最終更新日:2026年6月12日
私が面接したわけではないのですが昨日面接に来られた就職活動中の大学4年制の方が、内定をもらった大手SI企業から「うちではプログラムのスキルが身につくような仕事はない」とはっきり言われてしまったそうです。w
企業名を聞くと誰でも名前を聞いたことあるような大手の有名企業です。その就活生の方はスキルを身につけていきたいとのことでその会社の内定は辞退されるそうですが、「システムエンジニア」の仕事ができると思って応募したのに、入社してみたら全然技術的な仕事に携わることができなかったという人の話はよく聞きますよね。
その方の場合は入社前にミスマッチがわかったことは幸いだったと思いますし、自分とこの会社ではプログラムのスキルが身につくような仕事はないとはっきり答えた正直過ぎる人事担当の方はある意味非常に誠実だったと思います。w
他の業界から転職されてくる方や、まだ社会に出ていない学生の方にはこの業界の「エンジニア」と呼ばれている仕事の実態が全然わからないと思いますし、一言でエンジニアと言っても会社によって仕事の内容はまるで変わってきます。
システムエンジニアという言葉の意味が広すぎることは問題だと思いますが、ここではアクシアが仕事としているソフトウエアのエンジニアの仕事の実態を、会社の種類ごとに解説したいと思います。会社選びの際の参考にしていただけたらと思います。
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エンドユーザーとなる顧客から、直接開発の仕事を受注することが多いです。多重下請け構造の頂点に君臨している企業です。
システム開発の仕事というのはざっくり言うと、要件定義→設計→プログラミング→試験のように進んでいくわけですが、主に要件定義や設計を担当することが多いです。設計についてはあまりプログラムに深く関わる詳細設計等と呼ばれるような設計は担当せずに、やるとしても基本設計と呼ばれるようなプログラムには深く関わらない部分の設計を行いうことが多いです。
要件定義や設計以外には、プロジェクトメンバーの進捗管理を行ったり下請け会社の管理を行ったりします。中には要件定義や設計などのシステム開発に関わる仕事は一切やらず、進捗管理や下請け会社の管理だけやっているような人も結構いますが、こういう人もエンジニアと呼ばれていたりします。w
こういう仕事をやりたくてこういう会社に就職するのであれば問題ありませんが、プログラミングに関わる仕事をやりたいと思っている人はこういう会社に就職してしまうとこんなはずじゃなかったと後悔すると思います。
もちろん大手SI企業には優秀なエンジニアやプロジェクトマネージャーも多く、上流工程やマネジメントで大きな価値を出している人もたくさんいます。ただ、プログラミングのスキルを磨きたいと思っている人がこういう環境に入ると、気をつけていないと技術的に身につくのはExcelの使い方くらい…という状態になってしまう人もいます。自分がどんなキャリアを積みたいのかを意識して会社を選ぶことが大切です。
多重下請けの下請け企業
IT業界は多重下請け構造になっていまして、5次請けや6次請けのようになることも珍しくはありません。
関連記事IT業界の多重下請け構造とは何なのか下請構造のどこに位置するかは企業によってもプロジェクトによってもまちまちです。各社少しでもピラミッド構造の上の方に行こうとしのぎを削っていますが、結局はお互いに持ちつ持たれつの関係です。こうした会社は自社のエンジニア及びよその会社からかき集めてきたエンジニアをどこかのプロジェクトに送りこむことを事業としており、偽装請負という違法行為の温床となっています。
こういう会社の場合だとどんな仕事ができるかは送り込まれるプロジェクトによってまちまちです。運良く良質な案件に巡り会えることもあるかもしれませんが、何のプラスにもならないゴミプロジェクトに送り込まれることもあります。
経験できる仕事についてもまちまちです。場合によっては要件定義や設計のような上流工程に携われることもありますが、そういう機会は比較的少ないと思います。中心となるのは設計、プログラミング、テスト等になることが多いですが、テストだけしかやらせてもらえないというケースもありえます。
また会社の都合で自分のスキルとは無関係のプロジェクトに放り込まれることもあります。自分の習得しているプログラミング言語は全く使わず、経験したことのない技術だらけの現場なんてことも場合によってはあると思います。
経験できる内容は運次第というところですが、こうした多重下請け・客先常駐の構造は偽装請負を生みやすく、エンジニアが不利益を被りやすいため、私は積極的にはお勧めできません。とはいえ、この記事を最初に書いた当時と比べると、リモートワークの普及などもあって多重下請けや客先常駐をめぐる状況はずいぶん改善してきました。同じ客先常駐でも、偽装請負にならないよう配慮しながら事業を行う会社も増えています。それでも構造的なリスクは残るので、会社選びの際にはこの点をよく見極めてほしいと思います。
普通のシステム開発会社
何をもって普通というのかというかは難しいのですが、多重下請けなどではなく、また客先常駐開発なども行わずに、お客様から発注してもらったシステムを自社の従業員で普通に開発を行う会社です。アクシアはここに属します。
私がこの業界に入る前はシステム開発会社というものはみんなこういうスタイルで仕事をすると正直思っていました。でも実際にはほとんどすべての会社は客先常駐をやっていて多重下請け構造のピラミッドの中に属して仕事をしているというのが実情です。
客先常駐開発による多重下請け構造は、顧客にもエンジニアにも何のメリットもなく、中間搾取するような会社が儲けることと、元請けのSI企業の人員調整のための仕組みとしか思えません。
エンジニアの方が転職する際に客先常駐をやっていないシステム開発会社を見つけるのはかなり苦戦してしまうくらいに、普通のシステム開発会社の数が少ないのですが、わたくし個人としましてはこの業界にこういう会社が増えていくことを願っています。
社内エンジニア
アクシアのように顧客からシステム開発の仕事を受注してそれを事業としているのではなく、自社内のシステムの開発を行うスタイルです。大きく分けると社内の基幹システム系の開発や保守メンテナンスを行うタイプと、自社製品の開発を行うタイプとがあります。
このタイプの会社の場合だと、自分にあった良い会社に巡り会えた場合は幸せなエンジニアライフを送れるかもしれません。ただし自分にあった良い会社であるかどうかの判断は難しく、注意しなければならないポイントもあります。
社内エンジニアの場合だと顧客のシステムを開発するわけではないので、ずっと自社のシステムだけを担当することになります。そのため様々なシステムの開発を経験できる可能性は低く、ずっと同じシステムの開発を続けていく可能性が高くなります。エンジニアとして色々な開発を経験してスキルを積んでいきたい場合は向かないかもしれません。
またIT部門、開発部門が間接部門として扱われ、用が済んだら容赦なく切り捨てられる場合があります。私の知り合いは新しく社内システムの開発が必要になった会社に入社し、開発が終わって1ヶ月後に突然クビを宣告されてしまいました。
開発を行うエンジニアが事業の主力となるわけではないため、会社によってエンジニアに対する理解度や扱いは様々だと思います。理解のある会社だと良いですが、間接部門ということもあって「あいつらは俺らが稼いできたカネで食っている」などと言われて肩身の狭い思いをする人もいます。社長が営業畑出身だったりすると、中にはエンジニアを下に見るような人もいますのでその場合やはり肩身の狭い思いをします。
そして社内エンジニアと言っても実際の開発は外部の会社に丸投げというケースもあります。上で述べた「大手SI企業」の役割が社内のIT部門に置き換わっただけの状態です。そうするとその会社のIT部門の仕事は、社内からの要件を取りまとめることだったり、外注管理だったり、スケジュール管理だったりということになりますので、プログラミングに携わる仕事ではないということにもなりかねません。
【2026年追記】AI時代にエンジニアの仕事の実態はどう変わるか
この記事を最初に書いてから時間が経ち、生成AIの登場でエンジニアの仕事は大きく変わりつつあります。コードを書くこと自体はAIがかなりの部分を担えるようになり、「言われた通りに実装するだけ」「テスト工程だけを延々とやる」といった働き方の価値は、これから相対的に下がっていくと考えています。
逆に価値が上がるのは、顧客の課題を理解して要件を定義する力、全体を見て設計する力、そしてAIを道具として使いこなしながら最終的な品質に責任を持つ力です。これらは上流からシステム開発の全体に関わって初めて身につくものです。だからこそ「どの会社でどんな経験を積むか」は、AI時代にはむしろこれまで以上に重要になります。多重下請けの末端で指示された作業だけ、客先で言われたことだけをこなす環境では、AIに代替されにくい力を伸ばすのが難しくなっていくでしょう。
アクシアのように、エンドユーザーに近い場所で要件定義から開発・保守まで一貫して関わり、AIも積極的に活用していく働き方は、この時代においてエンジニアが力を伸ばすうえで有利だと考えています。会社選びの際は、この記事で挙げた会社の種類に加えて「AIを前提にどんな経験が積めるか」という視点も持っておくとよいと思います。
まとめ
学生時代に就職活動していた時、色んな会社の話を聞いて業界の情報を集めて回りましたが、IT業界の多重下請け構造の話をしてくれた会社は一社もありませんでした。「エンジニア募集」の求人で技術に携われない仕事があるなんて想像すらしませんでした。ミスマッチを防ぐためにもこういう情報はもっと情報発信していかなければならないと感じています。
システムエンジニアという職種のカバー範囲が広すぎるために、技術力なんか何もないのにエンジニアと呼ばれる人まで出てきてしまうわけですけども、システムエンジニアとは何かと言ったら「システム開発という仕事に携わる人」ということになるんでしょうね。システム開発と言ってもプログラミング以外にも要件定義からテストまで色んな工程がありますし、どの工程に携わるかによって、やっている仕事は全く別のものになります。
エンジニア募集という求人を見て単純に飛びつくのではなく、その会社では実際にどのような工程を担当することが多く、どのような経験を積むことができる会社であるかをしっかり見極めることが大切だと思います。