裁量のない裁量労働制が叩かれていますが、SESも同じですよね


裁量労働制に関する議論が活発に行われていますね。しかしながら裁量労働制の議論が定額働かせ放題になってしまうかどうかの議論や、資料の揚げ足を取るようなことばかりで、本質的な議論はあまり行われていないことは残念なことです。

裁量労働制に関しては、裁量を与えることでより高い成果を出したり生産性を高めていける優秀な人達にどういう仕組を与えれば労使ともに幸せになりより良い結果を導き出せるのかについて、個人的には議論していただきたいと思う次第です。

この議論をする時には裁量労働制は悪だと決めつけた固執した考えの人と議論しても平行線になります。単に働いた時間だけ気にするのではなく、いかに短い時間で大きな成果を出そうかと考えている優秀な人達の意見を聞いて、この人達のための制度設計を考えないとダメだと思いますね。

何かと叩かれることの多い裁量労働制ですが、この制度を悪用するブラック企業が多いことは事実ですので、これはこれで叩かれても仕方がないと言うか、叩いていかねばならない問題です。

裁量労働制の問題は大きな問題ですが、私は同じくらいSESの問題も大きな問題だと考えています。今回は裁量労働制の問題とSESの問題を比較して考えてみました。

裁量労働制もSESも、本来あるべき裁量が不当に奪われている

裁量とは権限です。裁量労働制と言いながら実際には社員に裁量がないケースもSESも、本来あるべきところに裁量がなく、不当に権限が奪われている状態と言えます。

裁量労働制とSES

裁量労働制とSES

裁量労働制は社員に時間の使い方に関する裁量を与える代わりに、時間に対する責任(つまり残業)が会社から社員に移動したものです。自由な時間の使い方ができる権限があるので、いつ会社に来てもいいし、いつ帰っても自由ですが、その代わり残業が発生してもその責任も社員が負うため、会社からの残業代が発生しないというものです。(厳密に言うと深夜残業や見込みを超えた分の残業代は支払う必要があります)

裁量労働制なのに時間の使い方に関する裁量が社員に与えられておらず、実質会社の管理下に置かれているにも関わらず、残業に対しての責任だけ社員に押し付けている不当な裁量労働制が横行しているため、裁量労働制は叩かれることが多い制度となっています。

それと似たような構造で、本来エンジニアが所属する会社にあるはずの指揮命令の権限が不当に客先に奪われ、労務管理の責任についてはエンジニアの所属企業に残されたままというものがSESとなります。

上記比較の図をご覧いただくと似たような構造になっていることがよくわかるかと思います。どちらも権限だけ不当に奪われて責任だけ押し付けられているという点で同じ構造です。

裁量(権限)を実質的に所有するところに責任も負わせるべき

権限と責任はセットであるべきものです。権限のあるところには責任も生じます。どちらか一方だけ存在する状態は歪な状態です。

裁量労働制を採用するのであれば、必要な権限をきちんと社員に与えるべきですし、責任だけを社員に押し付けるようなことがあってはなりません。

SESについては客先で指揮命令を行っているのであれば、客先は労務管理の責任を負うべきです。つまり直接雇用するか、派遣契約で契約するべきですが、指揮命令だけ行って労務管理の責任は放棄する不当な偽装請負が横行しています。

名ばかり管理職とかも同じですが、責任を負わせるのであれば相応の権限もセットで与えないと必ずおかしなことになってしまいますね。

人の裁量や権限という自由は奪うけど、責任だけは負わせるという行為は、奴隷と全く同じになってしまいます。

SESと裁量労働制のコンボは最低最悪の組み合わせ

SESと裁量労働制のコンボは最低最悪の組み合わせです。確実にブラック企業です。

SESと裁量労働制のコンボの会社で働くエンジニアは、SESなので自社に裁量がなく客先でまともな労務管理がされる保証もない状態で仕事をすることになります。客先では労務管理の責任がないのに指揮命令だけはしてくるので、長時間労働に陥りやすく有給もまともに取得できない状態になってしまいます。

SESで客先で指揮命令を受けて管理されている状態にも関わらず、裁量労働制という意味不明な状態です。客先で指揮命令を受けている以上「時間の使い方」に関しての裁量なんてエンジニアにあるわけがありません。でも所属会社は残業に関する責任はエンジニア個人に押し付けた状態です。

労務管理の責任の所在が曖昧なのでまともな管理がされないことなど普通にあり、時間の使い方に対しての裁量など客先常駐エンジニアには存在しないのに残業に対する責任は取らなければならない。でも所属企業でもないどこか別の会社の人から命令はされる。

つまり奴隷ですね。これがSESと裁量労働制がコンボになった会社です。

そもそもプログラミング業務に関しては裁量労働制の対象職種ではないので、現行の法律では裁量労働制を採用することは不可能のはずなんですけどね。

偽装請負についてはもっと社会問題になるべきではないか

裁量労働制と言って残業代は払わないけど社員に適切な裁量は与えていないなんちゃって裁量労働制が社会問題となって色々なところで叩かれていることは当然のことだと思いますが、同じく偽装請負が横行しているSESの問題ももっと大きな問題として取り上げられるべき問題だと思います。

権限は奪っておきながら責任だけ相手に押し付けているという点において、なんちゃって裁量労働制もSESも同じですからね。権限は与えず責任だけ押し付ける行為は搾取であり、奴隷構造そのものです。

今後も引き続き偽装請負の問題については情報発信を続けていきたいと思います。

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