仕事を減らさないと残業削減できないというのはウソ


残業削減するために世の中が本気で取り組むようにようやくなってきました。バブル期並みの求人倍率で空前の採用難の時代に突入し、これからますます労働人口が減っていく中で優秀な人材を確保するために労働環境を改善していく流れに向かっていることは当然の流れと言えるでしょう。

そんな中で各社どうやって残業削減すればよいかという大きなテーマに関して、仕事を減らさないと残業削減できないというウソをつく評論家界隈の人達がいらっしゃるようですので、そんなことはないですよということを、残業ゼロのアクシアの実例とともに検証してみたいと思います。

仕事を減らさなくても残業削減できた実例

アクシアでは2012年10月から突然残業ゼロになったわけですが、それ以前の2012年9月までは毎日終電、毎週休日出勤の長時間労働が常態化した会社でした。そんな超絶ブラック企業だったアクシアが突然残業ゼロになった際に、この時は一切仕事量は減らしておりません

それどころか2012年9月と比較して2012年10月は会社全体の生産量は27%増加しております。仕事量が減るどころか、27%も仕事量は増えたわけです。しかも残業ゼロにして。

これに対して「嘘だ」「そんなの信じられない」という反論はもう聞き飽きましたのでここでは詳細は割愛します。他のブログ記事や書籍の中で詳しく説明しておりますのでそちらを探してご参照いただければ幸いです。

実際にアクシアのように仕事量を減らさなくても(むしろ増えていても)残業削減を実現できている事例は実在するわけです。こういう事例を持っている会社はアクシアだけではないはずです。

しかし「仕事を減らさないと残業削減できない」という持論を唱えている評論家の方達はこのような事例には目を向けようとはしません。いつも華麗にスルーしていきます。

そもそも評論家の方たちって自分で会社の残業を削減した実績はないじゃないですか。だから世の中の様々な事例を取材してそれに基づいて評論するのが彼らの仕事のはずじゃないですか。それなのに自分の持論に合わない事例に対しては華麗にスルーしてしまうというその姿勢は、評論家としてはいかがなものかと感じてしまいますね。

残業をしていると効率が落ちるというシンプルな事実

これは本当は誰でもわかっているはずのことなのですが、残業すればするほど効率は落ちてしまいます。朝9時から終電まで毎日フルパワーで仕事を続けられる超人などこの世の中に存在しません。

だから長時間残業をやめればそれだけで作業効率は上がります。一部界隈の評論家が唱えている「仕事を減らさないと残業削減できない」という珍説は、毎日朝から晩までフルパワーで仕事ができるという前提に立たないと成り立たない理屈です。

どうして残業していると作業効率がどんどん落ちていくという、こんなシンプルな事実に気づかないのでしょうか?長時間残業をやめれば作業効率は上がるに決まってるんです。

仮に毎日24時くらいまで仕事をしている状態だとします。そうすると家に帰って寝る支度をしてベッドに入るのは2時くらいになりますよね。次の日また仕事があるので9時出勤だとした場合、家の場所にもよりますが7時くらいに起床するとすると、毎日5時間くらいしか睡眠時間を確保できないということになります。これがずっと続いたりします。以前のアクシアの状態もまさにこれです。

そうすると毎日睡眠不足の状態で仕事をしているということになります。これでは作業効率が落ちるのは当たり前です。

また朝起きてから人間が集中力を保てる限界は12~13時間が限界と言われています。それ以降は酒酔い状態で仕事をしているのと同じくらいの集中力しか発揮できないと言われています。

健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)

厚生労働省のこの資料の中で次のように記載されています。

人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後 12~13 時間が限界であり、起床後 15 時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率まで低下することが示されている

酒を飲んだ状態と同じくらいの集中力では効率が落ちるのは当たり前ですよね。これに睡眠不足が加わるともっとひどいです。睡眠不足の酔っぱらいに仕事をさせているようなものです。イメージしただけで今にも寝てしまいそうです。w

長時間労働が状態化すると朝から全力を出したりはしなくなる

プログラマーは夕方からやっと本気を出して仕事をするようになるとはよく言われていることですが、朝から深夜まで毎日集中力を持続させて仕事を続けるなどということは普通の人間にはできませんから、夜遅くまで働くことがわかっていれば一日の前半は手を抜くようになります。そうやって前半戦を適当に肩の力を抜くことで、終電まで何とか持たせるようになるわけです。

既に述べたように毎日終電まで働いていれば睡眠不足の酔っぱらいに仕事をさせているようなものですから、集中力を持続させろという方が無理があるんですよね。人によっては昼とか夕方からようやく出勤してくるようなプログラマーもよくいますが、ある意味合理的なのかもしれません。w

睡眠不足で疲弊した状態が解消されると効率はどのように変わるのか

毎日終電まで働いて睡眠不足で疲弊した人が長時間働く場合の効率と、十分な睡眠を確保して元気な人が残業ゼロで短時間集中で働く場合の効率はどれくらい変わるのでしょうか。

既に述べた通り、アクシアでは残業まみれの2012年9月に対して、残業ゼロになった2012年10月は27%生産量がアップしました。これを前提として計算してみたいと思います。

まず労働時間ですが、毎日24時まで働いていた場合だと途中昼ごはんと夜ご飯の休憩を1時間ずつ挟んだ場合で13時間の労働時間となります。これが残業なしで18時まで働く場合だとお昼休憩1時間を挟んで8時間の労働時間となります。

単純に13時間で消化していた仕事量を8時間で消化しようとした場合、1.625倍の作業効率になる必要があります。

13時間 ÷ 8時間 = 1.625

さらに27%生産量がアップしましたので、これだけの仕事量を残業ゼロで消化しようと思ったら必要な生産性アップは下記のようになります。

1.625 × 1.27 = 2.06375

約206%、おおよそ2倍の生産性が必要ということですね。アクシアは残業は残業ゼロにしたことで生産性は約2倍にアップし、生産量は27%アップしたということになります。

この数字を見て、絶対に実現不可能な数字だと思いましたか?

睡眠時間をしっかり確保して元気な人が短時間集中で働いた生産性に対して、睡眠不足で疲弊した人が長時間労働で酒酔いと同じ集中力で働いた生産性が、半分にならないと言い切れますか?

こうやって客観的な数字を並べてみると、睡眠不足を完全に解消し、長時間労働で酒酔いと同じ集中力で働くようなこともやめた場合には、それだけで生産性が2倍に向上する可能性があると考える方が自然なことだとは思いませんか?

206%という数字は置いておいたとしても、これで生産性が向上しないと言う方が無理があります。たとえ206%程は生産性がアップしなかったとしても、残業をなくすだけで相当な生産性向上が期待できることは疑う余地はないのではないでしょうか。場合によっては206%以上の生産性アップする場合だってあるかもしれません。

仕事を減らさなくても残業削減はできる!

私は別に仕事を減らさなくて良いと言っているわけではありません。無駄な仕事を無くすことは重要なことです。ただ、残業まみれの仕事をしている場合は既に相当な生産性の低下が発生していることは間違いないので、仕事量を減らさなくても時間あたりに消化できる仕事量を増やすことは実現可能だという事実を言いたかったわけです。

仕事を減らさないと残業削減できないという主張は、既にすべての労働時間をフルパワー集中力マックスで仕事できている人だけが言える主張です。

私は長時間働くことがあっても別に良いとは思いますが、長く働き続ければ集中力の低下は避けられませんから、それによって生産性が低下してトータルの生産量まで下がってしまっているようでは本末転倒です。少なくとも睡眠時間を削るほど働くような愚行はやめた方が良いです。

業務効率化することは重要ですが、業務効率化してから残業削減というのは意外と難易度が高いですし、やり方を間違えると結局失敗してしまいます。アクシアもその失敗を経験してきております。

業務効率化すれば残業が減るというのはウソ

それよりはまずは時間を決める(労働時間を短縮する)ことを先にもってきて、それに合わせて業務効率化を進める方が難易度は低いと思います。

現時点で残業まみれの状態に陥ってしまっている人は、まずは現状が相当に非効率な状態になってしまっているということを受け入れましょう。残業まみれの当事者となっている本人が自分の集中力が低下して生産性が落ちているという事実を自覚するのは中々難しいですから。

今が非効率な状態で全力で働けていないわけですから、フルパワーで働ける環境にシフトしていくことができれば残業を削減していくことは可能です。

仕事を減らさないと残業を減らせないという妄想は今すぐに捨てましょう。

その上でまずは30分早く、1時間早くというように少しずつでも良いので退社する時間のルールを決めて、睡眠不足の解消、集中力の向上が図れるようにしていってみてはいかがでしょうか。