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相手を無視したAI営業は、なぜ信用を失うのか――「技術的には可能」と「やっていい」は違う

目次
  1. AIが悪いのではありません
  2. 「法的に問題ない」は、免罪符になりません
  3. 「技術的には可能です」の、その先
  4. 数字は大切。ですが、数字だけを追うと

最終更新日:2026年6月25日

AIが電話で飲食店の予約を代行する――そんなサービスをめぐるトラブルが、先日報じられていました(2026年6月23日の報道)。つながるまで鳴り止まない自動電話、店舗の同意を得ないままのサイト掲載、「公式」マークの無断表示。しかも肝心のAIがうまく機能せず、予約が成立しないケースもあるといいます。運営会社は「法的に問題ない、公知情報を整理しただけだ」と説明しているそうです。

しかし、これは対岸の火事ではありません。似たようなことは、私たちの会社でも日々起きています。

アクシアの問い合わせフォームには、ルールを無視した営業が数多く届きます。私たちは営業・ご提案用の窓口をきちんと別に用意しています。それにもかかわらず、その案内を無視して、お客様用の問い合わせフォームに送りつけてくるのです。

先日も、こんな営業が届きました。「若手エンジニアが多数所属しております」と始まり、こちらの“ニーズ”を ✅ 付きの箇条書きで並べてくる。ご丁寧に、絵文字のチェックマークです。人が一通ずつ書いて送っているとは、とても思えません。おそらくAIに文面を作らせ、相手の業種も状況もお構いなしに、一斉に送りつけているのでしょう。

実際にアクシアのお客様用問い合わせフォームに届いた営業メールの一部。「若手エンジニアが多数所属しております」といった売り込みが、絵文字のチェックマーク付きの箇条書きで書かれている。送信元は伏せている。
実際に届いた営業メール(送信元は伏せています)

AIが悪いのではありません

誤解のないように言うと、私たちはAIの活用そのものを否定しているわけではありません。アクシアは、AIを日常的に活用している会社です。

問題は、そこではありません。人が普通に読めば普通に理解できるはずの「営業のご相談はこちらの窓口へ」という案内を、無視して送りつけてくる。これはAIを使っているかどうかに関係なく、「失礼だ」という印象しか残りません。そうした相手に、こちらからわざわざサービスの利用をお願いしようとは、なかなか思えないものです。

効率は、とても大切です。それは私たちも、経営者として強く実感しています。ただ、相手を無視した効率化は、うまくいきません。

人は、論理だけの生き物ではありません。感情もあります。論理と感情の両方で動いています。自分の効率だけを追い、相手のことを無視してくる――そうした相手に心を開くのは、なかなか難しいことです。これはもう、信用を失っている状態だといえます。効率を取りにいったつもりで、その実、もっと大切なものを失っているのです。

「法的に問題ない」は、免罪符になりません

「法的に問題ない」。一見、強い言い分に聞こえます。

ですが、思い出してみてください。迷惑メールも、かつては法的に問題ありませんでした。同意のない広告メールが野放しに送られていた時代があったのです。それが迷惑だったからこそ、2008年に特定電子メール法が改正され、「事前に同意した相手にしか送れない(オプトイン)」というルールに変わりました。実際、その後、迷惑メールの割合は大きく減少しています。

つまり、法律はいつも、迷惑が溜まってから後追いでやってきます。「今は合法だ」ということは、「迷惑をかけていい」とも「モラルにかなっている」とも違うのです。

基本的に「法律に違反していなければよい」という原則はあると思いますし、それを否定するつもりはありません。ですが、法律でOKだから何をしてもいい、とは私たちは考えません。人や会社との関係を健全に保つために、法律では問題なくても、モラルや礼儀の上ではNG、ということはいくらでもあります。

服装ひとつ取ってもそうです。何を着るかは法律で縛られていません。それでも、ビジネスの場には常識的な服装というものがあります。法律で禁止されていないからといって、Tシャツに短パンで商談に行く人はいません。

法律的に問題ないからといって、「迷惑だ」と言っている相手に、そのやり方を続ける。それは、嫌がらせに近いのではないでしょうか。

「技術的には可能です」の、その先

弊社代表の米村は、『「技術的には可能です」はなぜ伝わらないのか』という本を書きました。このフレーズは、もともとシステム開発の現場で、エンジニアが口癖のように使う言葉です。

そして今回の話も、根っこは同じだと考えています。自動で電話をかけ続けることも、フォームに一斉送信することも、「技術的には可能」です。できます。けれど、できることと、やっていいことは違います。そこには「相手にとって迷惑ではないか」「礼儀を欠いていないか」「うまくいかなかったとき、誰が責任を持つのか」という判断が、すっぽり抜け落ちています。

アクシアはシステム開発の会社です。お客様から「これを作れますか」とご相談を受けたとき、技術的に可能なら何でも「できます」とお答えして作る、という仕事の仕方はしません。それが本当にお客様のためになるのか、信用につながるのかを、一緒に考えます。AIを活用した開発でも、そこは変わりません。これからは、AIに判断そのものを任せる場面も増えていくでしょう。それでも、AIは責任を取ってはくれません。だからこそ、最後の責任は、必ず人が引き受ける。私たちはそう考えています。

数字は大切。ですが、数字だけを追うと

もしかすると、こうしたフォーム営業やAIによる電話営業は、外注されているのかもしれません。依頼している企業の側は、まさか自社の営業がこんなやり方をしていて、相手にこんな印象を与えているとは、思っていないのかもしれません。あるいは反対に、多少の迷惑をかけても数字さえ取れればよい、と考える場合もあるのかもしれません。

何もかもを自分の目で見る必要はないと思います。経営者がすべてを確認するのは、現実的ではありません。それでも、任せるのであれば、信頼できる相手と一緒に仕事をする――それはやはり大切なことだと、私たちは考えています。

数字は大切です。ですが、数字だけを追い求めていると、気づいたときには信用を失っている、ということがあります。

「技術的には可能」です。けれど、それで信用を失ってもよいのか。本当に、それでよいのか。私たちは、そこを考え続けていきたいと思っています。

その手作業、システムで無くせます。

現場の業務を整理し、効率化のためのシステムを自社一貫で開発します。

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