経団連の中西会長が「終身雇用なんてもう守れない」と発言して物議を醸していますね


経団連の中西会長が「 正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです 」と発言されました。これに対して「何を今さら言っているんだ」「そんなのとっくに知ってたよ」というご意見もあるかと思いますが、良くも悪くも悪くも悪くも影響力の強い経団連のトップの方が正しい認識と方向性を示されたことには大変意義があったのではないかと思います。

また一部の人の間ではいまだに終身雇用信仰が強くあるようでして、一度入社してしまえば大した努力をせずとも定年まで企業にしがみついていれば、のほほんと暮らしていけることを当然の権利であるかのように考えていた人達からは阿鼻叫喚の声もあがっているようです。

それぞれに主義主張はあるだろうと思いますし、主義主張を異にする人達とお互いに理解し合うというのは中々難しくもありますが、だからと言ってSNS上でお互いに罵詈雑言を浴びせながら殴り合っていても何の意味もないわけです。

世の中には時代の流れというものがありますし、時代の流れに抗うことは大変困難です。その意味で中西会長の発言は正しかったとしか言いようがありませんし、我々もこれからの時代の流れを前提とした考え方や行動を選択していく必要はあります。

終身雇用とは?

グローバル化が進む今の時代に終身雇用は合わなくなってきているというだけの話で、終身雇用そのものが必ずしも悪というわけではありません。

終身雇用とはその名の通り、生涯一つの会社で働くことを言います。従業員が定年退職するまで会社が従業員の面倒を見る代わりに、従業員は会社に忠誠を誓います。

会社に忠誠を誓うとか言うと、我々くらいの世代からすると何ブラックなこと言っちゃってんの?頭大丈夫?となりますが、終身雇用の時代を生きてきた高齢の方と会話してみると、今でも会社への忠誠という用語は普通に出てきます。

終身雇用とは、会社は従業員の生活を定年まで面倒見る代わりに、従業員は生涯を会社に捧げるような関係となります。

終身雇用の弊害

終身雇用による大きな弊害としては、戦力にならない人材でも雇用し続けなければならないことです。日本の法律はまだ終身雇用が前提となっているのでよほどのことがなければ解雇できないようになっています。

戦力にならない人材を抱え続けると下記のようなことが起きます。

  • 戦力にならない人を周りの人で支える構造になる
  • でも戦力にならない人にも年功序列で賃金が分配される
  • 結果的に優秀な人が損をすることになる
  • 優秀な人ほど辞める可能性が高くなる
  • 戦力にならない人ほど転職できないので残りやすくなる
  • 生産性が低下する

それでも終身雇用が前提の社会では、優秀な人でも転職が選択肢に入ることがなかったので成立していましたが、終身雇用が崩れた今となっては優秀な人ほど辞めてしまいやすい状況が生まれます。そうするともう負のスパイラルです。

さっさと解雇規制を緩和した方が良い

これまでのように終身雇用前提の社会であれば、解雇されることは圧倒的に不利な状況に追い込まれることが普通だったので、解雇規制を厳しくすることは理にかなっていたと思います。

しかし終身雇用の社会ではなくなったのに解雇規制を厳しくすることは社会全体で見た時にデメリットしかありません。

普通に考えて戦力にならない従業員を抱えておくことに何のメリットもありません。この状態で生産性を上げろとか言われても企業には難易度が高すぎます。重たいぜい肉を付けたまま速く走れと言われているようなものです。

企業間取引でも企業対個人の取引でも、不要になった契約については解約条項に基づいて解約できることが普通です。なのに雇用契約に関してはそれが普通ではない。。どんな契約でも一方的に解約を乱用できないようにすることは当然のことではありますが、雇用契約はもう少し何とかしないといけませんね。後で問題が発生して不良品だと発覚したり、時間がたってもう必要なくなったのに解約できない契約って何の罰ゲームだよ。

また終身雇用が終わって転職が当たり前の時代では、転職の機会が多くなることも重要です。今いる戦力にならない社員を解雇できればもっと戦力になる人を採用することもできるのに、解雇ができないからそれもできない。一度雇用すると中々解雇できないから企業は必要以上に雇用することに慎重になる、結果雇用の機会が減る。

解雇ができないから、雇用の調整弁として歪な形の非正規雇用が異様に増えたり、偽装請負のような違法行為も横行してしまう。解雇ができないから、追い出し部屋みたいなものができたり、辞めるように追い込むようなことも行われてしまうこともある。

解雇規制が緩和されて雇用の流動化が促進されれば色々メリットもあります。

  • 企業の生産性が高まる
  • 賃金も上がりやすくなる
  • 雇用の機会が増える
  • ブラック企業が淘汰されやすくなる

解雇=マイナスイメージなのが良くない

解雇がマイナスイメージであることは否めませんが、このイメージはできれば少し見直した方が良いと思いますね。

「あなたはここに残っても戦力にはならない」と言われても、それはその会社では戦力にならないというだけのことであって、他の会社に移れば戦力となって活躍できる可能性だって十分にあります。

それなのに戦力になることのできない会社にいつまでも在籍していることは、会社にとっても社員にとっても良いことではありません。みすみす活躍できるチャンスを逃してしまっているとも考えられます。

他の会社で活躍できるチャンスを潰してしまう前に、活躍できないのであれば解雇や転職という手段を取れるようにすれば、社会全体で「適材適所」が促進されていきます。このように考えれば解雇は必ずしもマイナスではありません。

まとめ

経団連が「終身雇用は無理」と明言しましたので、終身雇用を前提とした仕組みは今後是正の方向に向かうと思われます。遅かれ早かれ解雇規制も緩和されていくのではないでしょうか。

この流れはもう誰にも止められませんから、いつまでも企業に期待しすぎて夢見たままでいると痛い目にあいますよ。文句を言うのは自由ですが、何度も言うようにこの流れはもう止められませんから。

何も努力しなくても定年まで解雇されずに安泰と考えていると危険です。これからは転職することも念頭に置き、そのために自分の責任でスキルアップしていくことの重要性がますます高まっていくでしょう。