他業界からプログラマーを目指そうと考える人がそれなりに増えているようで、この人材不足のご時世においてIT業界にとっては非常にありがたい話であります。私は個人的にプログラマーという職業はやりがいのある素晴らしい職業だと思っているので、この業界を目指してくれる人が増えることは非常に嬉しい限りです。
最近はプログラマー未経験者の方を対象とした無料のプログラミングスクールというものも増えてきているようです。
無料プログラミングスクールに要注意!無料と引き換えの危険な条件とは?
こちらのブログでは、無料でプログラミングスクールに通える引き換え条件として、そのプログラミングスクールもしくはその関連会社や提携会社が指定する企業へ就職しなければならなくなるリスクを書きました。後になってから気づいてしまっても手遅れになってしまう場合もありますので、無料プログラミングスクールをご検討中の方は上記の記事もよくお読みいただければと思います。
少し冷静に考えてみればものすごく当たり前のことなのですが、プログラミングスキルを習得することも大事ですが、それよりも大事なことはプログラミングスキルを習得したその先で、どのような環境でどのような仕事をしていきたいのかを考えることの方がはるかに大切なことです。せっかくプログラミングを習得してもその先でブラック企業に放り込まれてしまっては本末転倒となってしまいます。
そう考えると就職先が縛られてしまう無料プログラミングスクールは非常にリスキーであり、決して安易にお勧めできるものではありません。自分の就職先の選択権は持っておくべきだというのが私の意見です。
そうはいっても自分一人では何をどうやって勉強すれば良いのかわからない、無料プログラミングスクールに通えば勉強の道筋もたててもらえるが、それを活用できないとなるとどうやって勉強していけば良いのかと思われる方も多いかもしれません。本日は「無料プログラミングスクール以外の方法で何をどうやって勉強していけば良いかわからない」という方へ向けて私の考えをまとめてみました。
何を勉強したら良いかわからない人はプログラマーを目指すのはまだ早い
プログラマーを目指す未経験者の方とこれまで何度も面接をしてきましたが、その時によく聞くのが「何を勉強したら良いかわからない」という悩みです。厳しいようですがこのような方はまだプログラマーを目指すには早いのではないかと思います。何を勉強したら良いかわからないと言っている時点で私なら不採用にします。
ITスキルと言ってもその範囲は1人ではとてもカバーしきれないほどに多種多様ですから、何を勉強すれば良いかわからないという気持ちもわからなくもありません。別に未経験者の方ではなく現役のエンジニアでもスキルアップのために何を勉強したら良いかわからないと言う人はたくさん存在します。
何をやれば良いかわからないという人は、プログラマーになることやプログラミングスキルを習得することが目的となってしまっているのではないでしょうか。大事なのはプログラミングスキルを習得したその先で「何をやりたいか」「どんな仕事をしたいのか」であって、プログラミングスキルの習得は目的ではなく手段でしかありません。
繰り返しますが「大事なのはどんなことをやりたいのか」です。何をやりたいのかが決まっていればそのために必要なプログラミング言語やその他スキルについても調べればすぐに明確になるはずです。自分に不足するスキル、勉強が必要なスキルが明確になります。そういうことがわからないということは、何をやりたいのかが明確になっていないからです。
スマホアプリを作りたいならそれに必要なプログラミング言語は明確になりますし、ウェブシステムを作りたいならWebで主流となっているプログラミング言語というものも存在します。人工知能がやりたいのであればこれもやはりポピュラーとなっているプログラミング言語はありますし、数学の知識も必要となることも調べればすぐにわかるはずです。
何をやれば良いかわからない人はただぼんやりと「プログラマーになりたい」と思っているだけなのです。そんな状態でプログラマーを目指して無料プログラミングスクールなんかに通ったりしたら、超絶ブラックなSES企業に打ち込まれて終了です。
何を勉強すれば良いかわからないという方は、まずはご自分がやりたいことや、どういう仕事をしていきたいのかを、一度立ち止まってじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。そういったことが明確になってきたら、そのために必要な習得スキルなどを十分に情報収集されてからその先のことを考えた方が良いと思います。
何をやりたいのか明確になっていないのに無料プログラミングスクールなんかに通ってもいいようにカモにされてしまうだけですよ。
やりたいことが明確になったら現役のプログラマーに相談してみる
やりたいことがある程度明確になってきたら、現役のプログラマーに相談してみることをお勧めします。やはり現役のプログラマーの方が現場の生の情報を知っていることが多いですし、闇雲に勉強するよりも現役のプログラマーにアドバイスをもらって大きく方向性を間違わないようにすると良いと思います。
この時に「知り合いにプログラマーなんかいない」という人もいるかもしれませんが、今の時代Twitter等で現役のプログラマーの人とコミュニケーションを取ることは容易にできます。アドバイスを求めたら喜んで応えてくれるプログラマーはたくさんいると思いますよ。
一方で無料プログラミングスクール等に過度にアドバイスを求めることはお勧めできません。無料プログラミングスクールはビジネスの一環としてスクール運営しているのであって、プログラマーになりたい人のためにボランティア活動をしているのではありません。しかも無料プログラミングスクールの運営母体はSES企業やその関連企業であることが多く、客先常駐を行っているSES企業に人材を送り込めるように全力で働きかけてくる可能性大です。
無料プログラミングスクールにアドバイスを求めても必ずしも中立的な意見を言ってもらえるとは限りませんので、やはり実際にこの業界で仕事をしている現役のプログラマーの人からアドバイスを求めた方が良いでしょう。
何も知らずに自分一人で勉強をしていると、別にプログラマーになるために取得しなくても良いような無駄な資格を取得するために膨大な勉強時間を費やしてしまったりすることもあるかもしれません。
また勉強の事以外に就職先に関することでも、この業界にはシステム開発の会社を名乗りながら実質はただの派遣企業(しかも偽装請負を行う違法企業)や、プログラミングなど一切行えないシステムエンジニアが集まった会社などいくらでもあります。そういう業界事情についてもよく情報収集しておく必要がありますから、現役のプログラマーに聞いてみることが一番確実な方法となります。
独学でプログラミングを勉強するスタンスはあった方がいい
きちんと調べた上でプログラミングスクールを利用しても良いのですが、プログラミングスキルを習得するにあたっては自分で独学するスタンスは持っていた方が良いと思います。はっきり言ってしまうと、独学でプログラミング習得することができないようであれば、おそらくその人はプログラマーには向いていないからです。
どんなに優秀なプログラマーであっても、この仕事を続けている限りは解決困難な課題に直面することは何度もあります。大きな技術的課題に直面した時に自分自身で乗り越えなければならない場面は必ずやってくるのです。
この業界は長時間残業が慢性化していることが多いですから、過酷な労働環境に耐えきれずにこの業界を去っていく人はたくさんいます。しかしプログラマーがこの業界を去る理由は過酷な労働環境だけが理由ではありません。大きな技術的課題に直面した時に、それをどうしても解決できずにそのプレッシャーに負けて挫折してしまい、心が折れてこの業界を後にする人も数多くいるように思います。技術的課題を乗り越えられずに挫折してしまうのは若いエンジニアに多いです。
以上の理由から、長くこの仕事を続けていくということを考えると、「解決困難な技術的課題に直面した時に自分で乗り越えられるかどうか」という点は、その人がエンジニアに向いているかどうかを判断する大きな要因だと私は考えています。せっかく優秀な素質がある人でも「できない」となった時にポキっと折れてしまうことは割とよくあることです。
プログラミングスクール等を活用することは良いのですが、あくまでも利用するというスタンスでいる必要があります。プログラミングスクールに頼りっきりになってしまい、それがないとプログラミング習得できないようであれば、その先でプログラマーになることができたとしても、長く続けていくことは難しいかもしれません。
まとめ
以上の内容を簡単にまとめると以下のようになります。
- 就職先の選択肢が狭まる無料プログラミングスクールには注意すること
- 何を勉強したら良いかわからない人がプログラマーを目指すのはまだ早い
- 大事なのはどんなことをやりたいかなので、まずはこれを明確にすること
- 知人やTwitterを通して現役のプログラマーにも相談してみること
- 独学でプログラミングを勉強していくスタンスは持っておくこと
プログラマーという職業は入る会社さえ間違わなければ、努力すればするだけ報われる職業でもあります。エンジニアを喰い物にしているようなひどい会社もたくさんあるのが現実ですが、未経験の方が目指すだけの価値は十分にある職業ですので、ぜひやり方を間違えることなくプログラマーを目指していただけたらと思います。