AIは、権限を委ねた「部下」。ただし責任を取るのは人間
私のAIに対する考え方は、AIを「優秀な部下」だと思って接する、という感覚に近いかもしれません。
上司は、部下に適切に権限を委譲して、仕事を任せていきます。部下の仕事を、細部にいたるまですべて把握してチェックするのは現実的ではありません。それでも、組織として問題が起きないように業務フローを整え、品質が担保された状態をつくる。そして最後に責任を取るのは、部下ではなく上司です。「部下がやったことだから」は通用しません。
AIに仕事を任せるときも、まったく同じだと考えています。アクシアはAIを全面的に使い、大きく権限を委ねます。十分な材料を渡せる場面であれば、「何をやるべきか」という判断までAIに委ねることもありますし、最終チェックを人間ではなくAIが担うことも、これからは十分にありえます。
それでも、動かない一点があります。AIは、責任を取れません。だからアクシアは、会社として責任を取れるやり方でしか、サービスを提供しません。判断や作業をどれだけAIに任せても、その結果の責任を引き受けるのは、いつも人間であり、会社です。
なぜ、こう考えるのか
この考え方は、AIの話に限ったものではありません。アクシアはこれまで、偽装請負や多重下請けのように、仕事の責任の所在があいまいになってしまう構造に対して、はっきりと問題提起をしてきました。契約のかたちそのものが問題なのではなく、「最後に誰が責任を持つのか」がぼやけたまま仕事が流れていってしまうことを、問題だと考えているからです。
AIとの向き合い方も、その延長線上にあります。AIを「人を減らして安く上げるための道具」としてだけ見るなら、結局は成果や責任ではなく、目先のコストだけを見る発想になってしまいます。私たちがAIに期待しているのは、浮いた時間と労力を、品質を上げることや、お客様と本質的な話をすることに使い直す——そういう使い方です。
スピードもコストも、AIで確かに良くなります。でもそれは、品質と、お客様との誠実な関係があってこそ意味を持つ。順番を間違えたくないのです。
AIとの線引き ── 責任を持って提供するために
この考え方を、日々の具体的な運用に落とすと、次のようになります。
お客様が望まない場合は、AIを使いません
アクシアは原則としてAIを使って開発します。ただし、お客様が明確に「AIは使わないでほしい」とお考えの場合には、その意向に従います。
使うのは、会社が許可したツールだけ
これはAIに限った話ではありません。アクシアのエンジニアは、会社として利用を許可したツールだけを使う運用にしています。何でも自由に使ってよい、という状態にはしていません。
秘密保持契約を結んで取り組みます
お客様の大切な情報をお預かりする以上、秘密保持契約(NDA)を結んだうえで、開発・保守を進めます。
「責任を持てるやり方」だけを採用します
品質を守るやり方は、これからも目まぐるしく変わっていくはずです。いまは、最終チェックをするのが必ずしも人間とは限りません。AIが最終チェックを担うフローも、これから十分にありえます。それでも、アクシアとして十分に検証し、「この方法ならアクシアが責任を持って提供できる」と判断したやり方だけを、サービスとして採用します。
私たちが実際にやっていること
考え方だけを語っても、なかなか伝わりません。アクシアが実際にAIをどう使っているか、いくつかお話しします。
まず前提として、アクシアは要件定義から設計、製造、テスト、保守運用まで、開発のあらゆる工程でAIを使い倒しています。プログラムを書く作業の多くはすでにAIが担い、エンジニアはその成果を検証し、判断する側に回っています。おかげで、無駄な工数やコストをかけずに開発を進められますし、そうして生まれた余力を、品質を見極めることや、お客様と本質的な話をすることに振り向けられます。
このWebサイト自体を、AIで作って運用しています
今ご覧いただいているこのサイトは、私自身がAI(Claude Code)を使って、5時間ほどで作り直しました(その経緯はこちらの記事に書いています)。そして公開後の更新も、AIと一緒に進めています。「経営者の頭の中にある考えを、AIとの対話を通じて会社の資産にしていく」——この仕組みを、まず自分たちのサイトで実践しているわけです。このページ自体が、その実践の産物です。
言語がわからない既存システムも、AIで解析して引き継げます
古いシステムの保守を引き継ぐとき、これまでは「その言語が分かる技術者がいるか」が大きな壁でした。AIでソースコードを解析できるようになったことで、開発元がいない・使われている言語もよく分からない、そんなブラックボックスなシステムでも、中身を読み解いて引き継げる可能性が大きく広がっています。私たちが「言語不問で保守を引き受けられる」と言えるのは、この裏付けがあるからです。
日々の開発・調査にも、道具として組み込んでいます
設計の壁打ち、調査、コードレビューの補助など、日常の業務にAIを織り込んでいます。派手な話ではありませんが、こうした地道な積み重ねが、開発のスピードと品質の底上げにつながっています。
これが、お客様にとって何を意味するか
AIによって、アクシアの開発キャパシティは確実に上がっています。その分、新しいご依頼にも前向きにお応えできる体制が整っていますし、これまで「言語が分からないから」と断られてきたような保守・引き継ぎのご相談にも、対応できる幅が広がりました。
大事なのは、AIで浮いた余力を、値下げ競争にではなく、品質とお客様との対話に使うということ。私たちは、AIを最大限に使いながら、その結果の責任は最後まで人間が引き受ける会社であり続けます。