしいものですね。
中身の薄い記事が検索上位に表示されてしまう問題
そしてこれは以前から評判が悪かったようですが、プログラミングに関して何か調べ物をしようとした時に、侍エンジニア塾の記事が検索上位に表示されることが多いらしく、しかしその記事の中身があまりよろしくないようで、この点に関して批判が集中しています。
この画像でも触れられている侍エンジニア塾のC言語のサンプルがヤバすぎる。の記事によってさらに炎上を加速している模様です。
何か調べようと思って検索してみる。検索で上位表示された記事をクリックしてみたら侍エンジニア塾の記事で、やたら長い記事で本題に中々到達しないとか、調べようと思ってせっかくページを開いてみたら会員登録しないとその先を閲覧できずに結局他のページを探さなければならなくなり時間を無駄にしたとか・・・。
クラウドソーシングのようなところで格安で発注して記事を量産して、それによって検索上位を独占しようとするところは時々現れるんですよね。以前大問題になったウェルク問題にも通ずるところがあるように思います。
【告発も追記】やってはいけない一線を越えたDeNAのウェルク(Welq)をとりあえず直ちに閉鎖すべき理由(シリーズ第2回)
人の命に関わる問題であり、薬事法などの法律の問題もあるウェルクとは違って、プログラミングの技術情報については絶対に間違いがないレベルで厳密なチェックが行われるべきだみたいなところまでは思わないのですが、日常的にエンジニアに迷惑なレベルにまで達してしまうとさすがに思うところはありますよね。だからこそエンジニアの人達からの不満が噴出して炎上しているのだと思います。
侍エンジニア塾の炎上から考える、この問題の本質について
炎上の経緯説明で前置きが長くなりましたが、今回の侍エンジニア塾の炎上も含めて、これらの問題の本質に対する私なりの見解を最後に述べたいと思います。
今回、景品表示法違反、不適切な謝罪発表、SEO強すぎ問題など、問題の表面を切り取ると色々な問題が浮かび上がってきますが、私は今回の侍エンジニア塾炎上に関わらず、問題の本質はエンジニアやエンジニアを目指す人達を食い物にする人達の存在だと考えています。
日本は既に人口減少社会に突入しており、今のままだとあと50年くらいすると労働人口は今より3000万人くらいすくなくなってしまう可能性があると言われています。
そんな時代ではエンジニアが育つ環境が非常に重要なものとなり、本来であればエンジニアを育成するスクール事業は大変価値のある事業であるはずです。
そこに目を付けた悪質な業者が、利益のためにエンジニアを食い物にして搾取する構造がそこにはあります。私が普段から強く批判しているSESについても本質は同じです。エンジニアを食い物にするビジネスだからです。
もちろん真面目に取り組んでいる素晴らしいプログラミングスクールや、その他エンジニアの育成に取り組んでいらっしゃる尊敬すべき企業もたくさんあります。私たちはこれから、そのようなエンジニアの将来につながる事業を行っている企業を見極め、選抜していかねばなりません。
企業経営を継続するために利益を出すことは経営者の責任ですが、そこにだけ目がいき、物事の本質を見失ってしまった結果が、今回の意図的に利用者の判断を誤らせるともとれてしまうような「景品表示法違反」につながってしまったのではないでしょうか。
エンジニアを食い物にする構造が、SES問題であり、無責任にSESにエンジニアを供給するプログラミングスクールやエージェントと呼ばれる人達であり、金のためにエンジニアを目指す人達を食い物にして悪質なスクールに誘導するいい加減な記事を書くアフィカスであり、これらの問題の本質を考えていくと全部一か所につながるのです。
エンジニアを育成していくためもエンジニアのためのスクールは必要な存在です。ぜひ侍エンジニア塾には今回のことをきっかけとして体質を改善し、真にエンジニアの将来につながる事業を展開していただければと願っております。
※追伸:「侍エンジニア塾」で検索1位表示されるようになりました