株式会社アクシアという会社を設立したのが2006年2月16日。私がこの会社を起業してからもうすぐ15年になります。15年の間には本当に多くの採用活動を行ってきており、たくさんの求職者の方とお会いしてきました。

その中で私が強く意識していることの一つに、

人の熱意は信じてはいけない

があります。これは15年の間にしてきた数多くの失敗の中から私が学んだことです。別に熱意のある人が嫌いというわけではなく、むしろ熱意あふれる人は好きです。好きですが、安易に人の熱意を信用してしまうと失敗してしまうということを本日は書いてみます。

言葉は簡単に偽装できてしまう

なぜ人の熱意を信じてはいけないか?その理由は、言葉というものは簡単に偽装できてしまうものだからです。嘘をついて人を騙すことは思いの外簡単にできてしまいます。

これを聞いた人の中には「いやいや、相手の目を見てきちんと話せば、嘘をついているかどうかくらい見抜けるだろ」「嘘をついてる相手を見抜けない採用担当者が無能なだけだろ」と思う方もいるかもしれません。

ところが実際には人間の嘘を見抜くことはそんなに簡単なことではありません。簡単に嘘を見抜くことができるのであれば、世の中の詐欺事件のようなものはもっとずっと少なくなるでしょう。「俺は嘘なんかに騙されない」と自信満々のあなた。嘘で塗り固められたYouTuberの嘘が次々と発覚してニュースになることも珍しくない世の中ですが、そんな嘘にまみれたYouTuberを信奉していたような経験はありませんか?w

この世で一番嘘が上手なのは詐欺師です。詐欺師の発する言葉は熱意にあふれており、非常に魅力的で人々を惹きつけます。程度の差こそあれ、そんな詐欺師の才能を備えている人が求職者として応募してきた時には、これを見抜くことは容易なことではありません。油断していると魅力的な言葉にコロッと騙されてしまいます。

嘘をつくことに対して自分では自覚のない人もたくさんいます。言葉には熱意があふれ「やる気だけは誰にも負けません!入社させてもらったら死ぬ気で頑張ります!」と言っていたのに実際入社してみたら何もやらない人。多分面接時には本気でそう言っているのかもしれませんが、熱意ある言葉に行動が全く伴っていない人です。結果的に嘘をついているのと同じになります。

このように言葉はいくらでも偽装して、いくらでも綺麗に装飾することができてしまいますので、熱意ある言葉をそのまま信じてしまうことは極めて危険なのです。そんなことしてたら絶対にいつか誰かに騙されてしまいますよ。

見るべきなのは行動や実績

「人の熱意は信じてはいけない」と言いましたが、それは言葉だけの熱意の場合です。言葉は簡単に偽装できてしまうのでそれだけで信用してはいけませんが、行動や実績が伴った熱意であれば話は全く別です。

私も最初は「やる気だけは誰にも負けません!今は全くの未経験ですが、入社したら死ぬほど勉強して御社に貢献します!」と熱意あふれる言葉を並べる求職者に対して「なんと素晴らしい求職者だ!この人は将来絶対伸びる!」となってましたが、そういう人が伸びた試しはいまだかつて一度もありません。

今こうした過去を振り返ってみると、はっきり言って「バカ丸出し」です。未熟過ぎて人を見る目のない過去の自分を、どれだけ愚かだったのだろうと思います。

そもそも本当に「熱意のある人」であれば、応募してきた時点でそれなりの行動をしているものです。この時点で具体的な行動を何もしてない時点で、この先もお察しなわけです(この事実を学ぶのに私の場合は何年もかかりました)。

本当にやる気があって熱意ある人であれば、未経験者であっても応募時には例えば下記のようになります。

「やる気だけは誰にも負けません!今はエンジニアとしての業務は未経験ですが、独学でこんなものを作ってきました(ここでGithubやシステムのURLを提示)。そこで学んだ経験はここにまとめてきました(ここでQiitaやブログのURLを提示)。この経験を活かしてさらに実務経験を積み、御社に貢献したいです!」

単に言葉だけの人と全然違うのがおわかりいただけますでしょうか?ここまでやってこられる方であれば、これから先どういう行動をしていく方で、どんな成長曲線を描いていくのかも見えやすくなります。確かな実績・行動を積んできているので、言葉には説得力があり信用できます。

エンジニア未経験の人であっても、本当にやる気があって熱意あふれる方というのは、例えば下記のブログのような行動を応募の時点で既にされていることが多いです。

プログラマーになりたいと思った人がやるべき7つのこと

ここまでやるのは決して楽ではありませんが、ここまで行動されている方であればエンジニア未経験の方であっても、就職にはそれほど困ることはないはずです。

経営者の熱意ある言葉にも騙されてはいけない

ここまで経営側から求職者を見る時の話をしてきましたが「人の熱意は信じてはいけない」というのはもちろん逆のパターンでも当てはまります。というよりもあらゆる人間関係で適用できます。

経営者の中には、何の実績もないのに言葉巧みに魅力的な言葉で求職者を騙す人がいることをご存知でしょうか?もうおわかりかと思いますが、ブラック企業経営者のことですね。本当のことを言うと誰も応募してきてくれないから、「言葉だけは」綺麗に装飾して魅力的なことを言ってきます。

就職活動をしている方々にとっても、経営者の熱意ある言葉に流されてしまうようだと、簡単にブラック企業の餌食になりますよ。そこは冷静に「何をしてきた会社なのか」をしっかりと見定めましょう。

ご覧の通り「やるきだけは誰にも負けません!」と言ってできもしないこと、やってもいないことを堂々とアピールすることは、我々から見ればやっていることはブラック企業経営者と何も変わらないわけですよ。だってブラック企業経営者もよく言っているでしょう?「やる気だけは誰にも負けません!」みたいなことを。そうやって求職者や顧客を騙しているじゃないですか。あれと同じです。

まとめ

「やる気だけは誰にも負けません!」という熱意ある言葉だけだと説得力に欠けます。その言葉だけでは何も信用できません。言葉の裏側にある行動や実績をきちんと見定めましょう。それから逆の立場であっても、自分が嘘つきになってしまわないように、言葉だけではなく、信用してもらえるようにしっかりと行動と実績を積み重ねていきましょう(自戒を込めて!)。