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システム開発を事業としてウェブサイトに記載している企業の中には、実際には到底システム開発の会社とは言えず、その実態はほとんど派遣企業である場合があります。しかも本当の派遣企業ではなく、実態は派遣なのに契約形態は請負契約や準委任契約としている偽装請負という違法行為を行っている企業が大量に生息しているというのが今のIT業界の実態です。

他業界からするとIT業界の客先常駐は派遣契約で行われていると思ってしまっている方が結構いらっしゃるようですが現実は違います。きちんとした派遣契約でエンジニアが派遣されるケースの方がレアケースで、多くの場合は偽装請負が行われているという状況です。

これは将来エンジニアを目指す学生や、システム開発を発注したいと思っている企業にとっては害悪でしかありません。普通のシステム開発会社で働くことを目指す学生に誤解を与えないためにも、実態がシステム開発会社ではないのに開発会社を名乗るべきではありませんし、普通のシステム開発会社に発注したい企業に誤解を与えないためにも、こうした会社はシステム開発の会社を名乗るべきではありません。

これまでもちょくちょく客先常駐の特徴はブログで書いてきたのですが、まとまった記事として書いたことはなかったことと、学生や顧客企業がこうした企業に騙されないようにするためにも、実態がシステム開発会社ではないにも関わらず、表向きは開発会社を名乗っている企業の見分け方をまとめてみました。

協力会社(ビジネスパートナー)を募集している

人売りを稼業としている企業はエンジニアを人身売買のように右から左に流します。その結果として業界構造としては多重下請け構造が当たり前となっています。

多重下請構造

多重下請構造

エンジニアを他社に派遣するわけですから本来であれば派遣契約が結ばれるべきですが、正式な派遣契約だと多重派遣が法律で禁止されてますから多重下請け構造は成立しません。彼らが派遣契約の形を取らずに偽装請負を行う理由の一つです。派遣法で禁止された多重派遣が常態化しており、中間マージンの搾取が横行し、まさにやりたい放題の状態です。

こうした企業にとってはいかに案件の情報とエンジニアの情報をかき集めてきてマッチングさせるかという点が肝ですので、常に横のつながりを拡大しようとしています。というよりもどれだけ横のつながりを拡大させることができるかが全てと言っても良いでしょう。

横のつながりを拡大させるためにSESを行っている企業では、多くの場合会社のウェブサイトに「協力会社(ビジネスパートナー)募集」の記載があります。このページを見て彼らはお互いに問い合わせをして横のつながりを作るのです。

SES企業でなくても協力会社を募集していることはありますので、協力会社を募集していたからといってそれだけでSES企業確定というわけではありませんが、SES企業であればほぼ確実に協力会社(ビジネスパートナー)の募集を行っていると考えて良いでしょう。

取引先が同業者ばかり

普通のシステム開発会社であればエンドユーザーと取引を行うことが多くなりますので、取引先企業の業種は様々です。しかしSESの企業はエンドユーザーと取引を行う機会はほとんどなく、多重下請け構造の中で案件と人材のマッチングをしているだけですのでその取引先の多くは同業者となります。

取引先企業として「こんな会社がずらっと並んでいたらSES確定」と言えるようなものは存在するのですが、さすがにここにそれを名指しで書くことはできません。しかし見る人が見ればすぐにそれとわかるような企業リストとなります。

「ソリューション」や「エンジニアリング」等の文字列が企業名に入っている取引先がずらっと並んでいる場合は、SES企業である確率がかなり高いと言って良いでしょう。

社員数の割にオフィス規模が小さい

SES企業では自社内で開発することがほとんどありません。エンジニアは常に客先常駐のスタイルで仕事をしていますので、普段は自社内に仕事スペースを確保する必要がないのです。ですので、「この企業これだけ従業員がいると書いてあるのにオフィスがやけに小さいな」という事象が発生します。

面接や商談の時にオフィスを実際に確認することもできますし、訪問前にストリートビューで現地の様子をある程度見ることができる場合もあります。場合によっては実質的なオフィスは構えておらず、形式的に社長の自宅が会社住所としてウェブサイトに掲載されている場合もありますので、その場合はストリートビューで閲覧するとオフィス所在地が住宅街となっている場合もあります。

社員数の割にオフィス規模が異様に小さい場合は、本当に自社内で仕事をしているのかを疑ってみた方が良いでしょう。

勤務場所が「東京23区」となっている

SES企業ではエンジニアを客先常駐で派遣してしまいますので、自社内で仕事をすることがほとんどありません。就業場所は派遣先となりますので、求人募集の際にもはっきりとした就業場所を記載することができません。ですので勤務場所の記載は非常にざっくりとした書き方となります。よくある記載例は下記のような感じです。

  • 東京23区およびその近郊(埼玉、千葉、神奈川)
  • 本社または東京都内(およびその近郊)

私は学生の頃これを見た時は「拠点がたくさんあるんだ。すごい!」と思ってしまっていたのですがとんでもありません。拠点が多いのではなくて他社に派遣されるからこういう書き方となっているのです。学生の皆様は騙されないようにしましょう。

勤務時間が「客先に準ずる」となっている

SES企業ではエンジニアを客先に派遣しますので、勤務時間が「客先に準ずる」と記載されていることがあります。正式な派遣契約であれば客先に準ずることは当然のことなのですが、派遣契約ではないのに勤務時間が客先に準ずるなんておかしな話ですね。完全に違法行為です。

ちなみに勤務時間以外にもあらゆる面で客先の規則に縛られますから、服装規定などにも違反することのないように客先常駐の場合はスーツ着用を求められることも多いです。私は新卒で私服OKの会社に就職したのですが、客先常駐の時はやはりスーツ着用が義務付けられていました。

このように会社の就業ルールに関することで他社から制約を受けることは本来であればおかしな話なのですが、SESを行っている企業の場合は勤務時間や服装について他社から制約を受けてしまうことが多々あります。

月1回の帰社日をアピールしている

ずっと客先常駐で仕事をしているとエンジニア達は「自分は一体何者なのか」と思い悩むようになります。自分はこの会社の従業員のはずだけど、他の会社の従業員のように働いているし別にどこの会社に所属していても変わらないのではないか?と疑問に思うのです。そしてそういった不満の声は会社側に届けられることも多々あります。

そうするとSES企業としても従業員に「この会社楽しい」と思ってもらえるように施策を考えようとしますが、通常は従業員は客先常駐で客先から指示をされて仕事をしていますので、普段会社ができることなどほとんど何もありません。

そこでひねり出されてきた苦し紛れの施策が「月1回の帰社日」ということになりまして、これはもうSES企業ではほぼ業界標準の仕様と言っても過言ではありません。本当にどこの企業でもやってる感があります。

ウェブサイトには月1回の帰社日にどれだけ楽しいイベントが行われているのかを全力でアピールしているSES企業も多々あります。バーベキュー、飲み会、社員旅行などの楽しげな写真が掲載されていたりします。中には「あったかいご飯が食べられます」と涙ぐましいアピールをしている会社も見たことがあります。

飲み会や社員旅行の写真ばかりで仕事風景の写真がない

月1回の帰社日の時の写真は載っていても、実際の仕事現場での写真は載っていないことが多いです。普段客先常駐で従業員は仕事していますから、客先で「写真撮らせてください」というわけにも中々いきませんので当然のことですね。仕事現場の写真など撮影できないのです。

従業員の写真撮影が可能なのは月1回の帰社日のみ。この時に写真を撮るので飲み会等のイベントの写真が多くなります。たまに帰社日にみんなで仕事をしているふりをした写真を撮って掲載しているSESの会社もありますが、ぎこちなさが半端ありません。

バーベキューとかならわかりますが、普通飲み会の時に会社のウェブサイトに掲載するような写真を撮ることなんてないのでは?と思うのですが。飲み会の写真を会社ウェブサイトに載っけてるところってSESの企業くらいなのではないでしょうか。w

飲み会の写真の人達の服装が全員スーツ

わたくし、今時普通の開発会社で働くエンジニアの人達の服装なんてほとんど私服なのではないかと思っているのですがいかがでしょうか。エンジニアなのにスーツ着用が義務付けられている時点でブラックなのではないかとさえ思っています。

とにかく普通の開発会社の場合だと私服の率は間違いなく高いと思うのですが、SESの場合は事情が異なります。客先常駐でシステム開発の仕事を行いますので、無難にスーツ着用となっていることが多いです。客先などからスーツ着用を義務付けられている場合もあります。

そうすると写真撮影のために帰社したとしてもみんなスーツを着用しているという悲しい現象が起きてしまうわけですね。飲み会の写真でも見事なくらいにみんなスーツ着用。SESの会社は自社がSESメインの会社だとバレたくなければ写真撮影の時は私服着用を従業員に指定した方がいいですよ。w

 

この記事を読んでいただいたシステム開発の仕事を志す学生やシステム開発を依頼した企業の方にとって、正しい選択のための助けになれば幸いです。

最近は「人売り」「客先常駐」などのキーワードで検索すると私のブログ記事が上位にヒットするようになりました。これからもシステム開発の業界を目指す方やシステム開発の発注をしたい企業の方にこの業界の実態を正しく知っていただいて正しい選択をしていただくためにも、どんどん情報発信していきたいと思っています。今回はSES企業を外から見分けるための内容でしたが、今度は中の人から見た時の「SES・客先常駐あるある」についてもそのうちまとめてみたいと思います。


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