残業上限規制を設けるという話がちょっと前に盛り上がりました。以下は厚生労働省のウェブサイトにおいてあった資料です。
色々と理解することが難しい残業上限規制ですが、この資料によるとその概要は以下のような感じです。
- 原則は月45時間、年360時間までを上限とする
- 繁忙期は単月で100時間未満とする
- 2~6ヶ月の期間で月平均80時間以内とする
- 年間計720時間以内とする
- 45時間を超えられる月は6ヶ月までとする
- 守らなかった場合には罰則がある
この規制の賛否については様々あると思いますが、この中にサービス残業について触れられた記述は一切ありません。どんな厳しい規制を儲けようとも、サービス残業の問題を先に解決しておかないと、全部サービス残業にしわ寄せされてしまうのではないかと心配でなりません。
他の規制を色々と儲ける前に、サービス残業の撲滅を徹底的にやるべきではないかと私などは思うわけですが、サービス残業を撲滅するためにはどうすれば良いのか考えてみました。
一般論としてサービス残業は「過剰な業務量を課す企業が悪い」ということになると思いますが、そんなこと言っていてもサービス残業がなくなることなど絶対にありません。
業務量を減らしてもサービス残業はなくならない
サービス残業問題では過剰な業務量を課す企業が悪いので、企業が業務量を減らせば良いという話は正論ですが、多分業務量を減らしたところでサービス残業やる人はやると思いますよ。
世の中にはより多くの成果を出して会社から評価されたいと思って、企業から強制されてなくてもこっそり家で仕事してしまうような人もそれなりにいるのではないかと思います。私がサラリーマンだったら多分私もやりそうです。
企業として従業員にサービス残業を強要してはならないのは議論の余地もありませんし、そうならないように務めることも企業としては必要です。
しかし企業としては従業員のプライベートまで監視することなどできません。持ち帰って仕事するなと厳しく言ったところで、こっそり家で仕事されてしまっては企業としてはどうしようもないことも事実です。
勝手にこっそりサービス残業されてしまうことは企業としても大変迷惑な話ですし、ダメだと言っても業務外で勝手に仕事をしようとする人がいる限りは、業務量を減らしたところでサービス残業の問題がなくなることはありません。
サービス残業には2つの側面がある
サービス残業の問題では「過剰な業務量を課す企業が悪い」という議論に終止することが多いですが、実際にはそんな単純な話ではないでしょう。
- 企業が従業員にサービス残業を強要する問題
- 従業員がこっそりサービス残業をやってしまう問題
私はサービス残業には企業側の問題だけではなく、労働者側の問題もあると考えています。
企業が従業員にサービス残業を強制するような行為は論外ですが、従業員がサービス残業をやらざるを得ないような状況に追い込むこと、それくらい過剰な業務量を従業員に要求することは確かに問題があります。しかしこれは企業側の問題です。
従業員側の問題としても、企業に内緒でこっそりとサービス残業をやることは明らかに問題があるのに、それについてはなぜかあまり触れられることがありません。企業がサービス残業を要求したり過剰な業務量を課したところで、労働者側がサービス残業をやらなければ良いだけの話ですからね。引き受けてしまう方も悪いのです。
サービス残業の問題は企業が悪いと言いたい労働者の気持ちは十分に理解できますが、本当にサービス残業を無くしていこうと考えるのであれば、企業側の問題だけ指摘して企業の罰則を強化するだけでは不十分です。
本当にサービス残業を無くすのであれば、労働者がこっそりサービス残業をやってしまう問題についても考えていく必要があります。
サービス残業は労働者にも罰則を設けるべき
なんか批判の的になりそうな主張ではありますが、サービス残業については労働者側にも罰則を設けるべきだと思います。
サービス残業を労働者に要求することや過剰な業務量を労働者に課すことは確かに企業側が悪いです。しかし労働者側がサービス残業をやらなければそもそも問題が発生しないことを考えれば、労働者側にも責任はあります。
サービス残業を行ってしまう労働者にも問題があります。サービス残業の責任は労働者側にもあります。労働者は何があってもサービス残業などやるべきではありません。残業が必要なのであれば見えないところでこっそりやるのではなく、堂々と残業すべきです。
企業側にサービス残業に関する罰則を設けたところで、管理が強化されることはあっても従業員の生活を24時間監視することなど不可能なので限界はあります。
「どうやったらサービス残業を撲滅できるか」と考えた時に、サービス残業を行った従業員に罰則を課すことは、サービス残業を撲滅するためには非常に有効だと思います。企業に罰則を設けたところで従業員側からすると他人事のように感じて、結局サービス残業やる人はやるでしょう。
サービス残業に関しては企業側に厳しい罰則を設けるよりも、労働者側に厳しい罰則を設けた方が効果的だと考えます。
サービス残業したら罰せられるのであれば従業員はサービス残業をやらなくなる
企業から過剰な業務量や成果を要求された時に、サービス残業をしてしまう心情は理解できます。サービス残業に賃金は支払われないかもしれませんが、それをやることで会社や上司から怒られることがなくなるのであればその方が精神的に楽かもしれません。
このような状況だとサービス残業をしたところで誰からも怒られないからその方が精神的に楽だと思うとついついサービス残業してしまうのだと思います。だから「サービス残業した方が辛い」と思わせるように、サービス残業したら労働者が罰せられるようにすることには効果があると思います。
業務量が過剰な時には会社や上司に「できない」と断ることが正しいわけですが、怒られてしまうかもしれないという精神的苦痛から逃れるためにサービス残業を選択してしまいます。そこできちんと「できない」と言いやすくするためにも、サービス残業をしたら労働者が罰せられる仕組みは意味があります。
より大きな成果を出したいから会社に黙って仕事を持ち帰って仕事をしようとする人も、そんなことをしたら自分が罰せられるということであれば、そのようなリスクを犯してまでサービス残業をやろうとする人は少なくなります。
まとめ
- サービス残業には企業側の問題と労働者側の問題がある
- 企業がサービス残業を強要することは論外なので厳しく罰するべき
- 労働者がこっそりサービス残業を行うことは労働者側の問題なので労働者を罰するべき
本当にサービス残業問題を無くすのであれば、労働者側の問題にも目を向けないと無理ですね。そして残業上限規制などの施策を行うよりも先に、真っ先にサービス残業問題については解消するべき課題だと思います。