アクシアが設立したのが2006年の2月16日。今からちょうど15年前のことです。今日は15年を振り返って思うことをそのまま書いてみようと思います。よって今日のブログは乱文です。私の心情をそのまま綴っただけのものなのでこの記事に情報としての価値はないと思います。お読みいただける方はその点ご了承いただければ幸いです。

15年前の自分を振り返ると、一言でいえば「未熟だった」ということに尽きます。幸いにもプロジェクトの現場からエンジニアとしての評価はしていただいていたので妙な自信に満ち溢れていましたが、当時経営者としての経験はゼロ。経営に関する書籍は色々読みあさっていましたが、当たり前ですが経営は座学だけで学べることは限られています。当時の私は経営者としてはあまりにも未熟でした。

経営者として未熟だっただけではなく、社会人としての経験もサラリーマン経験が2年弱、その後フリーランスとしての経験が1年程度しかありませんでしたので、社会人としてもかなり未熟な人間だったと思います。

あんなに未熟なまま勢いだけで起業したことが良かったのか悪かったのかは今でもわかりません。未熟だけど起業して経験を積んだからこの15年で色々学ぶことができた側面はあります。ただ経営者としてあまりにも未熟だったため、色々な人に多大な迷惑もかけてきたことも事実です。

また、未熟なまま起業して15年間試行錯誤してきたやり方よりも、もしかしたらもう少し社会人経験をきちんと積んだ後に起業した方が、遠回りせずに今の地点までたどり着けていたかもしれないと思う時もあります。どちらが正しかったのかは今でも判断するのは難しいです。これから起業しようとしている人達に向けては、「できるだけ若いうちに起業した方がいいけど、できるだけ社会人経験を積んでから起業した方がいいよ」という矛盾したことしか言えません。

私が起業を初めて意識したのは20歳の時でしたが、若くして起業することを意識するようになったのはサイバーエージェントの藤田社長のことを知ってからです。何となくエントリーしたサイバーエージェントの会社説明会で登場した藤田社長の当時の年齢は28歳。これだけ若くてもこんなに大きな成果を出せる人がいることに感動し、大きな刺激を受けました。

今はだいぶ時代が変わりましたが、若い頃の藤田社長は週に110時間働くことを自分に課していたそうです。週に110時間働くということは、1日に15時間43分を休日なしで働くことを意味します。平均して1日に16時間近く働くということは、寝る時間以外はすべての時間を仕事に費やすことを意味します。

今の時代にこんなことを公言したらすぐにブラックだと叩かれてしまいますが、ここには真実も間違いなく含まれています。何かを成し遂げたいと思ったら、自分の時間をできる限り集中的に投下する必要があるということです。結局のところこれができる人が何事においても成功を手にすることができるということです。世の中がブラック企業だホワイト企業だと色々叫んだところで、決して変えることのできない真実がここにはあります。

ただし若かりし頃の私は「成果を手にするためには時間が必要」という真実に対して、いくつかの勘違いもしていました。

その一つは、いくら時間が必要と言っても自らの健康を害するようなやり方は間違っているということです。特に睡眠時間。睡眠時間だけは絶対に削ってはいけない不可侵なものです。成果を出すためには時間が必要だというのは真実ですが、成果とは時間だけで決まるものではありません。成果=時間×効率です。効率の悪いやり方をしていては、いくら時間をかけたところで成功を手にするまでの道のりは遠のいてしまいます。

成功するためにはできる限り時間を投下しなければいけないけど、睡眠時間を削ってまで時間を投下するやり方は、効率を著しく低下させてしまいます。だから睡眠時間だけは絶対に削ってはいけません。また時間を集中投下させることは重要ですが、大事なことは短期的ではなく長期的に見てたくさんの時間を投下していくことです。長く続けられないのであれば一時的に時間を投下しても意味がありません。藤田社長のように週に110時間働くことを続けられる超人は中々いませんし、藤田社長でさえあんな働き方は若い時しか無理と言っていました。一時的にしか継続できない週110時間よりも、長く続けられる週70時間の方が意味があります。

他にも時間を集中投下させて大きな成果を手に入れるためには、正しいやり方をしなければ意味がないということです。間違ったやり方でいくら時間を使ったところで目的の場所にたどり着くことはできないかもしれません。できるだけ早く目的の場所にたどり着くためには、目的地までの最短ルートを試行錯誤しながらでも見つけ出すことが重要です。だからこそ「学び」や「気づき」は大切だと思うようになりました。

目の前の仕事「だけ」にしか視野がいかなくなると、全力疾走しているつもりでももしかしたら全然違う誤った方向に走っているだけになるかもしれません。とにかく走り出さないと前に進むことはできませんが、間違った方向に進んでしまっていた時にそのことに途中で気づいて補正するためには、色々な情報に触れることが大切で、そのためには仕事だけではなく学ぶことも大事だし、多くの人と話をして新たな気づきをもらえることの大切さを最近は感じるようになりました。

また「成果を手に入れるためには時間が必要」という真実の影になって、私が経営者として決定的に見誤っていたと思うことがあります。それは、価値観というものは人それぞれであって、自分の価値観を人に押し付けるようなことは決して許されてはならないということです。これもまた真実ですが、15年前に起業したばかりの私にはこちらの真実は見えていませんでした。

私だけではなく、世の中全体が「価値観の多様性」という真実については見えていなかったのではないかと思います。15年前はまだ、仕事が他の何よりも優先されるのが正義であり、仕事のためであればプライベートを犠牲にするのは当たり前という風潮が世の中にはありました。今もまだ少しだけそういう価値観に縛られている人は残っているかもしれません。この呪縛のために多くの人達が苦しめられてきました。

価値観は人それぞれ違って多様であるという真実を本当の意味で理解できるようになったのは、残業ゼロになってしばらくたってからのことです。意外と思われるかもしれませんが、この真実に気づいたから残業ゼロにしたわけではありません。実際は逆で、私の場合は追い込まれて仕方なく残業ゼロにするしかなかったのですが、残業ゼロにして従業員のプライベートが脅かされるようなことがなくなり、従業員それぞれの価値観が尊重される環境が強制的に作られた結果、色々なことがうまく回りだして、後から「価値観の多様性」および「人に自分の価値観を押し付けてはいけない」という重要なことに気づいた次第です。

そうしたことに気づいてからは、私は自分の価値観を従業員に押し付けることはやめました。15年前の私は「仕事で成果を出すこと」が絶対的な唯一の価値観だと信じており、社員にもその価値観を押し付けていました。仕事のためにプライベートを犠牲にすることも平気で要求していましたし、そんなこともできないやつはゴミクズだくらいに思っていました。

価値観の話をすると、同じ価値観の人だけを集めれば良いと思う人もいるかもしれません。「仕事で成果を出すこと」を価値観とする人だけを集めた会社を作れば良いではないかと。それもまた一つの考え方かもしれませんが、そこには一つ大事な事実が抜けているように思います。それは、人は誰しも時間とともにライフスタイルが変わる可能性があるということです。誰でも結婚する可能性があります。誰でも子供が生まれる可能性があります。誰でも介護をすることになる可能性があります。そうしたライフスタイルの変化まで見越した場合には、世の中全体で価値観の多様性に寛容な社会になる必要があります。世の中全体が「仕事で成果を出すこと」を価値観とする社会になってしまうと、世の中が回らなくなってしまいます。

そうした価値観の多様性の重要性やライフスタイルが変化する可能性に気づいてからは、残業ゼロだけではなく、有給消化率100%やリモートワークなど、ライフスタイルが変化したとしても誰もが働きやすい会社を目指して取り組んできました。

よく、「残業ゼロ」「有給消化率100%」「完全リモートワーク」などを取り上げていただき、私やアクシアのことを”先見の明がある”と評価していただけることがあります。しかし私自身の自分の評価としては、どちらかというと目の前にある課題に何とか食らいついて取り組んできた結果が今であり、この15年間はとても将来のことまで深く見据えることができていなかったというのが率直な感想です。だから自分のことを先見の明があるなどとは微塵も思ったことはありません。

今までの15年間を振り返ると「目の前の課題に取り組むことしかできなかった15年間」ということが私の統括です。これは私自身が経営者として未熟だったことに起因します。経営者は本来、ビジョンを定め、会社全体をビジョンに向かって推し進めるものだと思っています。しかしアクシアの場合は私が経営者として未熟すぎたために、目の前の課題に取り組むことだけで精一杯でした。とてもビジョンに向かって組織を進めていく余裕などありませんでした。

優秀な経営者であれば、創業時から強力なリーダーシップで組織をビジョンに向かって推し進めていけるのだと思いますが、私の場合は問題が多すぎて目の前の課題に取り組みながら何とか経営してくることしかできませんでした。

しかしすでに述べたように私は元々サイバーエージェントの藤田社長に憧れて起業した人間です。藤田社長はビジョンをとても重視されている経営者です。藤田社長が経営理念に関して強く影響を受けたという「ビジョナリー・カンパニー」という書籍を私ももちろん読みました。自分の作る会社も経営理念、ビジョンを大切にする会社にしたい!と思って起業しました。しかし未来を見ながらビジョンに根ざした経営を行う余裕などなかったのは既に述べた通りです。私が未熟すぎたために目の前の課題があまりにも多く、それに取り組むことだけで精一杯でした。

しかしこの15年必死で目の前の課題に取り組んできて、残業ゼロ、有給消化率100%などを実現し、目の前の喫緊の課題というものから最近は開放されるようになり、ようやく私も経営者としてのスタートラインに立てる状態になってきたかなと最近は感じられるようになってきました。15年もかかってしまいましたが、やっとの思いでここまでやってくることができたという心境です。

目の前の課題から開放され少しずつ余裕が出てくると、創業当時の「未来を見据えてビジョンに根ざした経営がしたい」という気持ちが強くなってきました。そんなタイミングでトゥモローゲートさんから声をかけていただけたのは私からしたら奇跡的なタイミングでした。

トゥモローゲートさんに支援していただきながら、自分達が心から腹落ちできるビジョンを定義することができました。

ビジョンマップ

創業当時、当然ビジョンは定義しました。しかしどこか形式的な感じがしてすぐに形骸化してしまいました。しかし今回作ったビジョンマップは全然違います。自分達で心から納得して腹落ちするものが作成できたため、ビジョンに向けて進んでいけるという実感があります。最近は役員間の会話もビジョンマップにしたがって未来の話をすることが多くなりました。

創業前に色々な先輩経営者にアドバイスをもらいに行きました。その時に多くの経営者から繰り返し言われた言葉が「何のために事業をやるのか」「なぜ起業するのか」でした。今にして思えばこの問いはビジョンどうするの?ということですね。当時の未熟な私の心境は「なぜやるのかなんてどうでもいいから、どうやって経営するのか具体的に教えてくれ」でした。藤田社長に影響を受けて、ビジョナリー・カンパニーも読んでいたくせに、何もわかっていない大馬鹿者でした。

経営はHOWももちろん大事ですが、WHYはもっと大事だと思います。なぜやるのか?このビジョンマップは長い時間かけてWHYを徹底的に考えて作られたものです。だから心の底から腹落ちできたものになりました。トゥモローゲートさんには感謝しかありません。

もう一つ15周年を機に、アクシアにとって大きな変化があります。15年間使い続けてきたロゴを本日から変更することにしました。

15年も使い続けてきたロゴですのでさすがに愛着がありますが、ビジョンマップ作成に合わせて、トゥモローゲートさんに新しいロゴも作っていただくことになりました。新しく作っていただいたロゴがこちらになります。

ストーリーも含めて本当に素晴らしいロゴを作っていただけたと思います。トゥモローゲートの皆様、この場を借りて御礼を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。

今までの15年間は、常に目の前の問題に取り組まざるを得なかった後ろ向きな15年間でした。経営者としてあまりにも未熟だった私も、そして会社も、少しは15年で成長して、ようやく今、納得できるビジョンを掲げて未来を見ながら経営していく準備が整ったと思います。スタートラインに立つのに15年はかかりすぎのような気もしますが、これからも私は私のペースで経営と向き合っていきたいと思います。

今日は15周年の会社の設立記念日ですが、この後は社員に向けてビジョンマップの説明会を開催します。これまでの後ろ向きだった15年間と違って、これからは会社の未来に向かって社員と一緒に考えて仕事ができるかと思うとワクワクが止まりません。

社員と一緒に”未来の話”をしてきます。