仕事や就職をする上で「学歴は必要なのか」というテーマについては、度々議論になることがありますね。私としては仕事で成果をあげることが重要なのであって、それができるのであれば学歴なんてあってもなくてもどっちでも良いのでは?としか思わないわけですけども、一般論として学歴ってどうなの?ということについて少し考えてみました。
このブログ記事を書いた時に、「別にエンジニアに限った話じゃないだろ」というご指摘を多数いただきましたが、それはその通りだと思いますけども、私の会社はシステム開発を行っている会社でして、何か考える時も自分の会社や業界を想定して物事を考えたり、発信するメッセージも同じ業界の人へ向けたことを想定していることが多いです。
ですので今回の内容も別にエンジニアに限った話ではないというお話もあるかもしれませんが、記事のタイトルには「エンジニア」という言葉を入れさせていただきました。
学歴が必要かどうかは雇用側次第としか言えない
就職するにあたっては求職者側は雇用主の求める人材であれば採用、そうでなければ不採用という結果となります。求職者側の想いがどうであれ、雇う側が「学歴は必要」として応募条件として一定の学歴を求めているのであれば、それに従うより他はないでしょう。
自分が希望する業界や会社が決まっていて、もしそこで学歴が求められているのであれば、そこの会社で働くためには必要な学歴を準備するしかありません。
逆に自分が就職したい会社が「学歴不問」である場合は学歴などなくて問題ありませんが、学歴も就職するための武器の一つであることには違いありませんから、もし学歴がない場合にはそれに代わる何かしらのスキルや経験などがある方が望ましいことは言うまでもありません。
いずれの場合でもまずは”雇用側が何を求めているのか”が何よりも重要であると言えると思います。
学歴は無いよりはあった方が就職に有利なのは事実
最近はそこまで学歴編重ということは少ないと思われますが、それでも就職ということを考えた時には学歴は無いよりはあった方が良いようです。(だから学歴を作るべきだとは思いませんが)
採用に学歴は関係ありますか?|採用担当者のホンネ調査 採用の常識・非常識|転職コンシェルジュのワークポート
これを見ると62%の採用担当者は学歴不要と言っていますが、34%は学歴を何らかの形で判断基準にすることはあると回答しているようです。
これはアクシアくらいの会社規模でとてつもない数の求人応募が押し寄せてくるということでもなければ、応募のあった全ての人の履歴書や経歴書を隅から隅まで目を通すことも可能ですが、大企業で膨大な数の求人応募があるという会社の場合にはそういうわけにもいかなくなると思います。
そうすると採用業務の効率化のために、ある程度は学歴でふるいにかけるということも十分に理解できることです。たとえ人物重視の採用方針であったとしても、一人で対応できる採用面接の回数も書類審査の頻度も限度がありますから、大企業のように応募数の多い企業であるほど、採用の土俵にのるためには学歴が必要になるかもしれません。
分野によってはエンジニアも学歴重視の傾向が強まるかもしれない
エンジニアと一言で言っても、実際に行う業務内容は多岐にわたります。現在のエンジニアの仕事のほとんどは、プログラミング技術やコミュニケーション能力を身につければこなせることがほとんどですが、一部の専門領域においては必ずしもプログラミングスキルだけでは対応できないこともあります。
例えばAIに関しては、プログラミング的な技術力以外にも数学的な知識が求められる場合があります。
私などのように高校時代には睡眠学習に明け暮れていたような人間にとっては「微分積分って何?おいしいの?」というレベルですので、そのレベルからAIの開発に携わるというのはかなり難易度は高くなります。
もちろんそういう状態であっても後から数学的な知識を習得するということは可能ですし、必要な知識を習得さえしてしまえば学歴などなくても何の問題もないわけですが、スタートラインの時点である程度の基本的な数学知識を持っていた方が望ましいケースなどでは、学歴を応募条件に付けることは採用業務の効率化を考えれば自然のことだと考えられます。
当たり前だけど学歴があっても仕事ができるとは限らない
高学歴の人の場合は一定の受験競争を勝ち抜いてきたという指標にはなりますので、例えば勉強することに対してアレルギーがない可能性が高いと考えることができます。よって社会人となった後にも自分のスキルアップに取り組むことができる可能性が高いと考えることはできると思います。
しかしながら、当然のことですが仕事で成果をあげるためにはコミュニケーション能力やマネージメント能力など、必要な要素が他にもたくさんありますから、学歴がある人が必ずしも仕事ができる人とは限りません。逆に学歴などなくても仕事ができる人だっていくらでもいます。
そういう意味では学歴は参考値程度で、無いよりはあった方が良いくらいのものだと考えることができます。
これは資格についても同じことが言えると思います。ITの資格で難関と言われるような資格を取っていたからといって、必ずしもその資格に関する仕事ができる人だとは限りません。実務経験が全くなくても資格そのものは取得することは十分可能です。実際に資格は持っていてもその分野に関する実務経験は全くなくて仕事はできない人はいます。
免許となるとそれがないとその仕事ができなくなってしまいますが、資格は持っていたからといって必ずしも仕事ができるとは限りません。学歴も同じことが言えると思います。
就職後は学歴はほとんど何の役にも立たない
就職する時には学歴はいくらか有利になることは実際にあると思います。ただし就職してしまってからは重要となるのはその仕事に対してどれだけ成果をあげられるかということになります。
ただし一部の業界や会社では”学閥”という非常にくだらないものがあり、特定の大学を出ていないと出世できないとか学歴が物を言う場合もあるようですが、幸いエンジニアの世界に限って言えば今のところそういう話を私は聞いたことがありません。
仕事を進めていく上では学歴はほとんど何の役にも立たないと言っていいでしょう。
海外では学歴がないとエンジニアになれない国もあるらしい
日本でも相変わらず採用時に学歴が見られるケースというのは多々あると思いますが、専門の学部を出ていないとエンジニアへの道が閉ざされるということはありません。しかし世界には学歴がないとエンジニアになることができない国というのは実際に存在するようです。
一昔前であればともかく、今はgithub等でその人が書いたソースコードを簡単に確認できる時代ですから、学歴で判断しなくともその人の技術力を推し量ることは十分にできるはずです。私も実際に業界業務未経験の人が趣味で書いたソースコードがgithubに公開されているものを見て採用したケースもあります。
国ごとの文化や習慣というものがありますから一概には言えないところはありますが、githubのソースコードすら読まずに学歴で採用判断するというのは私からしたら非常にもったいないことだと感じます。
少なくとも実際に公開されたソースコードからその人の技術力を判断することなく学歴から判断するということは、技術ではなく経歴を重視する社会だということだと思います。
日本には客先常駐のプロジェクトに未経験の人を未経験のままぶち込んで放置するというような別の問題はありますが、学歴がなくても技術力があれば道は開かれるという点においては素晴らしい環境にあると思います。
学歴作るよりも使える技術を身につけることがお勧め
もし未経験の人でエンジニアになりたいと考えている人がいる場合には、新しく学歴を作るよりも使える技術を身につけることをお勧めしたいと思います。
自分で勉強して実際にプログラミングを行い、書いたソースコードはgithubに公開しておけば、求人応募の際に採用担当者に読んでもらえるチャンスがあります。(ただし人売り企業相手の場合は無駄ですが)
やりたい人はやっても構いませんが、改めて何年も時間をかけて専門の学校に通って学歴を作るよりも、実際に自分でソースコードを書いて技術力を磨き、それをgithubに公開して求人応募の際にも活用することをお勧めしたいと思います。
アクシアの場合だと応募してくる人の中でgithubにソースコードを公開している人の割合は1割程度といったところですから(業界未経験の人もいますよ)、今だとそれをやるだけでも一歩も二歩もリードできる可能性があると思います。
エンジニアの学歴と年収の関係は?
こんなデータがありました。
これを見る限りだと多少は年収に差があるようですがほとんど誤差のレベルのようです。学歴があれば大きく年収に差が開くようであれば学歴は有用ということになりますが、必ずしもそうとは言えなそうですね。
今既に社会人の人がキャリアチェンジしてエンジニアになろうとした際に、わざわざ専門の学部に通い直す必要はなさそうです。
結局のところは仕事についてから重要となるのは「仕事ができること」であるわけですし、大学などで「仕事ができること」に必要な要素全てを教えてくれるわけではありません。
長い目で見た時に自分にとって必要なものが何であるのかをよく考えた上で自分のキャリアを考えていくと良いと思います。