「プライベートでは一切勉強したくない」と言っていた社員のこと


アクシアはシステム開発を事業としている会社であり、社員の多くはプログラマーです。プログラマーは技術職であり、一般論としては常に最新技術を学んでいかなければならないと言われています。

しかしアクシアにはかつて、プライベートでは一切勉強したくないという社員がいました(仮にAさんと呼ぶこととします)。プライベートで勉強することは貴重な人生の時間の無駄遣いであり、絶対に勉強はしたくはないとそのAさんは言っていました。

私自身はそういう人生を否定するつもりは全くありませんし、それも一つの立派な選択だと思います。要は自分にとって充実した人生を送ることができれば良いわけですから。

しかしながらエンジニアを雇用するシステム開発会社の経営者としては、色々と考えさせられることもありました。今日はそのあたりの想いについて書いてみたいと思います。

エンジニアとして「勉強をしない」という選択

アクシアでは基本的に社員のプライベートには一切干渉しません。よってプライベートでスキルアップしなさいとは言いません。勉強しようと遊ぼうと家族と過ごそうと自由です。当然ですね。

よって会社としてどうしても習得してもらわないと困るスキルが社員に不足している場合には、会社の業務時間を使って研修を行います。Aさんを採用したときにも、最初の数か月間はプログラミングの研修に時間を当てて、プログラミングを習得してもらいました。

エンジニアの社員がプライベートで一切勉強しなくとも、会社が業務時間中に研修を行えば良いわけで、これを社員にプライベートな時間を使って勉強してこいというのは傲慢です。会社が勉強しろと指示を出すのであればそれは業務時間であり、賃金が発生するわけです。

人生は人によって色々であり、価値観も様々です。勉強するだけが人生ではありませんし、人生の中で仕事だけが重要だというわけではありません。だから仕事のために一切勉強しないことは、選択肢としては全然「アリ」なわけです。そもそも勉強なんて本来人からやれと言われてやるものではありませんから。

エンジニアが一切勉強しなかった結果

エンジニアがプライベートで勉強するかしないかは完全に本人の自由です。会社がやれと強制することなどできません。

しかし技術職であるエンジニアがプライベートで一切勉強をしていないと、周りの勉強している同僚達との差がどんどん開いていくという現象が発生します。

Aさんももちろんその例外ではありませんでした。入社当初は会社でみっちり研修を受けられましたので、みるみるうちにプログラミングを習得していき、業務をこなして戦力になれるレベルまで成長することができました。

しかしその後に一切勉強しなくなった結果どうなったかというと、Aさんは周りのエンジニア達との成長スピードの差に悩むようになりました。後から入社してきた後輩にもあっという間に抜かれていってしまいます。

エンジニアは業務時間外でも勉強するべきなのか

以前にこんなブログを書いたことがあります。賛否両論あって盛大に燃えました。このエントリーに書いてある但し書き5つを引用します。

  1. 勉強しない人は勉強する人には勝てません
  2. 勉強しない人は勉強する人ほど給料は上がりません
  3. 勉強しない人は勉強する人ほど重要な仕事を任されません
  4. 業務時間で習得したスキルは10年後使えなくなるかもしれません
  5. 勉強しない人は転職が厳しくなるかもしれません

普通に考えて勉強しない人は勉強している人に勝てるわけがありません。勉強しなくても良いけど、その自分の選択の結果には責任を持ちましょうというだけのシンプルな話なのですが、これをどうしても受け入れたくない人も一定数存在するようです。

Aさんも伸び悩むというか、周りのエンジニア達にどんどん後れを取る状況に悩むようになり、ある日相談を受けました。どうしたらAさん自身も周りのエンジニアのように成長できるのかと。

そこで私は「成長したかったら勉強するしかないんじゃないか?」と普通のことを言いました。するとAさんは、絶対にプライベートで勉強はしたくない、プライベートで勉強することは人生の無駄遣いでしかないと反論してきました。

何度も言うように、プライベートで勉強しないことについて私は何の反論もありません。ただしその結果については自分で責任を持ってねというだけの話です。

Aさんの要求は、プライベートでは勉強したくない、でもプライベートで勉強している他のエンジニアと同じように成長したいということだったと思われますが、正直こんなこと私に一体どうしろというのか。

自分でテスト勉強は一切したくないけど、定期試験では100点取らせてほしいと言っているようなものです。

アクシアは残業ゼロのIT企業ですが、残業ゼロに魅力を感じて応募してきてくれる人もたくさんいて、その弊害なのかもしれません。

残業ゼロなのでプライベートな時間を自由に使っていただき、どのように過ごそうとも本人の自由ですが、どんな時間の使い方をしたとしてもそれは自己責任として受け止めなければならないことは当たり前のことです。Aさんにはそのことが理解できなかったようでした。

勉強しない人はエンジニアには向いていない

プライベートで勉強するもしないも本人の自由ですが、Aさんのようにプライベートで勉強したくないという人は、技術職であるエンジニアには向いていません。

上記でも書いた通り、会社の研修の有無に関わらず技術が好きな人はプライベートでも勝手にどんどん勉強していきます。時間と共に勉強する人としない人との差は開いていきますから、「勉強しない」という選択をするならば、時間と共に周りに後れを取ることを受け入れられる人でないと厳しいでしょう。

またどんな職種であっても、自分のキャリアをどうしていきたいのかについては考えることが望ましいです。

エンジニアとしてのキャリアを考えた時には、今後自分がどんなエンジニアになっていきたいのかを考えるわけで、それには今後どんなスキルを習得していくのかを考える必要もあります。そのためには常に最新技術をチェックすることは必要なことであり、エンジニアが常に勉強しなければならない一番の理由もここでしょう。

実際に仕事で学んだ技術を使うかどうかに関わらず、エンジニアが自身のキャリアを考えるためには最新技術の動向を学ぶことは必須になってきます。最新技術の動向すら知らないままに、エンジニアとしてのキャリアを描いていくことは不可能ですから。

くどいようですが、プライベートで勉強しないことが悪いと言っているのではなくて、エンジニアには向いていないだろうということを言っています。

別に最新技術を勉強しなくとも、業務時間中に真面目にコツコツ働いてくれることが求められる職種だって世の中にはたくさんあるはずです。勉強したくないのにわざわざ技術職であるエンジニアを仕事に選ばなくても良いのです。

エンジニアを雇用する企業としての責任

未経験の人でも、プライベートで勉強したくない人でも、採用して業務時間中に研修を行い、エンジニアにしてあげることはできます。しかしだからと言って安易に採用してはならないのだと、私はAさんの事例で反省して学びました。

採用して研修期間が終わってからもずっと1日8時間研修時間に費やすことは不可能です。しかし研修期間が終わった後も、普通のエンジニアならプライベートな時間を使って勝手にどんどん勉強していきます。

勉強する人としない人との差は時間が経てば経つほどに残酷なほど顕著になっていきます。その時に一番苦しむのは、プライベートでどうしても勉強したくないと言っている本人です。

組織の大多数がプライベートで勉強しない人で占められている場合にはそれでも成り立つかもしれませんね。自分がたいして成長できていなくても、同じように成長できない人達が周りにたくさんいるわけですから、それなら自分が成長できなくて悩む必要もありません。

でも周りのエンジニアの多くが技術が好きでプライベートで勝手にどんどん学んでいく人達で占められている場合には、勉強嫌いな人達は肩身の狭い思いをすることになってしまいます。

別に1日何時間も詰めて勉強しなくても、電車の中で1日30分勉強するだけでも全然違うわけですが、勉強が嫌いな人はこれだけのことでも心の底から嫌がります。完全に価値観の相違であり、エンジニアという仕事には向かないと言わざるを得ません。

エンジニアを雇用する企業としましては、研修すればエンジニアにしてやることができるからと言って、自分で勉強しない人を安易にエンジニアとして採用するべきではないと思います。

その後の本人のキャリアまで思いを巡らせ、自分で勉強しない人はエンジニアとして採用しないということも、エンジニアを雇用する企業としての責任だと考えます。