業務効率化すれば残業が減るというのはウソ


残業削減は今や多くの企業での重要テーマとなってきています。残業を少しでも減らそうと考えて、強制退社や強制消灯のような仕組みを取り入れている企業も出てきていますね。そういった話題が出てくる度にそれに必ず噛み付いてくる人達がいまして、いつもお決まりのような批判が繰り広げられます。

  • サービス残業が増えるだけだ
  • 仕事が少なくなってないのに残業は減らせない
  • 業務プロセスを改善して業務効率化するのが先だ

こうした主張をする人達というのは、業務プロセスを改善して業務効率化すれば残業は減るはずだという考え方に基づいていると思われますが、実際に残業ゼロを実現してきたアクシアの立場としましては「業務効率化すれば残業が減る」という考えは相当に怪しいぞという立場です。

残業を減らすためには業務プロセスの改善による業務効率化が必要だ!と叫んでおられる評論家の方は多くいらっしゃいますが、

業務効率化すれば残業が減るというのはウソ

という若干煽り気味のテーマで本日のブログをお届けしたいと思います。w

いくら業務効率化しても残業はなくならなかった

業務効率化すれば残業が減るという理屈が正しければ、業務効率化に取り組んでいれば残業は減っていくはずですが、アクシアではいくら業務効率化しても残業はなくならなかったという厳然たる事実があります。

アクシアは2006年に設立され、最初は常駐開発ばかりやっていたという黒歴史があるのですが、2007年頃からは少しずつ持ち帰りの受託開発を始めました。その後完全に常駐開発からは足を洗い、全て持ち帰りで開発を行うスタイルにシフトしました。

常駐開発をやっていた時にはプロジェクトが炎上すればするほど会社が儲かってしまうようなこともありましたので、業務効率化への意識などほとんどなかったというのが正直なところです。

しかし持ち帰りで受託開発をこなすようになってからは状況が変わりました。常駐開発(≒偽装請負)という(経営者にとっては)ぬるま湯の仕事とは違い、持ち帰りの受託開発は名実ともに普通の請負契約ですので、プロジェクトが炎上すれば普通に赤字になる可能性が出てきました。

逆に業務効率化すればするほど利益が上がるようになったわけですから(常駐開発の場合は逆)、当然のことながら業務効率化へ意識が向くようにもなります。

また利益率向上というテーマがなかったとしても、長時間労働による従業員の疲弊や離職が問題となってましたので、必然的に業務効率化による残業削減について考えることが多くなっていきました。

私が日々書き溜めてある過去のメモを見返してみると、だいたい2009年頃から残業削減について考えることが多くなり、業務効率化に取り組むようになっていきました。つまりアクシアでは2009年から残業ゼロが達成される2012年のおよそ3年間にわたって業務効率化に力を入れて取り組んできたことになります。

下記の記事でご紹介している4つの取組みについても、全てこの3年間の間に取り組み始めたものとなります。

残業ゼロを実現するために必要な4つのこと

では3年間業務効率化を取り組んできたことによって、業務効率化の効果が現れて3年間の間に徐々に残業が減っていったわけではありません。残業ゼロになったのは2012年の10月になってから突然ゼロになったのであって、直前の月までは変わらず毎日終電、毎週休日出勤の日々を過ごしていました。

つまり業務効率化をしてきた3年間の間、残業は全く減らなかったorz

「残業ゼロを実現するために必要な4つのこと」でご紹介している4つの取組みを含めて、様々な取り組みをしてきましたが3年間の間は全く残業が減りませんでした。だったら「残業ゼロを実現するために必要な4つのこと」はウソじゃないかという声が聞こえてきそうですが、もちろんそうではありませんので最後までお読みいただければ幸いです。w

業務効率化をしても残業が減らなかったのはなぜなのか

以前のアクシアと同じように、残業削減するために必死になって業務効率化に取り組んでいるのに、中々成果となって現れてこなくて悩まれている会社さんは多いと思います。

ではなぜ業務効率化に取り組んでも残業が減らなかったのかと申しますと、端的に言うと業務効率化されて空いた時間に別の仕事を入れてしまっていたからです。これは言われてみれば心当たりのある方は多いのではないでしょうか。

業務効率化のための取り組み自体が効果がなかったわけではありません。ムダな会議や資料を廃止してすぐに空き時間は生まれましたし、ソースコードの自動生成の取り組みでは大幅に製造時間の短縮に成功しました。マニュアル作成や教育によって仕事を標準化することで一人の人に偏っていた仕事の負荷分散にも成功しました。

当時の私は業務を効率化し続ければいつかは残業がなくなるはずだという壮大な勘違いをしていました。そこには大きな見落としがありました。その見落としとは会社の仕事は無限にあるということです。

どんな仕事でも、どんな会社でも、一部例外を除き暇で暇でしょうがないなんて会社はありません。一つ仕事を片付ければ新しい仕事が次から次へと湧いて出てきます。もし「やることなくて暇だよ」なんて会社があるならそれは倒産寸前の会社くらいかもしれません。

ソフトウエアの会社で言えば「時間があれば社員の教育を行いたい」「時間があれば自社開発を行いたい」などと多くの会社が考えているのではないでしょうか。そして実際少しでも時間が空けば、こうした仕事を次々にやり始めますので労働時間は中々減りません。

せっかく業務効率化して既存の仕事の労働時間を短縮しても、空いた時間にまた別の仕事を詰め込むようになり、長時間労働に陥っていると集中力と体力が低下して非効率化していきますので、結局また元の非効率な状態に戻ってしまいます。

効率化 → 空き時間ができる → 別の仕事をつめこむ → 非効率化

こんな感じで結局また元の非効率状態に戻っていき、この後はずっと無限ループです。アクシアではこの無限ループから抜け出すまでに3年かかりました。

会社というものは基本的に売上を上げる必要がありますが、売上には上限がありません。だからどこかで線引をしないとどこかの会社みたいに「365日24時間死ぬまで働け」となってしまうわけですね。

パーキンソンの法則というものがある

パーキンソンの法則というものがあります。wikipediaによると、パーキンソンの法則の第1法則について次のように書かれています。

仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する

時間が与えられていると、与えられただけ時間を全部使ってしまうということですね。

これは残業の説明をする時によく使う例え話なのですが、毎朝7時に起きて8時に家を出て出社している人がいると思います。朝起きて家を出るまでの準備時間は1時間です。では毎日1時間準備に時間をかけているこの人が、たまたま寝坊して7時30分に目が覚めたらどうなるか。30分遅刻するかというとそうでもありません(そういう人もいるかもだけどw)。多くの人はいつも1時間かけて行っている準備を超特急で30分で終わらせて出勤するのではないでしょうか。

デッドラインが決まっているとそこに合わせて行動するようになります。納期が決まっているから納期に間に合わせようと必死になって頑張ります。納期直前の集中力や瞬発力はものすごいものがありますよね。でも逆に考えるとそういう人は納期直前以外は全力を出し切っていないということでもありますね。あえて意地悪な言い方をすればそういう人は納期直前以外はサボっているわけです。w

逆に納期が決まっていない仕事はどうなってしまうかというと、完成のために与えられた時間が無限になってしまいますから、使う時間も無限になってしまいます。そうするといつまでたっても仕事が完成せずにいつの間にか放置されて忘れられてしまったなんてことにもなります。私も期限を設定せずに仕事を割り振ってそんな感じになってしまった経験があります。

毎日終電まで仕事をしている人は確かに忙しいわけですけど、そういう働き方をしている人であっても、どんなに忙しくても不思議なことに大抵の場合は終電までには帰っていきます。アクシアでも2012年までは毎日のように終電まで仕事をしていましたが、それでも終電を逃すようなことは滅多にありませんでした。(たまにはありました)

それは自分達の中でいつの間にか勝手に毎日のデッドラインを「終電の時間」に設定していたのでしょうね。だから毎日終電の時間に合わせて仕事が終わるようにペース配分するようになってしまっていたのです。

会議の時間も同じですね。会議ではよく時間を決めて会議をしろということが言われます。時間を決めていないといつまでもダラダラと会議がムダに続いてしまうこともありますが、あらかじめ時間が決まっていると大抵の場合は決められた時間までに会議は終わるものです。

一番大事なことはリーダーの意思決定だった

残業削減するために業務効率化は必要です。業務効率化が不要なわけではありません。しかし業務効率化しただけでは残業はなくなりません。

一番大事なことはリーダーが意思決定することです。

リーダーが残業をやらないと決めることです。これがないといくら業務効率化を進めたところで残業はなくなりません。

アクシアが2012年9月までは毎日終電まで働く残業まみれの体質だったにも関わらず2012年10月から突然残業ゼロを実現できたのは、私が残業を絶対にやらないと決めたからです。逆にその前の3年間業務効率化の取り組みを必死になって進めてきたのに残業をなくせなかったのは私が残業をやっても良しとしていたからです。

会社には仕事は無限にあります。売上に定められた上限はありません。だから時間があればあるだけ仕事を入れてしまいます。それで長時間労働化すれば結果的に効率は下がっていきますので悪循環です。

私がトップとして残業をやらないと決めてからは、組織全体の仕事の進め方が変わりました。

それまでは「残業をしても良い」という前提がありましたので、従業員もその前提に従って仕事をしていました。顧客から多少無理なスケジュールや仕様変更の要求があったとしても、残業でカバーできる範囲内であれば普通に受けてしまっていました。多少スケジュールに遅れが出始めていても、残業でカバーできる範囲内であれば特に気にすることもありませんでした。

残業禁止にしてから数ヶ月の間は、それまでに染み付いた残業前提の働き方の習慣が抜けずに、無茶なスケジュールや無茶な仕様変更の要求をそのまま飲んでしまい、「残業させてください」と言ってくる人がしょっちゅういました。

でも何があっても絶対に残業は許可しませんでしたので「何があっても本当に残業させてもらえないらしいぞ」と意識するようになったようで、それからは従業員の仕事のやり方もどんどん変わっていきました。

顧客から無茶なスケジュールの要求があっても、工数を計算して物理的にどうやってもできないものは「できない」と顧客に伝えるように変わりました。今となっては当たり前のことなのですが、IT業界ではこれができていないことも長時間労働が解消されない大きな原因の一つです。

私が「残業はやらない」と意思決定したことによって、それまでデッドラインは終電となっていた前提が、デッドラインは定時に変わりました。デッドラインが定時になっていれば最初からそれを前提とした働き方をするものです。

業務効率化は大事ですし、アクシアが一気に残業ゼロを実現できたのはそれまで3年間行ってきた業務効率化への取り組みがあったからというのも事実です。ですがどんなに業務効率化だけ進めたところで毎日のデッドラインを変えないと結局残業はなくなりません。そういう意味で、業務効率化をすれば残業が減るというのはウソなのです。

 

もし自分がリーダーの立場で残業を削減したいと考えているのであれば、今すぐ毎日のデッドラインを決めて残業削減する意思決定を行いましょう。

もし自分がリーダーの立場ではなくチームの中のメンバーなのであれば、リーダーが意思決定してくれるように説得するしかないでしょうね。あるいは自分が早く出世してリーダーのポジションにつくかですね。

現場を知らない評論家の人は業務プロセスを改善して業務効率化をすれば残業が削減されるとウソを言いますが、この主張は単に業務時間を算数で計算しただけの評論家の意見ですからね。実際の仕事の現場では算数だけでは通用しませんから。

実際に残業ゼロを実現した実績を持つアクシアの経験が少しでも参考になれば幸いです。