既存システムの保守を別会社に移管する場合の注意点


システム保守イメージ

システム保守イメージ

システムを開発会社に発注して作ってもらった、あるいは自社のエンジニアが開発したシステムがあるが、何らかの理由でそのシステムの保守を他の開発会社に移管しなければならない事情が出てくることは割りとよくあることです。今回はそうした事態になった際に気をつけなければならないポイントをご紹介します。

システム保守を別会社に移管する理由

そもそもなぜ最初に開発した開発会社があるのに(あるいは自社で開発したのに)そのシステムを他社に移管しなけれなならなくなるのか。過去にアクシアにあった事例とともにご紹介したいと思います。

料金が高い

これはもう非常にシンプルな理由ですが、現在依頼している開発会社の見積額がとにかく高くて納得できないというケースです。

ただしこの理由の時には受け手側の開発会社としても注意が必要でして、料金が高いといっても根拠があって客観的に見てもどう考えても高いというケースと、単にケチで根拠もなく高いと騒いでいるだけのケースがあります。

根拠もなく高いと言っている場合には、まず始めにシステムの保守にはお金がかかるという事実から再認識していただく必要があるかもしれません。とにかくシステムにお金をかけたくないというのであればITシステムに対する投資の意識から変えていく必要があると思います。

そうではなくて、知人に聞いたり相見積もりを取るなどして客観的に見ても費用が高いということであれば、妥当な金額で保守してくれる開発会社を探す意味が出てきます。

対応スピードが遅い

これはシステムの保守を行っていくにあたってかなり致命的となります。簡単な連絡をしただけでも返答をもらうまでに何週間もかかるようであればすぐにでも保守会社を変えることを検討した方が良いでしょう。

なぜ対応スピードが遅いことが致命的かというと、システムは初期開発のときよりも稼働スタートしてからが本番だからです。システムが実際に稼働してからだと、対応の遅れがそのまま業務の遅れとなりかねません。システムの保守には迅速な対応が必要となります。

なぜ対応スピードが遅くなるかについては様々な要因はあると思いますが、よくある理由としては自社で開発していないというものでしょう。IT業界というのは多重下請け構造になってまして、自社で開発を行っていないのに開発会社と名乗っている会社など山ほどあります。そうした会社に発注したとしても、実際には下請けに伝言ゲームのようにして指示が流れていきますので、必然的に対応スピードが遅くなることが多いです。

保守依頼先と連絡が取れなくなった

先に挙げた「料金が高い」「対応スピードが遅い」というのは、比較的大きな会社に委託した場合に起こることが多い問題です(小さな会社に発注して起こることもあります)。

しかし発注先の会社と連絡が取れなくなる問題については、小さな会社や特にフリーランスの人に保守をお願いしていた場合に起こることが多いようです。さすがに発注先が大きな会社の場合には突然連絡が取れなくなってしまうようなことはあまりないかと思います。

連絡が突然取れなくなってしまう理由としては、発注先企業が倒産したという場合もあるようですが、フリーランスの方が相手の場合にはバックレる場合も結構多いようです。

もちろんフリーランスの中にも真面目に仕事されてる方はたくさんいらっしゃいますが、いい加減な対応をされる方も結構多いようです。フリーランスの方にお願いしていたが突然連絡が取れなくなって困っているというご相談はアクシアにも時々いただくことがあります。

保守依頼先とトラブルになった

システム開発の会社には仕事を上から下にそのまま流してしまうような会社もたくさんありますから、残念ながらまともに仕事をしてもらえなくてトラブルになってしまうようなケースも発生します。

そのようなケースでは保守移管時にも前任のシステム会社が保守に必要な情報を渡してくれなかったりと結構苦労することが多いのですが、移管後には安定した保守を行えるようになって喜んでいただけることも多いです。

しかし「保守依頼先とトラブルになった」という理由の時は、アクシアでは実は一番警戒するケースでもあります。

その理由は、開発会社が悪いのではなく、発注元の企業がモンスター企業であるケースが多々あるからです。w

発注元企業が開発会社に無理なスケジュールでの対応や無償対応など無理難題ばかり要求していれば、当然トラブルに発展することはあります。このケースの場合だと例えアクシアに保守を移管してもらってもその後トラブルになってしまうため、アクシアで最も警戒するパターンとなっています。w

システム開発には「時間」と「お金」が必要です。無茶なスケジュールでの開発を強要したり、格安または無償での対応を要求するようなことをやっている場合にはまず自社の対応から見直してください。

自社で対応しきれなくなってしまった

上で述べてきた4つのパターンでは、外部の開発会社に依頼をしていたパターンでしたが、これは自社内のエンジニアでシステムの開発及び保守を行ってきたパターンです。

よくあるケースとしては、その会社の中に1人だけプログラムを組める従業員がいてその人が社内でシステムを構築して保守も行ってきたが、その担当が退職してしまったというパターンです。

あるいはシステムの規模が大きくなってきたり等の理由で、その担当者1人では十分に保守が行えなくなってしまって、外部の開発会社にヘルプを求めてくるケースもあります。

開発会社に保守移管の問い合わせをしてみるとどうなるか

上記で述べた通り、様々な理由で既存システムの保守移管が必要となるケースがあるわけですが、移管先を探そうとして実際に開発会社に問い合わせをしてみると中々うまくいかないことも多いようです。保守移管の問い合わせをしてみると実際どうなるのでしょうか。

他社で作ったシステムは保守できないと言われる

既存システム保守の移管を考えた時にまず最初に直面する問題が、他社で作ったシステムの保守を引き受けてくれる会社を見つけることが中々できないということです。アクシアにお問い合わせいただいたお客様のお話を伺っていても、これには本当に苦労するようです。

新規でシステム開発を引き受けてくれる会社は多くありますが、他社で作ったシステムの保守を引き受けてくれる会社は非常に少ないようです。

リニューアルした方が良いと言われる

既存システムの保守を移管したいという相談を開発会社に投げかけると、既存システムの保守についてはやんわりと断れれ、新規でシステム開発してリニューアルした方が良いと勧められるケースも多いようです。

実際に既存システムのプログラムがメチャクチャな状態で、そのシステムをメンテナンスするためには余計な手間が膨大にかかってしまったり、そもそもセキュリティホールだらけでそのシステムを使い続けること自体がリスクとなってしまうようなケースは実際に結構あります。

そのようなケースにおいてリニューアルを勧めるのは妥当な提案の場合もあるわけですが、現状のシステムがどのような状態であるかをろくにチェックもせずに最初からリニューアルを進められるようなケースもあるようです。

運良く保守を引き受けてもらったが対応が遅い

これは既存システムの保守に限った話ではありませんが、開発会社の中には異様に対応が遅い会社は結構あると思います。上記の「システム保守を別会社に移管する理由」のところでも書きましたが、対応が遅くなる原因でよくあるのが自社で開発していないということがあります。

上でも書いた通り、システムの保守で対応が遅いというのはかなり致命的なことです。せっかく保守体制を強化するために別会社に保守を移管したとしても、これでは本末転倒としか言いようがありません。

保守を引き受けてくれる開発会社が少ないのはなぜか

一般の企業の方からすると、どうしてこんなにも既存システムの保守を引き受けてくれる会社は少ないのかと不思議に感じられるかもしれませんが、この業界に在籍しているエンジニアの方からすると、その理由は何となくイメージできるのではないでしょうか。

そもそも保守を引き受ける技術力がない

既存システムのプログラムソースコードを解析する作業というのは、超難易度が高いというわけではありませんが、これができないエンジニアは結構います。自分でプログラムを書くことはなんとかできるけど、他人の書いたソースコードを読むことはできない、読みたくないという気持ちはプログラマーの方ならわからなくはないと思います。

既存システムの保守というよりも、そもそも会社としてシステム開発を自社だけでは行う能力がないという開発会社も数多くあります。何度も言うようにこの業界の構造は多重下請け構造となっており、開発会社とは名ばかりで実際には人を派遣して人売り商売をしている会社が大半を占めています。そのような会社がやっていることは実際にはシステム開発ではなくて人を派遣しているだけですので、「あなたの会社でシステムを開発してほしい」と依頼されてもどうやれば良いか全くわからないというわけです。見積もりのとり方すらわからない会社は多くあります。w

開発会社が新規でシステムを作りたがる

これについては開発会社も、そこの営業も、そこのエンジニアもみんな新規でシステムを作りたがる傾向はあると思います。既存システムを保守するよりも新規構築を好む傾向があるのにははっきりとした理由があります。

新規システム構築の方が儲かる

今あるものをちまちま直すよりも新しく一から作った方が見積額は圧倒的に大きくなることがほとんどですから、開発会社としては新規構築の方が売上が上がります。顧客のことを考えると、きちんとメンテナンスすればまだまだ使えるシステムを捨てさせて新しく作り直させる提案をすることは不利益でしかないわけですが、売上に目がくらんで顧客の不利益になる提案をする人は、IT業界に限らずどこの業界にもいるでしょう。

エンジニアは他人のプログラムをいじりたがらない

エンジニアは他人の書いたプログラムをいじりたがらない人が多くいます。もちろん全てのエンジニアがそうだというわけではありませんが、プログラマーにとっては人の書いたソースコードに手を入れるよりも自分で一からソースコードを書いた方が普通に楽しいのです。w

自分自身たいしたソースコードを書くわけでもないのに、人の書いたソースコードに対しては汚いクソだゴミだと、厳しく批判するエンジニアもいます。w

営業とエンジニアの連携が取れていない

営業にプログラムの知識がないと、顧客から既存システムの保守を依頼されてもそのシステムがどのような状態にあるのか判別することができないので、当然エンジニアにその判断を伺うことになります。

営業サイドとしては顧客のことを考えてそのシステムがメンテナンスして使用可能であればそのように提案したいと考えていても、エンジニア側がそうではないことがあります。

上で書いたようにエンジニアは他人の書いたプログラムを読んだりそこに手を入れたりするよりも、自分で一からプログラムを書く方が楽しいと感じますので、営業から「このシステムってメンテナンス可能?」と聞かれても「無理ですね、作り直しましょう」の一言で片付けてしまう場合があります。

このような状況は私自身内部で何度か見てきました。私はソースコードを読めるのでおかしいと思ったら自分でもソースコードを見てもう一度エンジニアに解析させますが。

どんなシステム会社に保守を依頼すれば良いか

もし私がどこかの企業のIT部門にでも所属していたとして、自社のシステムの保守をどこか別の開発会社に移管しなければならなくなったとして、どんな点に気をつけて発注するかを書いてみます。

得意分野がはっきりしている

システムと一言でいっても色々な種類があります。アクシアのようにWebシステムを専門としている開発会社もあれば、スマホアプリの開発が得意な会社、組み込み系のシステム開発が得意な会社など色々あります。全て対応できる開発会社もあるかもしれませんが、そのような会社は下請けに出しているだけの可能性も高いので、それよりは自社の専門分野がはっきりしている開発会社に依頼した方が安心だと思います。

まずはシステムの保守を発注する側の企業の担当者として、万が一自社のシステムがどんなシステムであるかわからないようであれば、それくらいのことははっきりさせておいた方が良いかと思います。

技術のわかる担当が窓口をしてくれる

技術のことが全くわからない営業担当が窓口になってしまうと、何か要求を伝えるにしても一々コミュニケーションコストが高くなってしまいます。何か聞いてもその営業担当には細かいことがわからないため、その都度「確認します」となってしまうと思います。

普通の企業の営業であれば、自社が売っているサービスの商品知識というのはしっかりと武装しているものだと思うのですが、なぜかシステム開発の会社ではそうでないことも多くあります。システム開発をサービスとして提供している以上は、システムのことについてそれなりの知識がないと商品知識を全く持っていない営業ということになるわけですが、そういう営業担当がこの業界にはたくさんいますので気をつけてください。

ちなみにアクシアでは以前営業職の人を雇ってシステム開発に関する商品知識を身につけさせようとしたのですが諦めました。システム開発をオーダーメイドで行う以上は、中途半端なプログラムの知識だけでは十分な顧客サポートを行うことができなかったからです。今では営業専門の職種というものはアクシアにはいなくなり、自分でプログラミングができるエンジニアが一部で営業も兼ねる形をとっています。

自社で開発をしている

ここはシステムの保守を行う上でかなり重要なポイントとなります。自社では開発を行わず、下請けに丸投げするような会社に発注してしまうと全てのコミュニケーションが伝言ゲームになってしまいますので、確実にスピードが遅くなってしまいます。本番稼働中のシステム保守において迅速な対応ができないというのは致命的です。

下請けに出しているとしても、実際に保守作業している会社と直接コミュニケーションを取らせてもらえることは絶対条件にすると思います。

ただしやっかいないことに、中には自社で開発していると嘘をつく企業も結構あります。よその会社のエンジニアに自分の会社の名刺を偽装して作ったものを持たせて営業に同行させるようなことを平気でやるような会社もあります。

組織的にサポートしてくれる

企業のビジネスを支えるシステムの保守を行う際には、システム保守が継続して行われるということは非常に重要なことです。

アクシアによくある相談の一つに、フリーランスの人にシステムの保守をお願いしていたが病気の時に困ったというものや、1人しかシステム保守の担当者がおらずその人が退職したらシステムのことをわかる人間が誰もいなくなってしまって困ったというものがあります。

趣味でやるなら1人でやっても良いのですが、企業のビジネスを支えるシステムの保守をやるのであれば、チームとして組織的に対応できる会社に保守は依頼するべきでしょう。

 

システムの保守を移管するには時間もお金もかかります。間違った相手に保守の依頼をしてしまうと、また再度別の開発会社に保守移管することにもなりかねず、余計な時間とお金ばかりがかかってしまいます。しっかりと発注先となる開発会社を見極めて依頼するようにしましょう。