お問い合わせ
お問い合わせ 03-5835-2820(平日 9:00〜18:00)
BLOG

日本のIT業界のために偽装請負は消滅するべきだと思う

目次
  1. 偽装請負は何の価値も生み出さない
  2. 偽装請負が横行している
  3. まともな労務管理が不可能
  4. 長時間労働になりやすい
  5. 構造的に生産性を下げる
  6. エンジニアをダメにする
  7. 日本のIT業界をダメにする

私は偽装請負が大嫌いです。心の底から、客先常駐を前提にした偽装請負はこの世から消滅してほしいと思っています。違法な偽装請負がこの世に存在する意義は何一つ無いと思っています。しかし単に嫌いだ、消えろと吠えていても、そこには感情の吐露しかなく説得力がありませんね。先に断っておくと、私が問題にしているのはSESや準委任といった契約形態そのものではなく、客先常駐を前提に派遣法を無視して行われる偽装請負・節度なきピンハネのことです。適法に行われる派遣や、指揮命令の問題が生じない働き方まで否定するものではありません。

だから普段から、なぜ客先常駐を前提にした偽装請負が良くないのかについて、ブログやSNSで頑張って情報発信しております。そして本日今一度、日本のIT業界のために偽装請負は消滅するべきだと思う理由をこのブログに整理して書き留めておきたいと思った次第であります。

その前に、まず最初にはっきりとさせておきたいと思いますが、

偽装請負を前提に成り立っている客先常駐の現場は、ほぼ例外なくブラックです。

これは断言しておきます。異論のある企業の経営幹部の方は私までご一報ください。でも質問箱のような匿名方式で異論を申し出るのではなく、異論・反論をいただく場合は企業名等を明示した上でのご連絡をお願いいたします。

では、日本のIT業界のために偽装請負は消滅するべきだと思う理由について、一つずつ述べたいと思います。

偽装請負は何の価値も生み出さない

客先常駐の偽装請負というものは、基本的にピンハネ屋です。ピンハネすることがその生業です。しかしピンハネという点においては派遣会社も同じですね。彼らもピンハネを生業としています。では偽装請負と派遣会社の何が違うのかと言うと、派遣会社は派遣法の元で派遣業を行っている点が全く違います

ピンハネという仕事はマージンとして利益を抜く行為ですから、節度をもって行わなければなりません。ではその節度とは何かと言えば、派遣法で定められている多重派遣の禁止だったり、マージン率の公開義務だったりします。

もちろん派遣会社の中にも派遣法を守っていない会社が存在するかもしれませんが、それはまた別の問題なのでここでは割愛します。

偽装請負を行う企業がやっていることは、派遣先で指揮命令を受ける実質的な派遣事業であるにも関わらず、この派遣法を完全無視して節度のないピンハネを展開しているというのが実態となります。

節度のないピンハネを展開すると最終的にどうなるのかというと、まるでネズミ講かマルチ商法のような構図になります。

多重下請構造

多重下請構造

これがIT業界でよくある多重下請構造です。矢印の流れがそのままお金の流れとなります。それに対していらすとやさんでお借りしたマルチ商法のイラストが下記となります。

そっくりですね。何がそっくりかと言えば、間に入ってマージンを搾取している人達は何も価値を生み出していないという点です。間に入っている人達が何も付加価値を生み出さないようになると、彼らのできる話は最終的に金の話だけとなります。

実際こうした偽装請負の世界の人達って最初の方は社会的意義とか色々と大義名分を語ったりもするのですが、最終的には金の話しかしなくなります。最近のこの界隈のトレンドがこれです。違法行為であることには一切触れず、マージン率が低いことを売りとする会社が目立ってきています。

彼らは自分達が何も付加価値を生み出していないから、我々はこれだけしかピンハネしていませんよ!と金の話をアピールするしかなくなってしまうんですよね。

偽装請負が横行している

客先常駐の世界では偽装請負という違法行為が横行しています。このブログを普段からご覧いただいている方はもうご存知かと思いますが、偽装請負とは労働者が派遣先で他社から指揮命令されるにも関わらず、契約形態が派遣契約ではなく、請負契約や準委任契約となっている状態のことを言います。

偽装請負というか、常駐先で指揮命令した方が効率的じゃんと主張する人も時々見受けられますが、そう思って客先で指揮命令が行われる状態で仕事を進めるなら、合法的に派遣契約でやれよというだけの話です。

でも彼らは派遣契約にはしませんね。多重派遣でピンハネできないとか、色々と不都合があるからです。

偽装請負が行われるようになると、本来自社にあるべき指揮命令の権限だけ客先に奪われますが、指揮命令権のある雇用者に位置づけられる者に本来義務付けられているはずの、労働者を守るための義務や責任は客先では負ってくれないという状態に陥ります。

客先で労働者に対して命令はできるけど、その責任は負わないという異常な事態になってしまいます。そうすると様々な弊害が発生してしまいますので、偽装請負で良いことなど一つもありません。

だからこそ偽装請負は違法行為として禁止されているわけですが、客先常駐の現場では当たり前のように他社の人間が指揮命令しながらプロジェクトが進んでいきます。

まともな労務管理が不可能

偽装請負の現場ではまともな労務管理が不可能です。なぜならば偽装請負によって指揮命令権が実質的に自社になくなってしまうからです。

客先常駐で仕事をしたことのあるエンジニアであれば誰でも経験したことがあるはずですが、こうした現場では有給を取得するだけでも自社だけではなく客先での許可が必要となります。自社から休んでいいよと言われても客先で休んではダメだと言われることは普通にあります。

また出勤や退勤に関しても自社ではない、他の会社の人間からあれこれ言われるようになります。他社の人間から残業しろと言われれば残業しなければいけなくなります。休日出勤しろと命じられれば休日出勤しなければいけなくなります。

客先で仕事しているエンジニアが体調不良に陥ったとしても、実質的に管理しているのが客先の他社の人間になりますので、普通なら自社で当然対処しうる対応も取ることができなくなってしまいます。

偽装請負だと自社の従業員の残業も休日出勤もコントロールできないので、働き方改革など不可能です。夢のまた夢となります。

長時間労働になりやすい

こうした客先常駐の現場では長時間労働に陥りやすくなります。理由はいくつかあります。

一つは偽装請負がその原因としてあります。自社の従業員が長時間労働化してくれば、普通の会社であればそれ以上残業が増えすぎないようにマネジメントすることもできます。しかしそこは偽装請負ですから、マネジメントしようにもそんなことはできません。

労務管理の法的責任の生じない客先の人間が常駐しているエンジニアの管理をしていますから、長時間労働に対する問題意識も低くなります。

もう一つの原因は、客先常駐でよくある契約のしかたにあります。よくあるパターンとして、「月160時間~200時間で単価80万」のように月の労働時間の幅が決められており、上下の時間をはみ出した時には時給の上下割で精算されるようになっています。

そうするとエンジニアを受け入れている側の会社としては、上限となる200時間いっぱいまで働かせたいという意識となってしまい、時間の上限までこき使おうという流れとなってしまうことがあります。

逆に祝日等が多くて普通に働いていたのでは下限の160時間に達しない場合には、エンジニアを送り込んでる側の会社がエンジニアに対して160時間を下回らないように労働時間を調整するように指示が出ることがあります。

そうすると必要ないのに無駄に残業したり、休日出勤したりという無駄なことが起きます。

また上限の200時間を超えた場合に、無駄にダラダラ働けば働くほど売上が増えてしまうので、仕事を効率的に進めようというモチベーションが奪われることもあります。中には意識の低いフリーランスとかだと「今月はこれくらい生活費を稼ぎたいから」とか言って、まさに生活残業をしているようなケースもあります。

逆にあまりにも業務効率化しすぎてしまうと下限時間を下回ってしまうので、関係各社から嫌な顔をされることすらあります。業務効率化しすぎて「これ以上はやめてくれ」と怒られるケースも本当にあります。

構造的に生産性を下げる

偽装請負を前提とした客先常駐は、その構造的に生産性を下げます。既に上で述べた長時間労働になりやすいという内容とも重なりますが、過剰な業務効率化は現場や関係各社から嫌われることがあります。契約時間の縛りのために無駄に残業や休日出勤を行わなければならないケースもあります。

長時間労働に陥りやすい構造となっているのでその時点で生産性は下がりますし、長時間労働化すると睡眠や休息が不足して集中力が低下し、ますます生産性は低下します。

またせっかく一つのプロジェクトをチームでこなして経験を積んでも、基本的にプロジェクトが終わるとチームが解散しますので、個人で得られる経験はあったとしても、組織的な経験値が積まれにくい構造となっています。

普通の開発会社であれば、一つプロジェクトの経験をするごとに新たな経験が積まれ、その経験は後々また別のプロジェクトで活かされるわけですが、こうした客先常駐のチームは寄せ集め部隊となるので、そのような組織的なノウハウの蓄積はほぼありません。

生産性を上げていくのであれば、業務効率化が歓迎され、組織としてのノウハウも積み上がっていくようになっている必要がありますが、こうした現場ではその両方ともありません。

エンジニアをダメにする

偽装請負はエンジニアをダメにします。エンジニアを喰い物にするような企業がたくさんあるからです。これは、偽装請負で違法な派遣事業を行うピンハネ屋の存在と深く関係しています。

こうした企業はピンハネするためにはエンジニアをどこかのプロジェクトに放り込む必要があります。そのためにはエンジニアのスキルに見合わないプロジェクトに強引に放り込むこともあります。

エンジニアのスキルに見合わないプロジェクトに放り込むために、経歴詐称を指示することも普通にあります。またとてもエンジニアとは言えないような雑用をやらせるプロジェクトに放り込むこともあります。

こうした企業はエンジニアをどこかのプロジェクトに放り込んで「ピンハネしてなんぼ」の世界なので、エンジニアの頭数も必要となります。そのため未経験でエンジニアになりたい人達に、「未経験でも大丈夫!」とか言いながら、甘い言葉で巧みにこうした世界に誘い込みます。

最近ではこうした企業やその関連企業が無料プログラミングスクールを運営し、未経験でエンジニアを目指す人達を囲い込み、無料でプログラミングを教える見返りとしてそうした企業への就職を義務付けるようなところもあります。

関連記事無料プログラミングスクールに要注意!無料と引き換えの危険な条件とは?

こうした世界は一度はまってしまうと、人によっては蟻地獄のように這い上がってこれないような場合もありますので、エンジニアを目指す方達には十分注意していただきたいものです。せっかく希望に胸を膨らませてエンジニアになったのに、喰い物にされて、絶望してこの業界を去っていく人も少なくありません。

日本のIT業界をダメにする

偽装請負は日本のIT業界をダメにします。IT業界は本来であれば日本全体の業務効率化を推進していけるポジションにいるはずなのに、偽装請負の現場では何も価値を生み出していませんし、偽装請負が横行し、まともな労務管理も行われず、長時間労働を誘発し、構造的に生産性を下げて、エンジニアをダメにしています。

IT業界がもっと業務効率化を推進して企業の生産性を高めていかねばならないのに、偽装請負はその真逆を行く存在です。偽装請負が世の中に蔓延しているうちは、IT業界の業務効率化など進むわけがないのです。

もちろん偽装請負と無縁の普通のIT企業が全て業務効率化されているかというとそんなことはありません。普通のシステム会社にも色々ありますので、業務効率化が進んで生産性が高い企業もあればそうでない企業もあるでしょう。

それでも普通のIT企業であれば、少なくとも業務効率化を推進し、生産性を高めていける可能性があります。企業の創意工夫によってそれができる環境には少なくともあります。

しかし偽装請負を前提とした客先常駐ではそれが無理なのです。どうやってもその構造的に業務が非効率化し、長時間労働は起きやすくなりますし生産性を下げてしまうのです。エンジニアの成長の芽もつんでしまうことが多くあります。

偽装請負は単に違法だからという理由だけではなく、これからの日本のIT業界のことを考えれば、それが存在していると業務効率化や生産性向上の邪魔になるだけで、IT業界の癌でしかありません。

日本のIT業界のために偽装請負は消滅するべきだと思います。

 

今の開発、これで本当に大丈夫ですか?

多重下請け・進まない開発・高い見積もり——第三者視点で無料診断します。

セカンドオピニオンを相談するセカンドオピニオンについて詳しく見る

ブログ一覧へ戻る

今の開発、これで本当に大丈夫ですか?

多重下請け・進まない開発・高い見積もり——第三者視点で無料診断します。