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先日質問箱にこんな質問をいただきました。

https://peing.net/q/0450607e-a87d-4223-9725-827ef3e4e317

確かに言いたいことはよくわかります。SES企業と言っても色々な企業があって、中にはちゃんと頑張っていて従業員想いのSES企業もあるのではないかと。

しかしSESにも良い企業があるのではないかという主張に対しては、私としては全力でNO!と言いたいと思います。SESはどこまでいってもただのSES。これが私の見解ですので、これについて詳しく書いてみたいと思います。

SES企業にも良い会社はあるの?

何をもって良い会社というのかは人によってとらえ方がそれぞれですが、SES企業の中にも色々な制度を整えたりして頑張ろうとしている企業があるのかないのかと言ったら、それはあると思います。

でもだからと言って「SES企業にも良い会社あるじゃん」とはならないというのが私の主張です。頑張っているから良い企業というわけではありません。

SES企業はどこまでいっても所詮はただのSES企業に過ぎない

従ってSES企業に良い会社など存在しないというのが私の見解ですので、まず最初にこの点についてははっきりと申し上げておきたいと思います。

エンジニア派遣事業をやりたいのであれば派遣会社になるべきだと思う

私がSES企業の存在を認めないのは、SESで行われていることは実質的には派遣事業であるにも関わらず、SES企業は派遣契約で事業を行っていないからです。

中には派遣免許をしっかりと取得して派遣契約で真面目にやっている会社もあると思いますが、そういう会社はSES企業とは呼びませんね。派遣免許を取得して派遣契約で事業をされている会社はSES企業ではなく派遣会社です。

派遣契約で仕事をしようとすると派遣法によって様々な制約が付いてきます。制約と言いましたがそれは派遣される労働者を守るために必要な適切な制約です。

SES企業の本質は何かというと、やっていることは実質派遣事業であるにも関わらず、契約形態は派遣契約以外(請負契約や準委任契約)で契約し、労働者派遣を行うのであれば本来守るべき派遣法を無視し、派遣事業者として負うべき責任を放棄した存在です。

別に難しいことを言っているわけではなく、労働者派遣を行いたいのであればそれを行うための派遣免許を適切に取得して、普通に派遣契約でやれよというだけの話です。

派遣事業を行っているのに派遣法で定められた義務も背負わずに、そんな状態でどんなに「頑張って会社の制度を整えています」「エンジニアのことを第一に考えてます」と寝言を言ったところで白けた雰囲気になってしまうのは当たり前のことでしょう。

SES企業が派遣会社になろうとしない理由

ではなぜSES企業が普通に派遣免許を取得して派遣会社になろうとしないかというと、それには当然理由があります。

派遣免許には2種類ありまして、特定派遣と一般派遣とがあります。特定派遣は申請するだけで簡単に取得できてしまいますので、特定派遣の資格のあるSES企業はたくさんあります。しかしもうすぐ特定派遣は廃止になることが決まっていますので特定派遣の話はここでは除外します。

一般派遣は特定派遣と違ってそれを取得するためには色々と条件が付いてきます。東京労働局のウェブサイトにリンクをはっておきます。

東京労働局のウェブサイト

ここにある条件の中で、資産の額から負債の額を差し引いた額が2,000万以上であることとか、自己名義の現金・預金が1,500万円以上であることとか、この辺の条件がネックになって一般派遣の資格を取得できないSES事業者はたくさんいます。

自分で起業して資金も経験も実力もたいしてなくてもお気軽に始められる事業としてSESは人気ですが(だからブラックだらけなのですが)、新規で起業した時に自己資金1,500万円って結構、というかかなりきついんですよね。

今は会社を作ること自体は誰でも簡単にできてしまいますし、資金もほとんどなくても会社を作ること自体はできてしまいます。だから資本金が1,000万に満たない株式会社も今はたくさん存在します。

そうやってお気軽に起業できることは悪いことではないのですが、労働者を派遣する事業者に対しては派遣労働者を保護するためにそれなりの資金力が求められているために上記のような要件が定められているのでしょう。

このように取得したくても簡単には一般労働者派遣の資格は取得できないというのが、SES企業が派遣会社になろうとしない(なれない)大きな理由の一つです。

派遣契約になるとSES事業者にとって不都合なことがある

仮に一般労働者派遣の資格を正しく取得できたとして、いざ派遣契約で仕事を取ってこようとするとSES企業にとって不都合なことが色々あります。

大きなところでは派遣契約だと多重派遣が一切できなくなることです。SESの世界では多重下請け構造が当たり前の状態となってしまっています。ひどい場合だと5次請け、6次請けなんてところも珍しくはありません。

しかし派遣法ではこのような多重派遣は厳しく禁止されています。途中で不当にマージンを抜こうとする中間搾取を防止するためですね。しかしSESは言ってみれば人を売って中間マージンを搾取するビジネスモデル(これをビジネスモデルとは言いたくないですが…)です。

多重派遣を禁止している派遣法とは真っ向から対立するのがSESというビジネスなわけですね。中間マージンを搾取することができなくなるとSES事業者にとっては死活問題となります。よってSES事業者は派遣契約を受け入れることができません。

SES事業者が請負で受託開発をやらない理由

では労働者を派遣する事業ではなく、システム開発の会社らしく請負で受託開発をやればいいじゃないか?という意見が当然のごとく出てきますが、それも簡単にはできません。

アクシアでも創業時にSESをやっていたことは他のブログ記事でも何度か書きましたが、客先常駐の仕事から普通の請負の受託開発に切り替えるためにはいくつか問題がありました。

まず第一に「仕事の取り方がわからない」という切実な問題があります。SESだと仕事探すのが簡単なんですよ。適当にネットで同業社探して電話しまくれば誰でも仕事は取れます。でも請負の受託開発だとそういうわけにはいきません。

請負開発だと適当に電話かけてるだけではとても仕事なんか受注できませんし、仮に商談の機会を得たとしても商談の進め方から見積もりのやり方まで全くわかりません。

普通にビジネスしている人達からすると、集客、商談、見積もりなんて当たり前のことのように思えるかもしれませんが、SES事業者はそうではないんですよ。そんなこと何も知らなくてもできてしまうのがSESというビジネスです。

次にのしかかってくる大きな問題はスキルの問題です。SESだと適当にエンジニアをどこかのプロジェクトに放り込むだけなので、スキルが適当でも何とかなるものですが、請負で受託開発をやるとなるとそういうわけにはいきません。

プログラミングはできるけど、サーバーの構築や運用はできないとか、ネットワークのことはよくわからないというエンジニアは結構たくさんいます。SESだとそれでも特に問題はありませんが、請負のシステム開発をやるとなるとそういったインフラ面等も含めて全て自分達で問題が起きないように対応する必要があります。

請負のシステム開発ではワンストップで全部自分達で対応できるだけのスキルが当然必要になってくるわけですが、SES事業者からすると本当に自分達だけでワンストップで開発できるか自信がなかったりするわけです。

最後に、請負のシステム開発を行う際に大きくのしかかってくる問題が「責任」の問題です。私も初めて請負でシステム開発の仕事を始めた時には正直自分達にのしかかってくる「責任」の重圧に押しつぶされそうになったものです。

SESだと人を送り込んでそれなりにやっておけばたとえプロジェクトが炎上したとしても会社のダメージとなることはありません。しかし請負契約のシステム開発プロジェクトで炎上などしようものなら、本当にあっという間に赤字プロジェクトとなってしまい、会社にとって甚大な被害となってしまいます。

実際に請負で持ち帰りの受託開発の仕事が目の前にあったとしても、そこにのしかかってくる責任の重圧に耐えられなくて断ってしまうSES会社も存在するのではないかと思います。逆に何も考えずに受注して炎上して愉快に踊っているSES会社も中にはあるかもしれませんが。

まとめ

SES企業がまともな派遣会社になることもせず、システム開発会社らしく請負の受託開発をやることもしないのには、以上述べてきた通りSES事業者としての事情はあると思います。ですがどんなにきれい事を述べたところで、

派遣事業をやるなら派遣免許を取得して派遣会社としてやれ

または、

システム開発会社を名乗るなら請負で受託開発の仕事をやれ

としか言いようがありません。これをやらずにどんなに良いこと言ったってそんなもの所詮は偽善であると言わざるを得ません。だから私はSES企業がどんなに良いことを言っていたところで白けてしまうのです。

SES専業会社の元首脳陣という方から潔すぎる力強いコメントをいただきましたので、最後にご紹介しておきます。w


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