働き方改革勉強会をパナソニック様と行いました


「完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか」の電子書籍が4月25日に発売されてから、おかげさまで多くの反響をいただいております。直接感想をお送りいただいたものから、電子書籍サイトのレビューまで全て読ませていただいております。

最近では求人採用の面接の時にこの書籍を読んできていただいている方がいたり、仕事のお問い合わせをいただく企業の方もこの書籍を読んでアクシアのやり方に共感いただいた上でお問い合わせをいただくことも多くなったので、採用にも営業にもプラスに機能しています。この書籍がきっかけで取材のお問い合わせや別の書籍の出版のお話もいただきました。本当にありがたい限りです。

そんな中今月上旬くらいに、この書籍をお読みいただいた上で更に具体的な話をされたいとのことで、パナソニック株式会社の方からお問い合わせをいただきました。パナソニックの経理部門の方達が通常業務を離れてグループ横断で活動を行う「経理塾」という集まりがあるそうで、今回はこの経理塾の方からお問い合わせをいただきました。

それぞれのメンバーの方が自らのライフスタイル、価値観・意識変革をテーマに、先進事例を学ぶために様々な活動をされているようです。パナソニック様は大阪が本拠地ですので、今回もほとんどの方が関西方面からいらっしゃったようですし、私などは読んだ本の著者に問い合わせをするような行動力はありませんから、その行動力を今後私も見習いたいと思いました。

パナソニック経理塾の方が書籍を読んで気になった点等をまとめていただいたレジュメ的なものを用意していただいていたので、今回はそれをベースに進めていきました。その内容を一部抜粋してご紹介したいと思います。

働き方改革を実行に移した最も大きなきっかけ

働き方改革という言い方は当時していませんでしたが、業務効率化や残業削減の取り組みについては2009年頃からずっと続けていました。しかしながら実際に残業ゼロが実現できたのは2012年になってからのことです。それまでのおよそ3年間は業務効率化はされていたにも関わらず中々残業が減らずに苦しんだ時期でした。そのあたりのことについて詳しくはこちらの記事に書いてます。↓

業務効率化すれば残業が減るというのはウソ

2012年に何があったかというと、「主力従業員の退職の意思表明」がありました。その従業員に辞められたら事業が止まると言っても過言ではない状況でした。今では仕事の標準化が進められておりまして、全ての顧客に複数の担当を付けて、全ての業務に複数の担当を付けているため、仮に誰かが辞めると言い出してもこのようなことにはならないのですが、当時は仕事が属人化された状態だったためにこのような事態となってしまいました。

この従業員を引き止めなければ会社の存続が危ういような状況でしたので、引き止めるためには労働環境を即時改善するしか選択肢がありませんでした。でも辞めると言ったこの従業員だけ残業をなくしたりすれば、今度は他の従業員が辞めてしまいますのでそれはできず、悩み抜いた末に出した結論が「残業ゼロ」です。

決してスマートに残業ゼロを実現してきたのではなく、退路を断たれてやむを得ない状況に追い込まれてこれしか取る手段がなかったのです。結局のところ2009年から2012年までの3年間は、会社トップとしての私の本気度が足りなかったということでしょうね。本気でやればすぐに残業ゼロを実現できたのですから。

この私自身の教訓から言えることは、いつまでたっても労働環境が改善されない環境では上司が本気になって労働環境改善に取り組んでいない可能性が高いですから、何とかして本気になって取り組ませる必要があるように思います。

上司も人間ですし、人間は弱い生き物ですから、中々断固たる強い意志を持って改革を断行するということは難しいものです。その際に上司が困ってしまうような何らかの外圧をかけるという手法は有効ではないかと思います。アクシアの場合ですと、辞められたら困る従業員が辞めると言ったことですね。

ちなみにこの時辞めると言った従業員は今でもアクシアで働いてくれています。この従業員のおかげで残業ゼロになったと言っても過言ではなく、本当に感謝しております。

残業削減の仕組みが遅れている企業に不足していると思われる点

働き方改革が世間的なトレンドともなっている昨今、多くの会社が働き方改革に取り組まれているかと思います。テレビなどでもそういった取り組みが紹介されることが多くなってきていますね。

残業削減はやり方を間違えれば社員が疲弊するだけ

残業ゼロを実現した企業として強く思うことは、中々残業削減できずにいる企業に不足しているものは「ルールを決め、それを守っていく姿勢」ではないかと思います。

決められた時間になったら消灯する取り組みをしている企業の話は最近よく聞きます。しかし実際には消灯したところでその後すぐに電気が付けられて残業が継続されたり、暗闇の中でパソコンの光だけで仕事が続けられたりしています。

「定時で帰りましょう」というルールを決めたとします。働き方改革のためのルール作りをしている組織は割りと増えてきているのではないかと思います。でも中々そのルールが浸透しません。それはルールを作りっぱなしで、それを守るように指導しないからだと思います。

定時で消灯は悪くないアイデアだと思いますがそれだけでは不十分で、その後きちんと帰るように、ルールを守るように指導しないとダメです。ルールなんか作っただけでは誰も守ってくれません。ルール作っただけで問題が解消されるなら全ての会社で労基法が守られるはずですし誰も苦労しませんよ。ルールは守るように取り締まらないと決して守られることはありません。

別にアクシアのようにいきなり残業ゼロで定時退社でなくても良いと思います。でも例えば「19時で退社する」というルールを作ったのであれば、そのルールを全員が遵守するように徹底することです。

アクシアの場合は残業ゼロは原則ではなく鉄則です。例外は許されません。なぜなら例外を認めてしまうとその例外がルールになってしまうからです。そうすると仕事のスケジュールに対してシビアに考えなくなってしまいます。

ルールを作るのは簡単だけど、守らせるのは簡単ではない

このあたり前のことを気づいていない組織が多いように思います。ルール作っただけで全ての問題が解決されるなら誰でも優秀なリーダーになれますよね。そうはいかないから大変なんです。

働き方改革推進の上で苦労された点及びその克服にあたっての取組み

これは前の項目で説明した内容とも被りますが、「会社が決定したルールを従業員が守ろうとしなかった」ことが苦労した点となります。

残業禁止!と私が言ったところで最初は誰も守ろうとしません。頭ではわかっていても誰も本気で守る気がありません。でも定時が近づいてくると私がオフィス内を見回りして強制的に仕事を終わらせていました。絶対に残業は許さないという姿勢が重要です。

仕事をやめようとしない従業員に対しては、私が腕組みしながら無言でその人の席の後ろに立ちます。そうするとみんなプレッシャーに耐えられずに30秒以内に仕事をやめてくれました。w

ルールを新しく作る、またはルールを変えるということは簡単なように思えて全然簡単ではありません。なぜならルールを変えるとは習慣を変えることだからです。

アクシアでもそれまで染み付いた残業まみれの体質で身についた習慣を変えるのには苦労しました。きちんと定時で仕事を終えるように新しい習慣が定着するまでには半年かかりました。

習慣を根付かせるためには、ルールを作るだけではなくてそれを守らせるための地道なチェックが必要になります。この地道な作業を上司が続けられるかどうかが、残業削減を実現できるかどうかの一番大きなポイントになるかもしれません。

残業ゼロ推進により大幅削減できた具体的業務

無駄な会議や資料を無くしたり、プログラムのソースコードを自動生成するツールを作成したりして大幅削減してきた業務は多々あります。しかしこれらは残業削減するために行った手段であって結果ではありません。

残業ゼロを実現したその結果として、大幅に削減された業務があります。それは顧客からの理不尽な要望の対応です。

残業禁止前には顧客から少々無理な要求をされていたとしてもそれらを受けてしまっていました。断ることで顧客を失う恐怖というものは誰もが感じてしまうものでしょう。顧客を失わないために顧客の無理な要求を受けてしまい、それをこなすために残業でカバーするという悪循環です。

しかしながら残業が禁止されてからはそれが大きく変わりました。何があっても残業が一切許されないという厳しい環境に変わりましたが、仕事を消化してスケジュールを進めていかないといけないことには変わりありません。

残業ができない環境下では、顧客からの理不尽な要望を対応していたら仕事が時間内に終わらなくなってしまいます。残業ゼロで仕事をスケジュール通り進めていくためには、顧客からの理不尽な要望は断らざるをえない状況となりました。ここが重要です。

残業禁止にしたら顧客を選ばざるをえなくなった話

いくら自社内で業務効率化したところで顧客からの理不尽な要求はなくなりません。自社内の業務効率化は必要ですが、最終的に残業をなくすためには理不尽な要求はきちんと断らないといけません。

アクシアの場合は理不尽な顧客の要求を断ったから残業がなくなったのではなく、残業禁止にしたら理不尽な顧客の要求を断らざるを得なくなりました。鶏が先か卵が先かみたいな話です。

働き方改革を更に強化するための新しい取り組みの予定

私は働き方改革はこれからの労働人口減少の時代では、採用力強化のために必要なものだと考えています。単なる人気取りの制度だとうまくいかず、理にかなった戦略である必要があると考えています。

今年度の目標としては有給消化率100%があり、その先に見据えているものとしては、残業ゼロはキープしたまま後ろに伸びない裁量労働制のようなものを実現したいと考えています。これについては詳しくこちらの記事に書きました。↓

有休取得率100%なら休日数で日本は世界トップクラスになれる

求人倍率はバブル期並みとなっており、アクシアのような中小企業では倍率がとんでもないことになっており、悲鳴を上げている中小企業がたくさんありますね。でも数字を見ると大企業では求人倍率が以前とそれほど変わりはなく横ばいのように思います。

従業員規模別求人倍率

従業員規模別求人倍率

大卒求人倍率調査(2018年卒)

しかしながら数字だけではわからないこともあるものですね。パナソニック様の状況をお聞きしたところ、パナソニック様のような大企業でも以前と比較すると採用状況の厳しさというのはひしひしと感じていらっしゃるようです。中小企業ほどではないにしてもこれからますます労働人口は減っていきますから、大企業含めて働き方改革の実現による採用力強化は必要になってくるのではないでしょうか。

まとめ

電通社員の過労死自殺の事件があってから世の中の流れが一気に変わりましたが、大企業の中でもあの事件をきっかけとして働き方改革への本気度が大きく変わったようです。

今回パナソニック経理塾の皆様からこのようなお話をちょうだいし、我々にとっても大変勉強になりました。残業ゼロを推進し、電子書籍も出版しましたが、普段中々外部の方々とこのような形で意見交換できる機会というのは意外と限られておりますので、私としても大変有意義な時間となりました。

我々のような会社の経験がどこまでお役にたてるものなのかはわかりませんが、ほんの少しだけでも世の中の働き方改革に貢献することができればと思い、今回のパナソニック経理塾様からのお話をお受けいたしました。

また大変ありがたいことに、今後の情報交換や工場見学等、必要なことがあればいつでも声をかけてくださいとおっしゃっていただきました。あの偉大な経営者である松下幸之助さんが作られた会社ですから学ばせていただけることがきっとたくさんあることだと思います。

今後も何かしら我々がお役に立てるようなことがあり、このような機会があるならば積極的にお受けしていきたいと思いますので、何かあればお気軽にお問い合わせいただければと思います。