仕事大好き!という人はいたとしても、残業大好き!という人はあまりいないと思います。残業大好きだという人がいたとしたらそれは「残業大好き!」なのではなくて「残業代好き!」なのではないでしょうか。w
残業は少なくしていった方が良いよねという考え方は少しずつ浸透してきていると実感しますが、そういう考え方の人であっても残業前提の考え方に染まってしまっている人は多くいるように思います。
残業は麻薬みたいなもので、一度染まってしまうとそこから抜け出すことは思っている以上に大変です。
昔は残業まみれで今は残業ゼロになったからわかることもたくさんあります。残業前提の考え方と、残業ゼロ前提の考え方とを比較してみました。
割り込み作業が発生した時の対応
通常のスケジュールが引かれている中で、別の割り込み作業が発生することがありますね。仕事なのでそういうことは普通にあります。その時に「残業でカバー」しか頭に浮かんでこないようであれば重症です。
https://twitter.com/familycar_work/status/864472102509858816
もちろん残業で対応することが最適解の場合もあるかもしれませんが、最初から残業で取り戻すことが前提というのはおかしいですよね。その時点で他の選択肢が頭から消えていますし、マネジメントも何もなくなってしまっています。
残業しないことを前提にしているのであれば、あらかじめ想定外の作業分のバッファもある程度見込んだスケジュールにしておくとか、後続のタスクのスケジュールを調整するとか、他にもいくらでも取りうる手段はあるはずです。
割り込み作業が発生したら残業でカバーと考えてしまうようであれば思考停止状態です。
追加要望が発生した時の対応
仕事を進めていれば当初予定していなかった追加の要望を顧客から要求されることは珍しいことではありません。その時に「残業でカバー」しか頭に浮かんでこないようであれば重症です。
「残業」という選択肢がほぼデフォルトのオプションとなってしまっていると、現状のスケジュールのことなど対して考えずに追加要望を引き受けてしまい、追加要望の対応は残業でカバーすればいいかなどと安易に考えてしまいます。
残業しないことを前提にしているのであれば、まずは追加要望分の必要工数を計算し、現状タスクのスケジュールやリソース状況を計算した上で、いつまでならその追加要望に対応可能であるかを数値ベースで計算して考えます。
その上で顧客に対応スケジュールの提示をしますので、どんなに顧客から強硬な姿勢で早くやれと言われたところで「できないものはできない」と言うことが当たり前になります。それでも強要してプロジェクトが頓挫したら顧客の責任となります。
追加要望が発生したら残業でカバーと考えてしまうようであれば思考停止状態です。
顧客が無茶な要求をしてきた時の対応
顧客にも様々な内部事情があります。それでも普通の会社だと自分達の都合を強行に取引先に押し付けたりしないものですが、中には取引先に凄んで「いいからやれ」と強硬姿勢でくる顧客もいます。
顧客から強硬な姿勢で無茶な要求をされた時に、顧客がそう言ってるのだから仕方がないかと「残業でカバー」しか頭に浮かんでこないようであれば重症です。
普通にやったら1ヶ月はかかる開発を何が何でも月内に納品しろと凄んでくる顧客がいるので淡々とお断り中。こういうのをきちんと断れるようじゃないと自分達までブラックに染まっていってしまう。
— 米村歩@日本一残業の少ないIT企業社長 (@yonemura2006) March 23, 2017
顧客から無茶な要求をされた時にきちんと断ることは極めて重要なことです。本当は「取引先に無茶な要求をしないことが当たり前」の世の中になるのが一番良いのですが、現状だと無茶な要求をしてくる顧客はいますので、それをきちんと断ることが重要です。
顧客が無茶な要求をしてきた時に残業でカバーと考えてしまうようであれば思考停止状態です。
スケジュールに遅れが生じた時の対応
仕事を進めていれば当初の想定通りにスケジュールが進捗しないことは普通にあります。スケジュールに遅れが生じた時に「残業でカバー」しか頭に浮かんでこないようであれば重症です。
スケジュールが遅れた時に残業でカバーするだけで良いならマネジメントなど誰でもできるということになります。何かあればすぐに残業でカバーしようと考えているリーダーがいたらマネジメント能力が不足している良い証拠です。
残業しないことを前提にしているのであれば、スケジュールに遅れが生じたとしてもきちんとリソースの計算をしてその先のスケジュール調整で対応可能かどうかを判断します。また対応が遅れると調整が難しくなるので、できるだけ早い段階で遅れを検知して対策するようになります。
スケジュールに遅れが生じた時に残業でカバーと考えてしまうようであれば思考停止状態です。
業務効率化して時間ができた時の対応
色々工夫して業務効率化を進めた結果、それまでの業務時間が短縮されて時間が生まれることがあります。業務効率化して時間ができた時に、やっぱり残業しているようであれば重症です。
どれだけ業務効率化したところで、やるべき仕事は無限に湧いてきてなくなることなどありません。やるべき仕事がなくなってしまう会社など倒産寸前の会社くらいかもしれません。だから業務効率化して時間ができたからといってそこに別の仕事を詰め込んでしまっていては残業はなくなりません。
業務効率化されて時間が短縮されたのであれば、他の仕事を詰め込まずに帰るようにすれば良いです。
業務効率化して時間ができても残業しているようであれば思考停止状態です。
時間外も頑張りたいという社員への対応
時間外も残業して頑張りたいですという社員が出てきた時に、会社のためによく頑張ってくれている素晴らしい社員だと思うようであれば重症です。
残業前提の会社であれば業務時間外でも献身的に頑張ってくれる社員は素晴らしい社員だということになりますね。逆に定時で仕事をきちんと終えて帰る社員の評価は低くなることすらあるかもしれません。
残業しないことを前提にしているのであれば、仕事は残業しないことを前提に組み立てることが当たり前となりますし、その前提に基いて仕事をしてくれない社員には改善をお願いすることになります。
時間外も頑張りたいという社員の評価が高くなるようであれば思考停止状態です。
残業前提の考え方と残業ゼロ前提の考え方と全く違うことがおわかりいただけたでしょうか。そして残業はなくしていくべきだと考えている方でも、知らず知らずのうちに残業前提の考え方に染まってしまっている方も多いのではないでしょうか。
残業をなくしていくためには根本のところの考え方を改めていかねばなりませんね。