コロナウイルスがきっかけとなって世の中で在宅勤務(リモートワーク)の取り組みが活発化しているようです。アクシアでは東京と札幌にオフィスがあり、さらに普段はオフィスに出勤せずに在宅で仕事をしている従業員も多数いますので、これから在宅勤務の取り組みを検討されている企業さんの参考になればと思い、アクシアの在宅勤務の取り組みをご紹介するブログを書くことにしました。
なお今回ご紹介する内容は、アクシアではこんなことやっているよ!という内容であって、当然のことながら唯一正解となるやり方ではありません。各社おかれている環境などそれぞれ違うと思いますので、それぞれの事情に合わせて最適な手段をご検討いただければと思います。その検討の際に少しでも参考になれば幸いです。
在宅勤務を始めたきっかけ
アクシアが最初に在宅勤務の検討を始めたのは2011年です。2011年は東日本大震災があった年ですね。
東日本大震災が発生した日は全員すぐに帰宅しましたが、翌営業日に出社できた人はたったの2人でした。交通機関がストップしてしまって出社したくても出社できなかったのです。私も会社に行くことができませんでした。
それまで当たり前のように会社という場所で仕事をしてきた我々が、初めて「出社することができない」という経験をしました。今はリモートでも仕事できる環境を整備しているのでそんなことにはならないのですが、当時はオフィスで仕事をすることが大前提となっており、そのオフィスへ出社する手段がないと完全に仕事ができない状態となってしまっていました。
震災はまたいつ襲ってくるかわからないし、その時にまた仕事が完全にストップしてしまうのはまずいのではないか?
そのように考えた私は、手探りながらも在宅でリモート勤務ができるように環境づくりを始めることにしました。当時はリモート勤務に関する情報が今のように色々あるわけではなかったので、まさに手探りの状態でした。
何から始めればわからなかった当時の私がとった手段は「とりあえず在宅勤務をやってみる」ことでした。とりあえず始めてみて、不都合に感じたことを改善して在宅勤務の環境を少しずつ整備していくことにしました。
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在宅勤務のために行った社内環境の整備
在宅勤務を行うにあたってこれまでに行ってきた社内環境の整備についていくつかご紹介します。
社内のシステムを全てクラウド上に移行
東日本大震災が発生した当時は、基本的に全ての社内システムのサーバーが東京のオフィス内に設定されていました。最初は外部から社内のネットワークに入って社内サーバーにアクセスする方法も検討していましたが、最終的に全ての社内システムをクラウド上に移行することにしました。
今風に言うと「クラウド」ということになりますが、要するに外部のサーバーに移行して、東京のオフィス以外からもシステムにアクセスできるようにしたということです。
社内で使用していた各種ウェブシステム及び、開発したプログラムのソースコードを管理しているサーバー、ファイルサーバーなどが移行の対象となりました。
VPNの環境を構築
全てのシステムをクラウド上に移行して在宅勤務の人でもシステムにアクセスできるようになったのは良いけど、パスワード認証しているとはいえインターネット上のどこからでもシステムにアクセスできてしまうのはセキュリティ上まずいんじゃね??ということで、VPNの環境を構築することにしました。
各種社内システムがクラウド上に設置されているのはこれまでと同じですが、そのクラウドのサーバーにVPN接続しないとアクセスできないようにしました。
東京オフィスではルータ上でその設定を行っているので、特に意識することなくVPN接続できるようになっています。その他の場所からはVPNのクライアントソフトでVPN接続してから社内ネットワークにアクセスするようになっています。
これによってインターネット上のどこからでも社内システムにアクセスできるのではなく、VPN接続している特定の端末からのみシステムにアクセスできるようになりました。
ちなみにアクシアのVPNは定時になったら自動で切断されます。w
自動で切断されるのでその後は全ての社内システムにアクセスできなくなります。ファイルサーバーにもgitにも一切アクセスできなくなります。この辺は残業ゼロをポリシーにしているアクシアならではかもしれません。
パソコンの管理
アクシアはシステムの受託開発をメインに事業を行っている会社ですので、従業員の多くはエンジニアです。そのため仕事で使用するパソコンにはそれなりのスペックが必要です。そうしないと生産性が著しく低下してしまうからです。よってアクシアでは在宅勤務の人にも開発で使用するパソコン等を支給しています。
またオフィスで従業員が使用するパソコンは全てデスクトップで、ノートパソコンは無いのでオフィスにあるパソコンを外に持ち出して仕事をすることもできません。(持ち出したところで営業時間外は社内システムに一切アクセスできないのですが)
アクシアでは上記のような環境のため、カフェで仕事したりよくわからないフリーWi-Fiにアクセスされてしまったりといったセキュリティ上の心配はあまりないのですが、ノートパソコンを自由に持ち出せるような環境にある企業さんですと、このあたりのポリシーもしっかりと決めておく必要があると思います。
在宅勤務のためのその他関連ツール
在宅勤務の環境を整備するにあたって、その他に用意しておいた方が良い、用意しておくと便利だと思われるツールをいくつかご紹介します。
チャットツール(Slack、ChatWorkなど)
在宅勤務の環境ではチャットツールはほぼ必須と言って良いツールです。リモートでその場にいない相手とリアルタイムでスピーディーなコミュニケーションを取るためには、メールや電話だけでは大きな支障となってしまいます。
アクシアでは今では社内のコミュニケーションでメールを使用することはありません。基本的に全てチャット、もしくはウェブ会議です。
チャットツールがあるおかげで、東京オフィス、札幌オフィス、その他各地にいる在宅勤務の人がスムーズにコミュニケーション取ることが可能になっています。
ウェブ会議ツール(Skype、Zoomなど)
チャットは大変便利なツールですが、やはり対面でコミュニケーションを行うスピードに比べると劣る場面もあります。一気にまとまった話を進めてしまいたい時などには対面の方が早いときもあります。
そんな時に便利なツールがSkypeやZoomです。ほとんどの対面の打ち合わせはこれで代替できると言っても過言ではありません。
アクシアの場合、東京オフィスの人同士で打ち合わせをやる時は会議室で行う場合ももちろんありますが、札幌の人も在宅の人も一緒に打ち合わせやりたい場合も多々あります。そういう時にはウェブ会議ツールを活用しています。
またウェブ会議を使用するメリットとしては、電子ファイルを共有してそれを見ながら会議ができる点です。この辺りは電話では難しいですし、場合によっては対面の打ち合わせよりも威力を発揮する場合すらあります。
ちなみにウェブ会議は社内だけではなく顧客との打ち合わせでも有効です。以前は毎回訪問して行っていた打ち合わせも、今では可能な限りウェブ会議で行うようになりました。
顧客からの電話対応
在宅勤務にした場合、顧客から担当者宛に電話がかかってきた場合に対応をどうするかということについて悩んでいる企業さんは結構多いかもしれません。
アクシアでは電話に関してもIP電話の設定で在宅の人に内線電話と同じように転送できるようにしてあるのでこの点も心配ありません。
在宅勤務の人で顧客と電話する機会が多い人に関しては、固定の電話機を支給しても良いですし、たまに使用する程度であれば、パソコンにソフトを入れて電話することも可能です。
普通の内線電話と同じように扱えますので、ちょっとした用事がある時にはオフィスから在宅の人に内線で電話をかけてコミュニケーション取ることもあります。
リモートによるコミュニケーション不足問題
在宅勤務でリモートの環境になると、コミュニケーションが不足するのではないか?と心配している人は多いと思いますが、その点は環境整備を行うことでかなり問題を軽減してくれます。
もちろん対面によるコミュニケーションは情報量が多く、対面が必要な場面も多々あると思います。私も2、3ヶ月に一度は札幌オフィスに行って札幌の従業員とコミュニケーション取るようにしています。画面越しでは伝わってこない情報が対面だとわかる場合もあります。
それでも、普段の通常業務においてはほとんど支障がないと言ってしまって良い程度には、ツールや環境で問題解決可能です。コミュニケーション不足を懸念して在宅勤務を躊躇する必要はないでしょう。
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在宅勤務だとサボる問題
在宅勤務だと従業員がサボるのではないか?ということを心配している企業も多いと思います。私も心配です。w
信用することが大事だという綺麗事を言う人もいますが、綺麗事では片付けられない問題なんて世の中には山ほどあります。特に人間を相手にする場合には。
ただこの問題、私は在宅勤務の問題だとは捉えてなくて、結局サボる人がいるのだとしたらその人自身の問題だと思うんですよね。なぜなら、結局サボる人がいるとすれば、その人は在宅でもそうでなくてもサボるので。
よって「在宅勤務だとサボる問題」ではなくて、「サボるような人を採用してる問題」だと私は考えています。そういう信頼できないような人を採用してしまっているのがまずいのではないかと。
そういう意味で、「在宅勤務うぇーーーい!」みたいな人を採用してしまうのは要注意ですよ。こういう在宅勤務が手段ではなく目的化している人の多くは、私が見たところ「楽してサボりたいから在宅勤務を希望している人」です。w
そうではなくて、こういう理由で在宅勤務がしたい、その環境さえ与えてくれれば仕事でこれだけ貢献することができますと、在宅勤務をしたい理由が明確に存在し、在宅勤務ができないがために十分に成果を出すことができていない人も世の中には大勢いるわけで、そういう人を採用して在宅勤務の環境を提供してあげると、会社も従業員もお互いに幸せになれるのではないかと思います。
「リモートワーク=正義」ではない
在宅勤務(リモートワーク)はもっと世の中で当たり前になるべきだと私は考えています。在宅勤務の環境があれば、もっと仕事に貢献して充実した生活を送ることができる人がたくさん世の中にはいることを私は知っています。
だからもっと世の中で「在宅勤務」という選択肢が増えていけば良いなと感じていますが、だからといって在宅勤務(リモートワーク)が絶対的な正義ではありません。もし「今どき在宅勤務ではない会社なんてブラック」みたいなことを言っている人がいたら私は全力で異を唱えたいと思います。
そもそも世の中には在宅ではできない仕事もいくらでもありますし、在宅勤務をいう働き方を望まない人だってたくさんいます。アクシアでもオフィスを無くさない理由は、オフィスに出社して働くことを望む従業員が一定数存在しているからです。
在宅勤務という働き方が提供されれば助かる人たちがたくさんいるのは事実なので、この働き方はもっと推進されていくべきですが、在宅勤務も働き方の選択肢の一つであって、手段でしかありません。
多くの人が自分の生活に合わせて最適な働き方を選択できる世の中になることを強く望みます。そういう会社にできるように私も頑張ります。