ブラック企業が昨今では色々と問題となって話題となることがますます多くなってきました。ブラック企業というものはおそらくずっと前から世の中には存在していて、最近になってようやくそういったブラック企業が問題として認識されるようになってきたのだと思われます。
ブラック企業に多くのエンジニアが苦しめられている状況ですが、私としても少しでもエンジニアがそうした苦しみから開放されることを願って下記の記事を書きました。
この記事の中で私はブラック企業を求人情報から見分けることは難しいと書きました。なぜなら求人サイトの会社は企業から広告費用を支払ってもらっているからです。お金をもらっている相手の企業のブラックな一面を赤裸々に書いてしまうのはさすがに気が引けますよね。
実際アクシアのブラック企業時代にも都合の悪いことは一切書かれたことはありません。「残業ってどれくらいですか?」「毎日のように終電までやってますね・・・」「あ、そうですか。では話題変えますね」インタビューもこんな感じで進んでいきます。
でも待てよ?求職者が求人サイトでブラックな求人情報をつかまされるのが当たり前の状況ってそもそもおかしくないか?
私の中でふと湧き上がってきた疑問です。求人サイトが金儲けのためにブラック企業の情報を当たり前のようにサイトに掲載しているのはおかしいのではないか?いやでも私が勝手にそう思っているだけで本当は求人サイトの会社もしっかりとブラック企業対策をしているのかもしれない。本当のことは誰にもわからない・・・。
わからないなら求人サイトの会社に思い切って聞いてしまおう
そう考えた私は、その時ちょうどとあるIT系求人サイトの営業で問い合わせされてきた会社さんにぶっちゃけた話を聞いてみることにしました。どうせ求人を掲載させてもらうならブラック企業対策もしっかりされているクリーンな求人サイトに載せてもらいたいですからね。
以下、私が求人サイトの会社の人にぶつけてみた素朴な疑問と、それに対する求人サイト側からの回答をご紹介します。
質問1:ぶっちゃけ固定残業代の表記についてはどのようになっていますか?
固定残業代の表記に関しては企業様の自主判断となっておりまして、特に規定は設けておりません。
固定残業代の表記に関しては法律で義務付けた方が良いのではないかという議論を度々見かけることがありますが、やはり求人サイト側で固定残業代の表記が必須というふうにはなっていないようです。
これは求職者にとってはかなり厳しいですよね。実際にサイトで初任給や参考給与が記載されていても、そこに固定残業代が含まれているかどうかは判別することが不可能ということですからね。
当たり前のことですが働く人にとっては給料というのは非常に重要なものとなります。そこの情報に誤解がないように記載するというのはとても大事なことだと思うんですよね。
固定残業代が「あり」か「なし」か。それだけ記載してもらうだけで全然違ってくると思いますし、ここの部分の情報を載せるために膨大な労力が費やされるということもありませんよね。
というよりも固定残業代は除外した金額を給与額として提示することを当たり前としないといけないのではないでしょうか?「基本給○○万円+固定残業代○○万円」のような記載のされ方であれば誰も誤解を受けることはないですよね。
今の固定残業代の表記のされ方(というよりも表記されていない)だと求職者を騙していると言われても致し方ないでしょう。
ここは求人サイトにはぜひとも掲載義務化くらいの対応を期待したいところです。
質問2:ぶっちゃけ裁量労働制のプログラマ職種の求人掲載はされていますか?
裁量労働制のプログラマ職種の求人は掲載しております。
これはちょっと問題アリなんじゃないですかね。厚生労働省のホームページにも裁量労働制の職種にはプログラムの設計又は作成を行うプログラマーは含まれないと記載があります。
厚生労働省が違うよと言っているものを掲載してしまうのは求人媒体の会社としては問題あるのではないでしょうか。
長時間労働が社会問題とされることが非常に多くなってきておりますが、IT業界においても残業代を払わないために裁量労働制が適用されている事例はたくさんあると思われます。裁量労働制そのものが悪という訳ではありませんが、問題となることが非常に多い制度ですのでこのあたりのチェックは慎重に行われる必要があるのではないでしょうか。
質問3:ぶっちゃけ常駐開発を行っているIT企業の掲載はされていますか?
常駐開発を行っているIT企業は掲載しております。
まあこの回答自体に特に問題はありませんが、IT業界の常駐開発では偽装請負の問題がどうしてもついてきます。
偽装請負は違法行為であり、この業界のエンジニアを苦しめている元凶の一つと言えます。システム開発会社が常駐開発を行っている場合、それが偽装請負ではないことの誓約を取るくらいのことは、求人サイトの会社に期待したいところです。
求人サイトの掲載基準はもっと厳しくした方が良いのではないか
こんなことばかり書いていたらどこの求人サイトもアクシアの求人掲載拒否にならないか心配ですが書きますね。w
これではブラック求人に騙される人が出てきても当たり前。
だってほとんど何もチェックしてない!
結論としては求人サイトへの掲載基準は現状ゆるすぎるのではないかと思います。生活する人にとってはその生活の糧となる収入を得るための仕事は非常に重要なものとなります。その求人情報を求職者に提供している会社としての社会的意義を自覚し、明らかにブラック企業である場合には掲載しないなどの対応がもう少しあっても良いのではないかと感じます。
他の求人サイトの掲載内容を見ていても、今回質問をさせていただいた求人サイト会社さん以外でも同じような基準で掲載していることが多いと思われます。今回質問をさせていただいた求人サイト会社側から納得のいく回答がいただけていた場合には、その会社の求人サイトをオススメとして名前を出してリンクを貼ろうかと思っていましたがちょっとこれだと厳しいですね。
求人サイト運営会社に掲載基準を法律でしばっても良いのではないか
求人サイト運営会社ではない会社の人間として好き勝手なこと言わせてもらっていますが、会社経営する立場としては広告料支払ってもらっている相手の悪い情報を書きにくいという心情は十分に理解もできます。理想と現実というものは常について回ります。
そこで一つの案としては、求人サイトを運営する会社に対してその掲載基準について、法律でしばってしまうというのも一つの手ではないかと思いました。法律でしばってしまえばコンプライアンスを盾にしてクライアントに要求しやすくなりますからね。
労働基準監督署の人材不足が最近よくニュースになるようになりました。
電通の新入社員自殺で波紋 企業を監督する労基署「人手不足」の現実
ブラック企業を取り締まるために労基署の人にもっと頑張れよっていう声は理解できますが、物理的に人手が足りてないのだから仕方ないですよね。
ブラック企業を撲滅させるために労基署の人が頑張れれば良いのですが、もっと効率的にブラック企業を撲滅させる方法があると思います。それは、
ブラック企業に人を採用させないこと。
ブラック企業は次々に人が辞めていっては、次々に新しい人を採用していきますから、ブラック企業への人材の供給を止めることはブラック企業の息の根を止める有効な手段になりうると思います。
そのためにはどこか1社だけブラック企業の掲載を拒否しても意味ありませんから、法律で掲載基準をある程度厳しくすることでブラック企業が人材を採用する手段を絶ってしまうと良いと思います。これなら労働基準監督官が人手不足でも大丈夫ですね。ブラック企業が人材を採用できなくなって少なくなっていけば労働基準監督官の人手も少なくて済むようになります。
送検された企業名を厚生労働省のホームページに掲載するなど、様々なブラック企業対策がとられていると思いますが、求人媒体に掲載基準に関する規制をかけて(なんなら罰則付きで)、ブラック企業に人材が流れないようにすることは、有効なブラック企業対策として十分に成り立つのではないでしょうか。
ブラック企業は次々に人材を採用して食いつぶしていきます。求人媒体を運営している企業は、人材を食いつぶすブラック企業への人材供給をストップさせるという兵糧攻めが可能なポジションにいると思います。
ブラック企業が中々息絶えずに存続し続けているのには、ブラック求人でも簡単に掲載されてしまう求人媒体にも問題があるのではないでしょうか。
なお質問させていただいた求人サイトの会社には、求職者が判断を誤るような情報の掲載が是正されたらサイトを利用させていただきたいのでその時またご連絡くださいと伝えました。
固定残業代が含まれる場合はそれを明記すること、裁量労働制のプログラマー求人は掲載しないこと、ソフトウエア会社の常駐開発については掲載しないのが手っ取り早いと思いますがそれはさすがにちょっと難しいかなとも思いましたので、「常駐開発一切なし」の会社が検索できるようにすることを提案させていただきました。
もし今回の求人サイトがこの通りに改善されたら、エンジニアにとっての超オススメ求人サイトとしてご紹介したいと思います。