アクシアでは毎日たくさんの求人応募があり、私も履歴書を拝見することがあるのですが、多くの履歴書を見ていると本人希望欄のところに「特になし」と書いてくる方が一定数います。私は希望ははっきりと書くべきだと考えているので、先日Twitterでこのような投稿をしました。
履歴書の本人希望欄に「特になし」と書いて給料の希望も何も書かないのは良くないと思う(結構いる)。極端な話、希望がないなら最低時給でも良いのですか?という話になる。ブラック企業でもなければ会社としてもそういう人には魅力を感じませんよね。きちんと自分の希望や意志のある人が良い。
— 米村歩@日本一残業の少ないIT企業社長 (@yonemura2006) May 18, 2018
そうするとこの投稿に対して、「就活セミナーで希望年収は書かないように指導される」という旨のコメントを多数いただきました。私は就活セミナーなるものに一度も参加したことがなかったので、希望年収を書いてはいけないという指導が行われていることに驚きを隠せませんでした。
こういうセミナーをやる方もやる方ですが、就職活動を行っている人達は今一度「自分は何のために就職活動を行っているのか」を考えてみた方が良いのかもしれません。
採用業務を行いながら日々多くの履歴書を見ていると、どうやらくだらない就活生ミナーに騙されてしまい、無意味な情報に踊らされて間違った情報を信じてしまっている人達がそこそこ存在するのではないかと思わざるを得なくなってくることがあります。
そこで現役で会社経営を行う者の視点から、巷の就活セミナーとは一味違う内容で(巷の就活セミナーを知りませんがw)、就職活動において誤解の多そうな内容をまとめてみようと思います。
なおIT業界でブラック企業を見分ける方法については過去に下記のようなエントリーも書いてますので、これからIT企業を志す方はこちらも合わせてご参照いただければと思います。
自分の希望ははっきりと企業側に伝えるべし
冒頭で紹介した希望年収についても当てはまりますが、就業にあたっての自分の希望ははっきりと企業側に伝えるべきです。
もしもあなたの目的が単に「会社に入ること」であれば、自分の希望は書かなくても良いかもしれません。しかし多くの人にとって本来就職活動とは、入社した後に自分の希望する生活を遅れるようにするための「手段」のはずです。
目的を叶えるために手段があるのであって、自分の希望を闇に葬る行為は、手段が目的化してしまっていると言わざるを得ません。それではたとえ入社できたとしても、その後の会社ライフを幸せに送ることは難しいでしょう。
希望年収以外にも残業の有無や残業代の支給状況については、企業に質問してはいけないなどと指導しているケースが多々あるようです。しかし年収や残業状況については、就職後の自分のライフスタイルに直結する部分ですので、ここをしっかりと確認しないことは、私から言わせれば就職活動の怠慢です。
希望年収や残業について質問して仮に落とされたとしても、それはその程度の会社だったということです。事前にそれがわかっただけ良かったと思いましょう。
もっと些細な部分でも、スーツ着用の有無や、女性であればネイルや髪の毛の色に関する規定が気になる人も多いはずです。スーツ着用が義務付けられていたり、ネイルや茶髪が禁止されていることに我慢できるのであれば聞かないくても良いかもしれませんが、入社後にずっと我慢しながら会社ライフを送り続けることができるかどうかは、一度自分の頭の中でシュミレーションしてみた方が良いでしょう。
必要以上に自分を良く見せる必要はない
就職活動ではどうしても自分を良く見せようと考えてしまうものです。人間にとって第一印象というものは想像以上に大事なものですし、ある程度は自分を良く見せる行為も理解できますが、必要以上に自分を良く見せる必要はありません。少なくとも嘘をついて企業を騙すようなことまでしてはいけません。
もし企業側が嘘をついて求職者を騙していたらと想像するといかがでしょうか?そんな会社はただのブラック企業ですよね。とんでもない会社です。
では企業に嘘をついて自分を過剰に演出している求職者諸君は、なぜ自分達は極悪非道なブラック企業と同じことをしていることに気づかないのでしょうか?小さい頃にお父さんやお母さんから「嘘をついてはいけない」と教わりませんでしたか?いかなる立場であっても、相手に嘘をついて騙すようなことをしてはいけません。
労働者にとっての就職活動、企業にとっての採用活動は、自分とマッチする相手を見つけるお見合いのようなものです。自分とマッチする相手を見つけるのが就職活動です。そこで嘘をついて本来はマッチしない会社に入社したとしても、後でお互いに嫌な思いをするだけです。
就職活動は入社することがひとまずのゴールではありますが、それは手段であって目的ではありません。その先に長く続く会社生活のことまで考えれば、嘘をついてまで過剰に自分を演出するような行為は得策ではありません。
手書きの履歴書から気持ちなんか伝わらない
人事の人に入社したいという熱意を伝えるためには、履歴書は手書きの方が良いと指導する人が世の中にはいるそうです。しかしはっきり言います。手書きの履歴書なんて今どき迷惑です。
どんなにきれいな字を書ける人でも、読みやすさにおいてデジタルな文字にはかないません。日々多くの履歴書を読んでいる側から言わせてもらうと、時々手書きの履歴書が郵送で送られてきたりするとはっきり言って読むのが大変なんです。
書いてある文字がきれいで達筆で読みやすければまだ良いですよ。でも中には別の意味で達筆な人も世の中にはたくさんいるんです。採用担当は暗号解読班ではないんです。最初からデジタルな文字で印字された履歴書を見せてもらえれば、こんな理不尽な苦労を強いられることもないのです。
もっと言えば紙で印刷されている必要すらありません。希望する求人で郵送等を指定されていれば仕方ありませんが、そうでなければメール送付だけでも十分です。その方が採用側としても余計な手間が省けます。
もっと言えば必要な情報さえ書かれていれば、自分の顔の写真すら貼らなくて良いのではないかと私は思うのですが、その辺はまだまだ業界事情とか空気を読んだ方が良さそうです。
ノー残業デーのある会社は慢性的に残業がある会社
当社はノー残業デーがありますとPRしている会社が時々あります。これを聞いて喜んでしまっている方はちょっと待ってください。なぜノー残業デーなるものが存在するのか?その理由について考えてみてください。
なるほど。「当社はノー残業デーがあります」とアピールしている会社は「うちは残業が慢性化してますよ!」とアピールしている会社だったのか。知らなかった。就活生には知っておいてほしい裏情報ですね。
— 米村歩@日本一残業の少ないIT企業社長 (@yonemura2006) May 18, 2018
ノー残業デーがあるということは、普段残業があるからそういう日を設定する必要があるということです。普段から残業がない、全く残業が無いというわけではなくともほとんど残業が存在しないのであれば、わざわざノー残業デーなるものを作る必要すらありません。
アクシアでは残業が一切ありません。毎日がノー残業デーですので、改めてノー残業デーを作る必要がありません。と言うよりもノー残業デーを作りたくても作ることができません。最初から残業なんか無いですから。
全ての会社に当てはまるというわけではありませんが、週に1回、ノー残業でが設定されることで、他の4日は逆に「残業デー」として帰ってはいけない空気になるという副作用が発生することもあるようです。
傾向として、ノー残業デーのある会社は残業が慢性化している可能性が高い会社であるということは常識として知っておきましょう。決して喜ばしい制度なんかではありません。
世の中には最初から月給に残業代が含まれている会社もある
これは知っている人は知っていますが、結構知らない人も多いようです。いわゆる「みなし残業」と呼ばれるものです。
初任給20万だと言われて入社してみたものの、そこには実は「残業時間40時間分のみなし残業を含む」という隠れオプションが存在している会社が時々あります。みなし残業の制度そのものが悪いわけではありませんが、みなし残業が含まれた給与なのに、その事実を表に出さずに入社した後に実態がわかるという卑劣な事例があります。
そうすると月40時間の残業までは残業代が一切発生しません。最初から給与の中に40時間分の残業代が含まれているからです。月給20万だと思っていたのに、みなし残業40時間を計算に入れると、最低時給ギリギリなんてこともよくある話です。
「初任給の高い会社ランキング」みたいなものに掲載されている企業の中にも、実はみなし残業代が含まれた月給となっていて、計算してみると最低時給ギリギリなんていう笑えないケースもあります。
最初から何時間分のみなし残業が含まれると明記されている会社は良いですが、隠蔽して求職者にわかりにくくしている悪質な会社もありますので注意しましょう。
同じように、給与に謎の各種手当が付いてくる場合も注意しましょう。「営業手当」のように中身のよくわからない手当がくっついている場合は、これがみなし残業代として処理されている場合もあります。また残業代の計算も各種手当を差し引いた基本給で計算される場合は、思っていたよりも残業の時給単価が低いということになってしまいます。
手当がいっぱい付いてて嬉しいな。うちの会社は手当をたくさん付けてくれて良い会社だな。などと脳みそお花畑のような考え方をするのはやめましょう。手当の実態をよく確認することが大事です。
週休2日制は毎週土日休めるとは限らない
週休2日制と記載されていれば、土日は毎週休めると普通は思いますがそうではありません。世の中には週休2日制となっていても週末が出勤日となる会社が結構存在します。
どういうことかと言うと、週休2日制となっていても、月に1回第◯土曜日は出社することになっているような会社があります。そういう会社は毎月1回は土曜日に出勤が必要となります。
月に1回土曜日に出勤が必要な会社であっても、実質的には毎週土曜日はほとんど休んでいる会社もあります。ではなぜ月1回土曜日を出勤日にするかと言うと、ずばり有給を消化させるためです。
完全週休2日制の会社であったら普通に毎週土曜日も休みなのに、週休2日制で月1回土曜日が出勤日となっている会社は、普通に毎週土曜日に休んでいるだけでも年間で12日間の有給消化となります。
完全週休2日制の会社だと、だいたい年間の休日数が120日以上となります。よく求人サイトの検索条件で「年間休日120日以上」というものを見かけますが、あれにヒットする会社は完全週休2日制の会社で、土日は毎週休みであると考えてほぼ間違いありません。
月1回土曜日出勤の会社だと年間で12日休日が少なくなりますから、年間の休日数で120日を超えることが難しくなってきます。
まとめ
今回は一般的な就活セミナーなどではあまり指導されないであろう、少し違った視点から見た就職稼働に役立ちそうな情報をピックアップしてみました。ただしどの項目も形式的で無意味な内容ではなく、就職活動において実質的に役立つ内容になっていると思います。
もし他にも役立つ情報がありましたら追記して更新していこうと思いますので、これも載せてほしいという内容があればTwitterのDM等でお知らせいただければ幸いです。