アクシアではやらないことの一つとして「ミスを責めない」という項目があります。これはミスを責める組織は生産性を低下させてしまうからです。なぜミスを責めると生産性を低下させてしまうとアクシアは考えるのか?今回はその詳細を記事にしました。
なぜミスを責めると生産性が低下するのか
ミスを責める組織が生産性を低下させる理由は、言うまでもなくメンバーが萎縮してしまうからです。萎縮した状態で最大のパフォーマンスを発揮できるわけがないことは誰にでも理解できることだと思います。
そんなこと言ってもミスをする方が悪いという意見もあるかもしれません。ミスをする方が悪いのだから責められても仕方がないという考え方です。しかしそうは言っても人間責められると萎縮してしまうものです。その際たる事例がパワハラでしょう。上司からパワハラで叱責され続けてパフォーマンスを最大化できる人など普通はいないでしょう。ミスを責めるというのは、程度の差こそあれどパワハラと似たようなものだと私は考えます。
例えばシステム構築する時にプログラムのバグを発生してしまったとします。意図してバグを埋め込むエンジニアなど普通はいません。それなのに発生させてしまったバグに対してネチネチと責められてパフォーマンスが向上するエンジニアなどいません。
日頃からミスを責められ、ここはミスをしたら責められる組織だと感じてしまったら、「責められたくない」という意識が働いて不適切な対応をしてしまうこともあるでしょう。不適切な対応とは、嘘の報告をしたり情報隠蔽したりということです。
そういう組織だと普段仕事しながら考えることは、自らのパフォーマンスを最大化することではなくなり、ミスを責められないように対応する意識の方が強くなります。チャレンジする意識は削がれ、責められないように無難な対応しかしなくなるでしょう。
発生したミスによって大きな被害を被ってしまった場合には責めたくもなるでしょう。怒りたくもなるでしょう。わかります、人間ですから。しかし発生してしまったミスによって例えどんなに大きな被害が出たとしても決して責めない忍耐力も組織には必要です。
ミスに対して寛容になることで、ミスをしても組織に報告してくれやすくなります。ミスをしても責められないという安心感はそこで働く人のパフォーマンスを最大化してくれます。ミスに不寛容な組織の生産性が低下することは明らかです。
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ミスは仕組みで解決する
ミスが発生しても決してミスした人を責めてはいけません。ミスした人を責めるのではなく、組織として改善しなければなりません。ミスした人に「次は絶対にミスするな!」と怒鳴ったところで何の解決にもなりません。
ミスした人に「次は絶対にミスするな」と言うのは指導でも改善でも何でもありません。こんなのはただの精神論です。精神論で解決しようとする上司は無能です。こんな上司のもとでは部下はいずれまた同じミスを繰り返します。
脳筋精神論で「ミスするな」と言うのではなく、ミスをしなくても済むような再発防止策を考えるのが組織としてのやるべきことです。いいですか?ミスは気合いではなくなりません。ミスは気合いではなくなりません。大事なことなので2回言いました。
ミスが明るみに出た時はラッキーです。ミスが見つかったということは、組織としてまた一つ改善するネタが見つかったということですから。みなさん「改善」は好きでしょう?なぜ改善のネタが見つかったのに怒鳴ってしまうのか理解に苦しみます。
ミスが明るみに出たらその原因を究明します。ミスの原因がスキル不足なのであれば再発しないように必要な教育を行う、チェックが不足していたのであれば業務フローを見直し必要なチェック機能を盛り込む。
ミスした人に「絶対にミスをするな」と言うのはただの根性論です。ミスした人が「次は絶対ミスしません」と言うのもただの根性論です。どちらも認めてはいけません。必要なのは根性論による不確かな再発防止策ではなく、仕組みによる確度の高い再発防止策です。
故意のミスは認めてはいけない
生産性を高めるためにはミスに寛容にならなければならないと言っても、故意のミスに対しては寛容になる必要はありません。故意によるミスとは簡単に言うと「不正」「ルール違反」です。やってはダメなことだとわかっていることをやってしまった人に対しては、何らかの処罰した方が良いでしょう。
例えば就業規則に違反した場合は処罰が必要です。情報隠蔽、情報漏えい、ハラスメント、その他定められているルール違反に対しては寛容になってはいけません。粛々と処罰する必要があります。しかしその場合でも怒鳴りつけるなどのハラスメントは論外です。そんなことをしたら故意によるミスをした人間に逆につけ入るすきを与えることにもなりかねません。ルールに従って粛々と対処しましょう。
過失によるミスには寛容に、故意によるミスには厳しくが鉄則です。
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対処が難しい怠慢によるミス
対処が難しいと私が考えているのが「怠慢」によるミスです。確かに過失によるミスでルール違反ではないけど、本人に気をつけようという意識がなくて同じことを何度も繰り返すようなケースです。過失によるミスへの対処は仕組み化が原則ですが、仕組み化もイタチごっこのようなもので、本人が怠慢であればどんな仕組みも骨抜きにされてしまうこともあります。ミスには寛容と言っても物事には限度というものがあります。
「怠慢」の扱いが難しい理由は、怠慢が過失と故意のちょうど中間くらいに位置しているからです。過失であることは間違いないとしても、何度も同じことを繰り返すことは場合によっては故意と考えることもできます。
過失によるミスと故意によるミスはある意味対処が簡単です。明らかに過失であれば仕組み化する、明らかに故意であれば処罰する。それに対して怠慢によるミスは対処が本当に難しい。仕組み化しても仕組みをすり抜けてまた別のミスをしたりしますし、怠慢は過失であることも確かなので処罰しようにもそれも難しい場合も多いのです。
この辺りは「仕組み」と「指導」の両面から対処するのと、あとは評価制度で対応するしかないのかなと今のところ考えています。こんな対応方法もあるよというご意見があればぜひ共有していただけるとありがたいです。
まとめ
- 過失によるミスは仕組み化する
- 故意によるミスは処罰する
- 怠慢によるミスは仕組みと指導の両面で対処する(暫定)
以上、内容によっては対応が非常に難しいケースもありますが、私の実感としては組織で発生するミスの9割以上は過失によるミスです。故意によるミスや、扱いの難しい怠慢によるミスはほとんど発生しません。多くのミスは仕組み化で対処可能ですので、地道に対応していくことで組織をどんどん改善していくことができます。
過失によるミスに目くじらを立てて叱責しているような組織がもしあれば、ミスに対して寛容になるだけでも組織の生産性は大きく改善するでしょう。
現時点で私が最も扱いが難しいと感じている「怠慢によるミス」に対して、いかに効果的に対応できるかどうかが経営者としての腕の見せどころなのかもしれないなぁと感じているところもありますので、よりうまく対処できるように私自身精進していきたいと思います。