残業がなくならない。理不尽だ。しねと思っている人達へ


「従業員の満足を妨げる「働き方改革」の矛盾点とは?」という記事を読みました。

従業員の満足を妨げる「働き方改革」の矛盾点とは?

これによると働き方改革の具体的施策としては、残業時間の制限や有休取得奨励など「長時間労働の是正」が86%でぶっちぎりのトップ。どこの会社も長時間労働は大きな問題だと捉えていることがわかります。

一方で「ある程度の長時間労働は仕方ないという雰囲気がある」と感じている人が59%も存在しています。長時間労働の是正は必要だと感じながらも、残業は仕方がないよねと思って諦めてしまっている人達がたくさんいることがわかります。

ダイエットやらなくちゃと思いつつも、カロリー高くても美味しいんだから仕方ないよねと言って全然ダイエットしていない人のようで何とも情けない限りです。

早く仕事を終わらせても評価されなかったり、それどころか長時間働いている人が頑張っている人という組織風土がいまだに残っていることも大きな問題です。

私はこれまでサラリーマンとして長時間労働のブラック企業で働くことも経験してきました。ブラック企業経営者として長時間労働の会社経営もしてきました。そして今は労働環境を改善し、残業ゼロの会社経営を行っています。

残業ゼロの会社の労働者側として働いた経験だけありませんが、それ以外は経験してきていますのでそれぞれの立場の視点をある程度持ち合わせています。

残業がなくならなくて理不尽だ。しねと思っているのは何もブラック企業で働く労働者だけではありません。ブラック企業の経営者側も同じように理不尽だ。しねと思っていたりしますので、それぞれの視点を書いてみたいと思います。

労働者の視点

仕事量が変わらないのに残業減らせと言われて理不尽だと感じている労働者は少なくないでしょう。

しかし中には志高く自分の仕事を効率的に進めて早く仕事を終らせるように工夫する人もいます。こういう人材は企業にとって貴重な存在なのですがブラック企業は彼らの期待を見事に裏切ります。せっかく早く帰るために工夫して仕事を効率化したのに、早く終わって時間が短縮されたらされた分だけ、また別のタスクをアサインしてくるのです。

そうやって自分だけがいくら業務効率化をしたところで次々に別の仕事を入れられていつまでたっても早く帰れるようにならない。同僚の中には生活残業するためにわざとダラダラ働いている人なんかもいたりすると、自分だけが工夫して頑張ることが馬鹿らしくなり、損しているような気持ちになってしまう。

そうやって志高く業務効率化に取り組もうとする意欲のある労働者のやる気さえも徐々に蝕んでいってしまうのが慢性的な長時間労働が解消されない企業の大きな罪の一つです。

仕事でミスをして成果物の品質が低いことを上司に咎められても、そんなこと言ってもこんなに毎日長時間労働が続いていたら睡眠時間だって減ってしまうし、集中力だって維持できるわけがない。品質をキープしろと言われてもそんなことは無理、だったらブラックな長時間労働の環境を改善してくれというのが本音でしょう。

遅刻してそれを注意されても悪いのは会社であり自分ではない。残業が続いているのだから朝時間通りに出勤できなくても仕方がないだろうと思ってしまう。たとえ本当は前の日の夜に友達と遊びすぎてしまったり深夜までゲームをやっていたことが遅刻の原因だったとしても、全部悪いのは会社だと思ってしまいます。

そんなことよりもとにかく寝かせてくれ、休ませてくれということしか最後には考えられなくなってしまいます。会社の人間から何を言われても「ふざけんなしね」としか思えなくなってしまいます。

たとえ明らかに自分がミスしたり失態を犯したりしていたとしても悪いのは全部会社。こんな労働環境を強いる会社が全て悪い。誰に何を言われても「ふざけんなしね」としか考えられなくなるというのが、私がブラック企業にサラリーマンとして勤務していた時の実体験です。

経営者の視点

長時間労働が中々是正されずに困っている会社は多々ありますが、多くの経営者はこの状態を良しとしているわけではなく、できることなら是正していきたいと考えているはずです。

アクシアが残業ゼロになったのは2012年のことですが、それまでの間長時間労働に対して問題なしと考えていたわけではなく、2009年頃から残業削減に向けての各種取組は行ってきていました。

しかし現実は厳しく残業削減はそんなに簡単に行えるものでもなく、問題はあると認識しながらも中々解決には至らずに頭を悩ましているというのが世の多くの経営者の悩みでしょう。

そして経営者はなぜ残業が多くなってしまうのかを分析します。業務フローのどこに非効率な業務があるのか、その原因はなぜなのか。そして次のような結論に至ります。

  • 従業員のミスが多いからだ
  • 従業員のスキルが低いからだ
  • 従業員のやる気がないからだ

そしてミスをする従業員を見つけては「こんなミスをしていたらいつまでたっても残業は減らない」と叱責します。なぜミスをしてしまうのか、その原因と対策をミスをした従業員に考えさせます。

もっと業務効率化を進めるためにはエンジニア個々のスキルを上げなければならないと、従業員にスキルアップを推奨します。プライベートでもっと勉強しなさいと言います。残業漬けで勉強する時間なんて取れないのに。

従業員のモチベーションを高めようと面談や飲み会の回数を増やしてコミュニケーションを多く取ろうと試みたりします。残業まみれの状態でそんなことやってもますます従業員のモチベーションは低下していくだけだというのに。

そうやって悪循環に陥っていき、従業員に対して「お前らがこんな仕事ばかりしていたら残業なんかなくなるわけないだろう。自業自得だ。」と心の中で思ってしまいます。「自業自得」という言葉はそのまま協力なブーメランとなって自分のところに飛んでくることにも気づかずに。

そして従業員が心の中で思っているのと同じように経営者もまた心の中で残業がなくならなくて理不尽だ。しねと叫ぶようになります。

ホワイト企業に生まれ変わった今だから思うこと

アクシアは残業ゼロになってからそろそろ丸5年になります。残業ゼロになった今だから言えることかもしれませんが、当時の私は問題の原因を人のせいばかりにしていたと思います。自分で解決していかなければならないのに、何でも従業員のせいにしてそれを是正しようとして動いていました。これは典型的なブラック企業経営者でしょう。

それは労働者側にも言えることで、会社のせいばかりにしていても状況は何も変わらないということです。現状に問題があり、その現状のまま進んでいくことが嫌なのであれば自分で何かしらのアクションを取らなければ何も状況は変わりません。会社の文句だけ言って何もしないのであれば、ずっとブラックな環境で苦しみ続けることになりかねません。

結局のところどんな立場であったとしても、現状が嫌で何かしら変えていきたいと思うのであれば、自分でアクションすることが一番確実だということです。誰かがそのうちなんとかしてくれると考えて何もしないというのはただの運任せになってしまいます。

労働者への提言

長時間労働がなくならずに苦しんでいる労働者の方は、転職の選択肢を迷わず考えるべきです。より良い環境を探す努力をしましょう。

経営者またはそれなりの権限を持った管理職であれば話は別ですが、一般の労働者の方が会社を変革していくというのは正直非常に難易度が高いと思います。それよりは転職してしまって自分のいる環境を変えてしまう方がはるかに難易度は低いです。

「自分が今いる会社を変えてやる」という志は大変立派ですし、そういう人がいるならぜひうちの会社で採用したいくらいですが、現実はそんなに簡単ではありません。労働者がいくら知恵を絞ってアイデアを出して努力したところで、自分のボスがバカだともうどうしようもないのです。そんな報われない努力をするくらいなら、自らの望む環境に近い職場を探す方がずっと近道です。

その時に転職活動しても自分の望む会社の内定が取れないということであれば、スキルアップするなどして希望する会社から選んでもらえる努力をしてください。それは労働者個人の責任です。自分が選んでもらえないことを人のせいにしてはいけません。

労働者が積極的にブラック企業から立ち去っていくことで、ブラック企業はどんどん淘汰されていくはずです。ブラック企業が生き残れるのはそこで働く人がいるからです。ブラック企業を撲滅するためにも、ぜひ良い会社に転職する努力をしていただければと思います。

経営者への提言

昔の私のように問題の原因を従業員にあると考えている経営者がいるのであればすぐにやめるべきです。そんな考えをしているうちは残業はなくなりません。

会社の仕組みを作り、会社を動かせるのは経営者だけです。それは従業員の仕事ではありません。今の労働環境が悪いのであれば、そういう仕組を作ってきてしまった経営者が悪いのです。

それと小手先のテクニックをいくら駆使したところで何も状況が良くなることはありません。問題の本質から逃げずに正面から取り組まないと結局いつまでたっても問題は解決しません。

長時間労働が慢性化している会社の経営者が真っ先に取り組むべき課題は労働環境の改善です。飲み会や社員旅行で従業員の気持ちをごまかすことではありません。

私自身も苦しんできたのでよくわかりますが、労働環境の改善という問題は簡単ではありません。目を背けたくなる気持ちもよくわかりますが、ここから逃げずに問題を解決しないことにはいつまでたっても状況は変わらないでしょう。

逆に労働環境の改善という大きな問題をクリアできた時に得られるメリットははかりしれません。これからの時代のテーマにも合っていますし、全力で取り組むべき価値のあるテーマです。

つべこべ言わずに残業減らして労働環境を改善しましょう。

 

今日はこれから札幌に行って何件か面接をしてきます。札幌はIT人材の宝庫ですね。良い方からたくさん応募いただけています。

前回札幌に出張だった時はブログを書いてたら出発が遅れてしまいさらに電車が遅延して危うく飛行機に乗り遅れるところでした。その時は奇跡的に飛行機の出発が遅延していて何とか搭乗できたのですが、遅れないように今日は早めに出発しようと思います。w