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ホワイト企業アワード

ホワイト企業アワード

アクシアは2017年3月に日本次世代普及機構が主催するホワイト企業アワードの労働時間削減部門で大賞受賞しました。

日本次世代普及機構のホワイト企業アワード記事ページ

こちらの賞を受賞させていただいたことはアクシアとして大変光栄なことだったのですが、アクシアという会社は元々このような賞をいただけるようなホワイト企業だったわけではなく、IT業界ではよくある、長時間残業当たり前の典型的なブラック企業でした。

この記事では、元々ブラック企業だったアクシアがどのようにしてホワイト企業に生まれ変わり、ホワイト企業アワードを受賞できるまでになったのか、日本のIT業界の問題点も交えながら書いてみたいと思います。

IT業界の問題点

IT業界で働くエンジニアの多くは多重下請け構造の枠組みの中で働いています。多重下請け構造とは、システムを必要としている顧客がシステムを発注し、それを受注した会社が別の複数の下請け企業に発注し、それを受注した企業がさらにまた別の会社に下請けに流すということを繰り返して形成されるピラミッド構造のことです。このやり方では多くの問題が発生しますが、この構造のイメージを簡単に表した図がこれです。

多重下請構造

多重下請構造

偽装請負

多重下請けの常駐開発現場では偽装請負が行われることがよくあります。偽装請負とは、実質的には派遣契約のような内容であるにも関わらず、契約の内容は請負契約にしてしまうというものです。なぜそんなことをするのかというと、派遣契約では多重派遣が禁止されているなど、IT業界で状態化している商取引が成立しなくなるからです。派遣契約では派遣先に指揮命令する権限がありますが、請負契約では派遣先に指揮命令する権限はありません。しかしながら、IT業界では請負契約にも関わらず派遣先の企業にて指揮命令が行われるという偽装請負が横行しています。

偽装請負構造

偽装請負構造

多重派遣

派遣契約では派遣先の企業と派遣元の企業の間に別の企業が入ることはできません。IT業界の多重下請け構造の常駐開発では、実質的には派遣先で別の企業の人間が指揮命令を行う派遣であるにも関わらず、派遣先と派遣元の企業の間には複数の企業が入ることもある多重派遣の形態となっています。どこかの会社から人を探してきて、別の会社の案件に横流しして中間マージンを搾取する会社が横行しています。労務管理の責任の所在も曖昧になってしまいますので、長時間労働の問題が発生したとしても責任を持って企業が改善に取り組むことが難しくなります。

エンジニアの帰属意識

常駐開発が行われている開発会社で働くエンジニアには驚くほど会社に対する帰属意識がありません。他の企業の職場に行って、他の企業の人間から指揮命令を受けることが状態化しているので当然といえば当然のことです。そこで働くエンジニアは自身の会社に対する帰属意識低下に悩み、会社もまた従業員の帰属意識が低いことに悩まされます。常駐開発ばかりやっている会社がよく行うのが「月に1回の帰社日」を設けてそこで会社イベントを行い従業員の帰属意識を育てようとしますが、全部小手先のテクニックですので効果は全くと言って良いほどありません。

中間搾取

顧客から1次請けでシステムを受注した企業から下請け、孫請けとお金が流れていくうちに、それぞれの企業でマージンが取られていきます。一番末端で働くエンジニアはフリーのエンジニアだったりすることもあるわけですが、間に入る企業が多くなればなるほど最初の顧客から支払われた金額からマージンが差し引かれてしまいます。間に入る企業がそのマージンを受け取るだけの付加価値を提供していれば良いのですが、往々にして間に介在する企業は何もしておらず、単にマージンを受け取っているだけであるため、エンジニアからの不満が大きくなる傾向にあります。本来もっと多くの報酬を受け取るべきエンジニアが低い報酬で働き続けなければならない状況に不満を抱えているエンジニアは多く存在します。

技術の蓄積

多重下請け構造の常駐開発では、プロジェクトごとに人が集められ、プロジェクトが終わるとチームは解散します。それが繰り返されるため、せっかく何かのプロジェクトでチームとしての何かしらのノウハウを獲得できたとしても、基本的にプロジェクトが終わるとチームは解散してしまうので、そのノウハウが次のプロジェクトに活かされることは中々ありません。プロジェクトごとにそのプロジェクトに適した人材を選定して集めるのであれば良いのですが、多重下請けの常駐開発はそうではありません。下請け構造が多重化しているためにどこから連れてきたのかすらよくわからない、本当の所属会社はどこなのかもわからない人達でチームが構成されます。良いプロジェクトに入れれば個人としてのスキルアップはできたとしても、チーム力が醸成されるようなことはありません。

まずは多重下請け構造から抜け出す必要があった

上記で書いた通り、IT業界で蔓延している多重下請けの常駐開発には、構造的に問題がありブラック化する要素がふんだんにあります。アクシアも創業当時は多重下請け構造の中で常駐開発からスタートしましたが、当時は会社としてもそこで働くエンジニアからしても色々な問題に悩まされていました。偽装請負のことをIT業界ではグレーゾーンという言い方をすることがありますが、こんなもの違法と言わざるを得ません。社員の帰属意識は常に低い状態であり、たとえプロジェクトで業務効率化を進めたとしてもそのプロジェクトが解散すればそのノウハウを次のプロジェクトで活かすことは中々難しいのです。 この状況のままでは何においても改善活動を行うこと事態が難しいと考えた私は、まずは会社として常駐開発からの撤退をすることを決めました。

受託開発のやり方がわからなかった

集客のやり方がわからなかった

常駐開発しかやったことがない会社が、さあこれからは仕事を受注したら自社に持ち帰って受託開発を行おう!と決断したわけですが、最初は何をすれば良いのか全くわかりませんでした。 まず最初にどうやって集客して仕事を取ってくれば良いのかがわかりません。それまでやっていた多重下請けの常駐開発であれば、同業者のホームページを見つけて適当に電話していればわりと簡単に仕事が取れてしまったのですが、自社に持ち帰っての受託開発となるとこんな方法では仕事は取れません。

最初は電話営業してみたりチラシを作って配ってみたり色々試してみたのですが、最終的に採用したやり方はホームページをしっかりと作り込んでそこから集客を行うやり方でした。電話やチラシのようなやり方だとシステム開発を行いたいと考えている企業へのアプローチが非常に難しくて効率が悪く、時間はかかったとしてもシステム開発を行いたいと思っている企業の人が見てくれるようなホームページに作り直すことにしました。

見積もりのやり方がわからなかった

ホームページで少しずつ問い合わせが入るようになると、次にどうすればよいかわからなかったのが見積もりのやり方です。それまで行っていた常駐開発というものは、人を送り込んで月の単価がいくらですという、いわゆる人月商売と呼ばれるものでした。これは送り込む人の単価さえ決めてしまえば見積もりも何もないので誰でもできてしまいます。

しかし自社で開発する受託開発においては、人月いくらではなくて機能ごとにこの機能はいくら、あの機能はいくらと値段をお客様に提示していかねばなりません。保守にしても一体どれくらいの金額で顧客に提示すれば良いのか全く検討もつかない状態でした。 そんな状態だったので、受託開発を始めた初期の頃は結構大きく見積もりをミスすることもあり、少ない金額で大量の機能を開発しなければいけない羽目にも何度も陥り、それこそ当時は長時間残業で凌ぐしかありませんでした。

多重下請けの常駐開発から抜け出すことがホワイト化へのスタート

アクシアと同じように多重下請けの常駐開発から抜け出して、自社開発を行う必要性を感じている開発会社はたくさんあると思います。最初はやり方がわからず中々踏み出せないかもしれませんが、こればかりは覚悟を決めて一歩踏み出すしかありません。 多重下請けの常駐開発では構造的にブラックな環境から抜け出すことは難しいですから、システム開発会社がホワイト化を目指そうと思うのであれば、まずこの構造から抜け出す必要があります。

残業まみれのブラック企業時代

長時間労働への問題意識はあった

月300時間オーバーみたいな長時間勤務を繰り返していた頃は、自分がサラリーマンとして働いていた時は「大変だな」と思うことはあっても、特段大きな問題だと感じたことはありませんでした。長時間勤務に対する不満よりも、理不尽なアホ上司に対する不満の方が大きかったです。

アクシアを設立して自分が経営者になってからは、会社全体が長時間勤務になっていることに対して問題意識は持っていました。「ベンチャーなんだから長時間働くことに文句を言うなよ」という意識がある一方で「やっぱりこれが続くのはまずいよな」という意識も間違いなくありました。

私が思うに、全く問題意識もなく従業員に長時間残業を強いている経営者はほとんどいないのではないかと思います。みんな心のどこかで「これはまずいな」と思いながら残業まみれの体質を改めることができません。

ではなぜわかっているのにやめられないのか。

そうはいっても売上が必要

これはもう売上が必要だからとしか言いようがありません。経営者だから売上を伸ばしていきたいとか、売上が落ちれば資金繰りが厳しくなるとか、それこそ売上を伸ばして従業員の給料を上げてやりたいとか、色んなことを考えてしまうわけです。

長時間残業が続くことは良くないなと心のどこかでは思いながらも、残業を減らして労働時間が少なくなれば事業が回らなくなってしまうことが心配で、わかっちゃいるけどやめれれないというのが多くの経営者の心境だと思います。残業が発生してしまうのは「仕方のないこと」として割り切ってしまっています。

社員の不満には小手先のテクニックばかりで対応

これは今になったから言えることですが、長時間残業をはじめとした労働環境の問題には正面から正攻法で臨まないと全く効果はないと言って良いと思います。残業が多すぎるのであればすぐに残業を減らして労働環境を改善するしか選択肢はないのです。

でも売上低下が不安で残業を一気に減らすことができないから、その当時の私が何をやったのかというと、飲み会を開催したり、社員一人ひとりと面談して社員の声を聞いたり、挙げ句の果てにはオフィスに観葉植物を置いてリラックスして働ける環境を作ろうなどと、今考えると愚かなことを考えてしまっていました。

アクシアがそうだったので気持はよくわかるのですが、このように問題の本質に正面から向き合わずに小手先のテクニックばかりで対応しようとしている企業は多いのではないでしょうか。

しかしいくら小手先のテクニックを駆使しても何も解決されません。従業員の心境は「そんなのいいからつべこべ言わずにさっさと労働環境改善しろ」です。問題の本質に正面から向き合うしか解決手段はありません。

一人の従業員が退職を申し出てきた

そんなブラックな労働環境ですから新しく人を雇っては辞め、雇っては辞めの繰り返しだったのですが、ある一人の従業員が退職を申し出てきた時に私は「終わった」と思いました。

今ではそういうことはないのですがその当時は色んな仕事が属人化されてしまっており、誰が抜けても致命的なダメージを受けてしまうような状態でした。そんな中、2012年9月に退職を申し出てきた社員が担ってくれていた仕事は当時は他にできる人が一切おらず、同じことができる人を新しく雇うのも当時としては相当に困難だと考えていました。

この人に辞められたら仕事が回らなくなってしまって間違いなく会社が傾いてしまう。それを防ぐためには何としてもその社員に退職を考え直してもらう必要がありました。

2012年10月1日 開き直って突然残業ゼロに

当時辞めると言ってきた社員の不満は長時間残業でした。この社員の退職を阻止するために、私はその社員に今後は一切残業しなくて良いことを約束しました。何年も経ってから本人から聞いた話ですが、当時は本当に残業ゼロになるのかどうか信用しておらず、とりあえず2ヶ月間様子を見てまた元の状態に戻ったらその時こそ退職しようと考えていたそうです。

なんとかその社員には退職を考え直してもらうことに成功したわけですが、その時私がふと思ったことが「1人だけ残業無しにしたとして、他の社員はどう思うだろう?」ということです。

当たり前ですが1人だけ特別扱いされている状況に他の社員が不満を感じないわけはありません。これはこれで会社が崩壊してしまいます。

追い詰められた私が出した答えは、明日から全員完全残業ゼロにするという結論でした。

2012年9月までは毎日終電で帰り、毎週休日出勤があり、時には徹夜もするような勤務状況だったので、これを次の日から突然定時に帰るというのは並大抵のインパクトではありません。というよりも普通できません。

この時の私の心境は、このままいってもどうせ社員にやめられて会社が回らなくなってしまうのなら、たとえ会社が潰れてしまうようなことになったとしても開き直って残業ゼロにする、というものでした。

経営者として英断したわけでもなんでもありません。ただの開き直りです。こうするしかなかったのです。

残業ゼロにしてみたら起こったこと

残業ゼロにしたらたくさん休んで元気な状態で仕事できるわけですから、生産性が向上することは当然予想していましたが、売上は当然ダウンすると思っていました。しかし予想通りにはならず、他にも思いがけない変化がたくさん起きました。

売上・利益が伸びた

労働時間が物理的に減るわけですから当然売上は落ちると思っていましたが、実際は売上は伸びました。マックスまで残業していた2012年9月に対して、2012年10月の売上はなんと27%も伸びていたのです。これは全くの予想外の出来事でした。

単純に残業を減らすだけで売上が伸びるという単純なものではなく、それまで活動してきた様々な業務効率化の取り組みが良い形で残業ゼロと結びついた結果売上が伸びたわけですが、逆に言うと残業まみれの疲弊した状態の中ではいかに非効率な仕事のやり方をしていたのかということでもあります。

品質が向上した

構築するシステムの品質は日を追うごとに良くなっていきました。心身ともに元気な状態で仕事するのと、残業まみれで朦朧とした中で仕事するのとでは品質に差が生まれて当然でした。

人間は朝起きてから12~13時間程度までしか集中力を維持することは難しく、15時間くらいからは酒酔い状態で仕事をしているのと同じなのだそうです。

残業は無意味!? 「起きて15時間」で脳は飲酒時と同レベルの働きに

女性従業員が増えた

女性従業員の比率が自然と増えました。残業ゼロと聞いて女性の求人応募者が増えたからです。中でも特に子育て中の主婦の比率が増えました。統計データを見つけることができなかったのですが、体感的にシステム開発の会社の女性比率は1割~2割程度と思いますが、アクシアの場合は半分が女性で、さらにそのうち半分は子育て中の主婦です。

主婦の方に多いのは、元々エンジニアとして活躍していたのでスキルは持っているが出産を機に退職したという方が多いので、優秀な人は多いです。

優秀な人材が増えた

東大や早稲田の人が今は非常に多くなりました。人材会社の人などに聞くとアクシアのような小さな会社がこういう人材を採用できることは中々ないそうです。人によって価値観はそれぞれですが、東大や早稲田の人にもワークライフバランスを重視する人はいるということです。

人の問題で悩むことがなくなった

長時間残業が当たり前だった頃には、経営者として何かと人の問題で悩むことが多かったです。やはり労務管理的に問題のあることだらけでしたので、従業員の不満も大きく、いつ大きな問題が起きてしまわないかと常に悩んでいることが多かったと思います。

それに対して残業ゼロになって労働環境が改善されてからは人の問題で悩むことが全くといって良いほどなくなりました。たまに不満を持って問題を起こすような従業員がいたとしても、会社としては一点の曇もない労働環境を提供していますので、後ろめたいことが一切なく堂々と対応することができています。

残業ゼロの働き方に対応できない社員もいた

残業ゼロの働き方というのは、決して楽な働き方ではありません。むしろその逆です。限られた時間の中で集中して仕事をして成果をあげることが求められる環境ですので、勤務時間中はかなり集中する必要があります。どうすれば効率的に仕事を進められるか考えて工夫する必要もあります。仕事に必要なコミュニケーションは頻繁に発生しますが、無駄なおしゃべりをしている暇はありません。

和気あいあいとおしゃべりしながら働くことが好きでこうした厳しい環境に適応することができなかったり、あるいは長時間残業して物理的な時間をかけることでしか成果を残すことができず生産性が低かったことが明らかになってしまったり、残業ゼロという環境に適応できずに辞めていった社員もいました。

ホワイト企業アワード受賞

2017年3月にアクシアはホワイト企業アワードという名誉ある賞を受賞することができました。2012年まで残業まみれの典型的なブラック企業であった会社が、ホワイト企業として認定されるまでに劇的に変わることができました。

今となっては恥ずかしい限りですが、アクシアは誰がどう見ても間違いなくブラック企業だったわけで、今IT業界でもがいている多くのIT企業と何も変わるところはありませんでした。

何が言いたいかというと、アクシアでもブラックからホワイトに生まれ変わることができたわけですから、他のIT企業もトップの心がけ次第では今からでも生まれ変われる可能性は十分にあるのではないかということです。

アクシアが変わることができたのは従業員から退職を突きつけられたからでした。IT業界で働くエンジニアの方々は、もし今働いている会社がブラック企業なのであれば、その会社に退職届を突きつけ「NO!」と意思表示することが、ブラック企業やIT業界を変えていくきっかけになるかもしれません。


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