本日2017年10月10日に「完全残業ゼロの働き方改革」が発売となりました。以前発売しました電子書籍「完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか」のブラッシュアップ版となります。
今回発売となりました書籍ではamazonなどのインターネット上での販売の他、全国の書店にも並びます。電子書籍版もあります。もしよろしければお読みいただければ幸いです。
元ブラック企業経営者が書いた残業ゼロへの働き方改革の書籍です
アクシアでは2017年3月にホワイト企業アワードの残業削減部門で大賞受賞させていただきました。このように今でこそ第三者機関からもホワイト企業として認定していただけるまでにおかげさまでなることができましたが、かつてアクシアは毎日終電、毎週休日出勤の長時間労働が慢性化したIT業界で典型的なブラック企業でした。
私自身も新卒で就職した会社では労働時間が月300時間以上になることが当たり前の世界で働いてきており、その会社を退職後に行っていたフリーランスの仕事においても、IT業界の多重下請け構造・客先常駐のプロジェクトの中で、長時間労働が当たり前の中で育ってきました。
そのような労働環境が当たり前の環境の中でずっと仕事してきていたため、以前の私はIT業界で長時間残業になってしまうことは仕方がない、むしろ当たり前だと思いながら仕事をしてきていました。
IT業界もそうですが、元々労働時間が長くなる傾向があり、それが慢性化してしまっている業界で働いてきている方の中には、残業時間を削減することなど無理だと思っている方も多くいらっしゃるかもしれません。かつての私もそうでした。
どこかの会社で「うちの会社は残業ゼロで仕事しています」という話を聞いても、自分達の業界は事情が違うだとか、自分達の会社は残業削減とは無縁だとか、どこか他の世界の話のような感覚で聞いてしまっているところもあるかもしれません。
しかしアクシアは他のIT企業と同じように元々長時間残業が慢性化したブラック企業でしたし、私自身もかつては自分達の業界では長時間残業など当たり前で他の業界とは事情が違うと等と言って言い訳してばかりでした。
この書籍はそういう元ブラック企業経営者が自らの体験に基づき「残業ゼロ」や「働き方改革」について書きました。ブラック企業に陥ってしまう業界や会社の事情も十分に理解しております。
残業ゼロは決して机上の空論などではなく、どんな企業でも実現可能な現実的な施策だと考えています。我々のような超絶ブラック企業であった会社であっても改革を実現できたことは紛れもない事実ですので、無理だと諦めてしまう前に是非一度残業削減や働き方改革について本気で考えてみていただければと思います。
残業まみれの体質を変えたくても変えられない苦しみ
残業まみれの体質を良かれと思って続けている会社は多くはないはずです。どこの会社でも長時間残業に関してはどこかで問題意識を持ちながら、変えていかねばならないと思いながら、しかし現実的な問題にぶち当たってしまって現状を変えられずに苦しんでいることが多いのではないでしょうか。
アクシアでもかつて長時間労働の体質を改善できずに苦しんでいた時期がありました。アクシアが残業ゼロを実現できたのは2012年のことですが、残業削減への取り組みを少しずつ開始したのは2009年からです。
2009年から2012年の約3年の間は、様々な残業削減、業務効率化への取り組みを行ってきましたが、一時的に少しだけ残業が少なくなることはあったとしても、結局またもとに戻ってしまって残業削減を実現することができませんでした。
残業ゼロを実現し、それをずっと継続してきている今から振り返ってみると、当時なぜどんなに業務効率化への取り組みを進めても残業削減ができなかったのかその理由が手に取るようにわかります。
しかし必死になって業務効率化への取り組みを進めていた頃は、なぜこんなに色々な取り組みをしているのに残業削減の成果につながらないのか、その理由が全く理解できずに苦しんでいました。
どんなに業務効率化を進めようとしても一向に残業削減の成果につながらず、そのことがまた「どうせうちの業界や会社に残業削減は無理」と思い込ませることを加速させてしまっていました。
必死に取り組んでも中々労働時間が短くならない、その理由もわからない苦しみは残業削減への取り組みを諦めさせるには十分すぎるくらいに辛いものです。同じような苦しみの中にある企業の方には、この書籍に書かれていることが今のその状況を打開するための少しでもヒントになれば幸いです。
覚悟とやり方次第で残業ゼロは実現できる
残業ゼロなど無理だと思っている方は多いかもしれませんが、覚悟とやり方次第で残業ゼロは実現できます。ただし小手先のテクニックは通用しません。取り組むなら問題の本質に真正面からぶつからねばなりません。
働き方改革が流行のようになって毎日ニュースでこの言葉を見かけるようになりましたが、中には問題の本質とは外れた小手先のテクニックで働き方改革をアピールしている会社も多々見受けられるように思います。
残業まみれの状況や有給消化率が低い状態(問題の本質)が何も解決していないにも関わらず、週休3日制(小手先のテクニック)のような制度を導入したところで本末転倒であり、世間に向けての人気取りでしかありません。
そのような小手先のテクニックではなく、問題の本質に真正面からぶつかってこそ残業ゼロの働き方改革は実現できます。本質的な問題を解決することは簡単なことではありませんが、働き方改革を実現するのであれば逃げずに真正面から取り組むしか方法はありません。
以前と比べてもこれからの時代は労働環境を改善しなければ中々人材を採用できない時代になってきていますし、これからますますその傾向は強まります。
残業ゼロをはじめとした労働環境の改善、働き方改革は、社会や求職者に対しての人気取りのための施策でも偽善のための活動でもなく、優秀な人材を確保し会社を成長させていくための経営戦略の一環として考えるべきです。
そのためには組織のトップのぶれない覚悟と、残業削減のための正しいやり方が必要です。
社畜からホワイト企業アワード受賞まで
この書籍の中ではアクシアの残業ゼロへの取り組み内容だけではなく、私が新卒でこの業界に入り、社畜として育っていくところからホワイト企業アワード受賞に至るまでの様々なエピソードが書かれています。
私はサラリーマンとして社畜も経験してきていますし、フリーランスとしてIT業界の闇も目にしてきていますし、起業後は自らがブラック企業経営者として君臨してしまった経緯があります。決して最初からホワイト企業アワードを受賞させていただけるような会社であったわけではありません。
ホワイト企業アワードに至るまでの様々な失敗エピソードや業界の問題点などについても詳しく触れていますので、同じような境遇にある方には共感いただける部分が多々あるかもしれません。
残業ゼロへの正しい取り組み方
かつてのアクシアのように残業ゼロへの取り組み方を間違うと中々成果につながりません。業務効率化させ頑張れば残業削減できるかのように言っている人もたまにいますけどそんなの現場を知らない人が言ってる嘘ですからね。
業務効率化は確かに重要なことなのですが、これだけ頑張っておけば残業削減できるのであればかつてアクシアが残業削減に苦労することなどなかったはずですが、実際には業務効率化だけでは残業削減は実現できませんでした。
アクシアも経験してきたことなのでよくわかるのですが、おそらく業務効率化の取り組みをしている企業は世の中にそれなりに存在しているけど、中々残業削減の成果につながらない、あるいは一時的に労働時間削減に成功したとしても、時間がたつと結局また元に戻ってしまうという企業が多いのではないでしょうか。
これらの失敗経験はアクシアでも全て経験してきておりますが、実際に残業削減を実現しそれを継続している今なら、なぜ当時業務効率化を頑張っても残業削減に成功できなかったのかがよくわかります。
同じように苦しんでいる企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
残業ゼロへの4ステップ
残業削減のやり方は他にも色々あると思いますが、アクシアの過去行ってきた取り組みをテンプレート化し、業務効率化を考える時はいつもこの4ステップに当てはめて取り組みをすすめるように意識しています。
- 仕事の見える化
- 仕事をなくす
- 仕事の自動化
- 仕事の標準化
これら4つのステップだけ実行していれば残業ゼロになるわけではありませんが、業務効率化を進める上では役に立つやり方だと思います。
働き方改革を阻む声に物申す
働き方改革を進めようとすると必ず反発する人がいますね。はっきり言ってもう時代遅れだと思うのですが、よくある反発の声としては、働きたい人には好きなだけ働かせておけば良いという主張があります。
サラリーマンの人で好きなだけ働きたいから放っておいてくれという人は自分で会社作って経営者になって好きなだけ働けばいいんですよ。そうしたら誰も止めませんよ。その覚悟すらないのであれば好きなだけ働かせてくれなどという無責任なことを言うべきではありません。
それに働きすぎはかえって効率を落とすことは少し考えれば理解できるはずです。プロスポーツ選手が疲れも無視して練習しすぎれば怪我するかもしれないし非効率ですよね。それと同じです。
未来の働き方への第一歩を踏み出そう
残業ゼロは通過点であって働き方改革に向けてこれからやるべきことはたくさんあります。
これからの時代は従業員にとって働きやすい環境を整備し、フルタイム残業バリバリの働き方が前提でなくとも、多様な働き方ができる会社にしていかないと企業は労働力の確保が困難になっていきます。
アクシアでも従業員が働きやすいようにこれから先、様々な取り組みをしていく予定ですが、残業ゼロだからこそできることも多くあります。これからアクシアがやろうとしていることについても書いていますので、よろしければ参考にしていただければと思います。
アクシアでは残業削減の取り組みを開始してから残業ゼロを実現するまでには3年間の時間を要しました。働き方改革が推進されようとしている昨今ですが、これから多くの企業が残業削減に向けて取り組み、アクシアがかつてしてきた失敗と同じ経験をしていくこともあると思います。
アクシアもこれからまだまだやらなければならないことは山ほどありますが、アクシアのこれまで取り組んできた経験が、残業削減をはじめとした働き方改革を推進しようとしている企業にとっての少しでも参考になれば幸いです。