拝啓、SES企業経営者の皆様。貴方達は本当にそんなことがやりたかったのですか。


昔どこかの本でこんなことが書かれていたものをメモに残しました。

「戦略」とは、目的を持ち、その方向に向かって目標を定め、計画的に活動していくこと。

何のために会社を経営するのかという意識は非常に大切なことであり、よく言われることではありますが売上や利益は会社を経営するための手段であり、決してそれ自体が目的ではありません。

とはいえ経営者という生き物は常に売上や利益のことを頭の中で考えていますので、売上・利益のことを考えすぎてしまって油断していると時々判断を誤りそうになる時があります。

本当は実現したいことや目的が最初にあって、そのために売上や利益が必要なはずなのに、気づいたら売上や利益のことだけ考える状態に陥ってしまい、本来やりたかったことが全くできていない本末転倒な事態になってしまうことが時々あります。

気づいたら売上至上主義に陥ってしまうのは経営者が定期的に患ってしまう病気みたいなものですね。そんな時に私の場合はいつも上記のメモ書きを振り替えるようにしておりまして、本来やりたかったことは何なのか、本来の目的は何だったのかを思い出すようにしております。

さて、世の中には多くのSES企業が存在しておりますが、そんなSES企業の経営者様達の多くも、「本来の目的」を忘れてしまわれている方達が多くいらっしゃるように見受けられます。私も起業当初は客先常駐の仕事をしておりましたので気持ちはよく理解しているつもりです。

世に多く存在しエンジニアからの評判がすこぶる悪いSES企業ですが、そんなSES企業の経営者様達にも元々はもっと立派な会社経営の「目的」があったのではないかと思うのです。わたくし程度の経営者が大変僭越なのですが、本日はそのあたりのことに関して書かせていただきます。

SES企業経営者がやりたいことは本当に「人売り」なのか

SES企業が行っていることは偽装請負という違法行為であり、人売りです。SES事業は偽装請負という違法行為には目をつぶり、エンジニアから搾取することによって成り立つビジネスモデルです。SES企業経営者は本当に最初からこんなことがやりたかったのでしょうか。

私が思うに多くのSES企業経営者も元々はもっと別の「目的」があったと思うのです。それが会社経営の厳しい現実と闘っているうちにいつの間にか売上や利益が目的化してしまい、心のどこかでダメだとわかっていながらSES事業に手を染めているのではないかと思うのです。

そうではなく目的は「カネ」であってカネのためならSESでも何でもやるという経営者はこの際どうでもいいです。そんなクズはもう救いようがありませんから。放っておいてもいずれ勝手に淘汰されていくでしょう。

SESは違法である点とエンジニアから搾取している点を気にしないようにすれば悪くないビジネスです。カネのために売上と利益を経営の目的とするならば、様々なことに目をつぶって人売をすることもできるでしょう。

しかし多くのSES企業経営者にとって元々はそんなことがやりたかったわけではないはずです。本当は会社をやる立派な「目的」があったはずなのに、いつの間にかそれを忘れてしまって目的が売上と利益、つまり「カネ」になってしまったのがSES企業経営者だと思うのです。

志高く起業されたSES経営者の方々には、当初いだいていた崇高な会社経営の目的を今一度思い出していただきたいものです。

そうは言っても現実には様々な問題に直面するのが会社経営

これはいつまでたってもつきまとうことではありますが、会社経営をしていると中々経営者の思い通りにはならないもので、常に現実の問題に直面しながら奮闘しています。

SES事業を行っている経営者の中には、違法行為という認識もあるしエンジニアにとってもプラスにならないということを十分に理解されており、何とかしなければならないと考えていらっしゃる方もたくさんいます。

しかしそこは経営者。厳しい現実に直面した時などには本来の目的を忘れて売上と利益のことを考えてしまうわけですね。

SESが良くないことはわかっている。SESから撤退しなければいけないこともわかっている。でもそうは言っても売上が・・・。そうは言っても会社を維持するためには・・・。そうは言ってもきれいごとだけでは会社は経営できない・・・。多くのSES企業経営者が抱えている悩みでしょう。

でも単に売上のためだけに起業したわけではないはずです。単に会社を維持するためだけに起業したわけではないはずです。何かやりたいことがあって目的を持って起業したはずです。

私も同じ道を通ってきていますので気持ちは痛いほどよくわかります。よくわかりますがだからこそ「本来の目的」は何だったのかを一度立ち戻って考えてみる必要があるのではないでしょうか。

SESという選択肢が成り立つのは「カネのため」が目的の時のみ

SES企業経営者にはエンジニア出身の経営者が多いですね。エンジニア出身の経営者はエンジニアの気持ちがよくわかりますから、エンジニアにとって働きやすい環境を常に考える傾向があると思います。

それなのにSES企業はエンジニアにとって働きやすい環境には全くなっていませんね。エンジニアにとって働きやすい環境を作ることが「目的」の一つとして考えるのであれば、SESは選択肢になりえません。

また顧客のことを考えて、顧客に良質なシステム開発のサービスを提供したいと考え、それを「目的」の一つとして考えるのだとしても、SESは選択肢になりえません。IT業界の健全な発展を願う場合にもSESは選択肢にはなりえません。

SESという選択肢が成り立つのは「カネのため」が目的の時のみです。

しかしSES企業の経営者の方達は、本当に「カネのため」にわざわざ会社を作ったのでしょうか。カネのためなら何でもやるというクズ経営者を見かけることもたまにありますが、多くのSES企業経営者はそうではないはずです。

SES事業を行っている経営者の方は、何を目的としてその事業を行っているのかを、今一度見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

目的を見失わなければ売上が落ちることがあっても構わないはず

SESは経営者が無能でも簡単に売上と利益を叩き出せるビジネスではあります。いつかSESから撤退しなければならないと考えていたとしても、売上が落ちてしまうことを考えると中々撤退の勇気が湧いてこないものです。

しかしだからこそ「目的」に立ち戻って考えて見る必要があります。経営者である以上は売上・利益を追求する姿勢は忘れてはならずそこから逃げてはいけませんが、売上・利益が会社経営の目的ではないはずです。

売上・利益が目的ではないのであれば、正しく目的を認識し直した時に売上が一時的に落ちても構わないはずです。「目的」のために「売上・利益」があるわけです。「売上・利益」のために「目的」が実現できなくなってしまうのであれば本末転倒です。

もしもカネが目的であり、カネのために法律を犯してエンジニアを苦しめてでもSES事業をやると堂々とおっしゃるのであれば私からは何も言うことはありません。

しかしエンジニアから搾取することを繰り返し、エンジニアを苦しめるSES事業に悩んでいらっしゃるのであれば、今一度会社経営の本来の目的を思い出してSES事業からの撤退を考えるべきではありませんか。

SES企業経営者の皆様。貴方達は本当にそんなことがやりたかったのですか。